円の接線
円周上の点から引いた接線の方程式
無題
簡単のため,円$C$の中心が原点$O(0,~0)$にあるときを考えよう. 図のように考えて,円周上の点$P$で$C$に接する直線は1本しか存在しないことが分かる.
次の例題で確認してみよう.
円周上の点から引いた接線の方程式〜その1〜
無題
円$C:x^2+y^2=25$の周上の点$P(3,~4)$を接点とする接線を$l$とする.
接線$l$が線分$OP$と直交することから,$l$の傾きを求めよ.
$l$の方程式を求めなさい.
線分$OP$の傾きは$\dfrac{4-0}{3-0}=\dfrac{4}{3}$.
接線$l$と線分$OP$が直交するので,$l$の傾きは$\boldsymbol{-\dfrac{3}{4}}$
←($OP$の傾き)$\times $($l$の傾き)$ = − 1$
$l$は$P(3,~4)$を通り傾き$-\dfrac{3}{4}$の直線であるので
\begin{align} &y-4=-\dfrac{3}{4}(x-3)~\\ \Leftrightarrow~ &4y-16=-3x+9\\ \Leftrightarrow~ &\boldsymbol{3x + 4y=25} \end{align}
一般に,円$(x − a)^2 + (y − b)^2 = r^2$の周上の点$P(p,~q)$を接点とする接線$l$の方程式はどうなるだろうか.$ O(a,~b)$とすると,接線$l$は線分$OP$と直交し,線分$OP$の傾きは $\dfrac{q-b}{p-a}$ であるので,
$\dfrac{q-b}{p-a}\times $(直線$l$の傾き)$=-1~~\Leftrightarrow$(直線$l$の傾き)$=-\dfrac{p-a}{q-b}$
となる.よって,$l$は$(p,~q)$を通り傾き$-\dfrac{p-a}{q-b}$の直線と分かるので
\begin{align} &y-q=-\dfrac{p-a}{q-b}(x-p)~\\ \Leftrightarrow~&(q-b)(y-q)\\ &=-(p-a)(x-p)\\ \Leftrightarrow~&(q-b)(y-b+b-q)\\ &=-(p-a)(x-a+a-p)\\ \Leftrightarrow~&(q-b)(y-b)+(q-b)(b-q)\\ &=-(p-a)(x-a)-(p-a)(a-p)\\ \Leftrightarrow~&(p-a)(x-a)+(q-b)(y-b)\\ &=(p-a)^2+(q-b)^2 \end{align}となる.ここで,$P$は円$C$の周上にあるので,$(p-a)^2 +(q-b)^2=r^2$を満たす. つまり,$l$の方程式は$(p-a)(x-a)+(q-b)(y-b)=r^2$となる.
円周上の点から引いた接線の方程式
無題
円$C:(x-a)^2 +(y-b)^2=r^2$の周上の点$(p,~q)$から引いた接線$l$の方程式は
\begin{align} (p-a)(x-a)+(q-b)(y-b)=r^2 \end{align}となる.特に,円$C$の中心が原点にある場合は
\begin{align} px+qy=r^2 \end{align}となる($a = b = 0$を$l$の式に代入すればよい).
吹き出し円周上の点から引いた接線の方程式
円の方程式において,2乗のうち片方のみに,$(x,~y)=(p,~q)$を代入すると覚えるとよい. また,次で学ぶ「円周外の点から引いた接線の方程式」と混同しないようにしよう. 接線が1本に決まるかどうかで判断するとよい.
円周上の点から引いた接線の方程式〜その2〜
- 円$x^2+y^2=13$の周上の点$(2,~3)$で接する,接線の方程式を求めよ.
- 円$x^2+y^2=13$の周上の点$(2, − 3)$で接する,接線の方程式を求めよ.
- 円$(x_1)^2+(y+2)^2=2$の周上の点$(2, − 1)$で接する,接線の方程式を求めよ.
- 円$x^2+y^2 -2x +4y+3=0$の周上の点$(0, − 1)$で接する,接線の方程式を求めよ.
$2\cdot x + 3\cdot y=13~~\Leftrightarrow~~\boldsymbol{2x+3y=13}$
$2\cdot x + (-3)\cdot y=13$
$\Leftrightarrow~~\boldsymbol{2x-3y=13}$$(2-1)(x_1) + (-1+2)(y+2)=2$
$\Leftrightarrow~~\boldsymbol{x+y=1}$$x^2+y^2 -2x +4y+3=0$を平方完成形に変形して$ (x_1)^2+(y+2)^2=2$となる.よって,$(0, − 1)$で接する接線の方程式は
$(0-1)(x_1) + (-1+2)(y+2)=2$
$\Leftrightarrow~~\boldsymbol{x-y=1}$
円周外の点から引いた接線の方程式
無題
円$C$の外に点$P$をとり,Pから引いた円$C$の接線を考えよう. 図のようにして,そのような直線は2本存在することが分かる.
次の例題で確認してみよう.
円周外の点から引いた接線の方程式
円$C:x^2+y^2=2$と点$P(3,~1)$について,$P$から引いた$C$の接線$l$の方程式を求めたい.以下の$\fbox{?}$に入る式・言葉・値を答えよ.
直線$l$の傾きを$m$とする.$l$は$P$を通り傾き$m$の直線となるので, 方程式は$\fbox{A}$となる. 条件「円$C$と直線$l:\fbox{A}$が接する」は
「円$C$の$\fbox{B}$と直線$l:\fbox{A}$の距離が$\fbox{C}$に等しい」
という条件と必要十分条件である.
$l$と,円$C$の中心の距離は点と直線の距離を用いて$ \fbox{D}$と書けるので,
\begin{align} \fbox{D}=\fbox{C} \end{align}が成り立つ.これを解いて$m=\fbox{E},~\fbox{F}$(ただし,$\fbox{E}<\fbox{F}$). よって,$l$の方程式は
$m=\fbox{E}$のとき$\fbox{G},m=\fbox{F}$のとき$\fbox{H}$.
$\fbox{A}:~\boldsymbol{y-1=m(x-3)}$
$\fbox{B}:$~中心(つまり,原点)
$\fbox{C}:~\boldsymbol{\sqrt{2}}$~(または円$C$の半径)
$\fbox{D}:~\boldsymbol{\dfrac{|m\cdot 0 -0 -3m+1|}{\sqrt{m^2 + (-1)^2}}}$
$\left(=\boldsymbol{\dfrac{|-3m+1|}{\sqrt{m^2 + 1}}}\right)$
←点と直線の距離
$\fbox{E}:~\boldsymbol{-\dfrac{1}{7}}$
$\fbox{F}:~\boldsymbol{1}$
←途中の計算は以下のようになる.
\begin{align} &\dfrac{|m\cdot 0 -0 -3m+1|}{\sqrt{m^2 + (-1)^2}}=\sqrt{2}\\ &\Leftrightarrow|-3m+1|=\sqrt{2}\sqrt{m^2 + (-1)^2} \end{align}両辺とも正なので,両辺2乗して
\begin{align} &\Leftrightarrow9m^2 - 6m +1=2m^2 + 2\\ &\Leftrightarrow7m^2 -6m -1=0 \end{align}$\fbox{G}:~\boldsymbol{x+7y-10=0}$
$\fbox{H}:~\boldsymbol{x-y-2=0}$