補集合の要素の個数について
全体集合と補集合
全体集合を $U$ とする。集合 $A$ と、その補集合 $\overline{A}$ について \[A\cup\overline{A}=U~,~A\cap\overline{A}=\emptyset\] であるから、包含と排除の原理(2集合版)より \[n(U)=n(A)+n(\overline{A})\] となる。
補集合の要素の個数
全体集合を $U$ とする集合 $A$ と、その補集合 $\overline{A}$ に関して \[n(\overline{A})=n(U)-n(A)\] が成り立つ。
吹き出し補集合の要素の個数について
このことは、ある集合 $A$ の要素の個数を数えるのが大変な場合、むしろ $A$ の補集合 $\overline{A}$ の要素の個数に着目すべきである、ということを教えてくれる。
補集合の要素の個数と包含と排除の原理
総世帯数が $191$ のある地区では、新聞をとっている世帯が $170$ ある。このうちA新聞をとっている世帯は $89$、B新聞をとっている世帯は $108$ ある。その他の新聞はこの地区には無いものとして、以下の問に答えよ。
- この地区では新聞をとっていない世帯はいくつか。
- A、B両方の新聞をとっている世帯はいくつか。
- $U:$「ある地区の総世帯」
- $A:$「A新聞をとっている世帯」
- $B:$「B新聞をとっている世帯」
- 新聞をとっている世帯は $A\cup{B}$ と表せるので、新聞をとっていない世帯は $\overline{A\cup{B}}$ となる。
$\blacktriangleleft$ 補集合の要素の個数参照\begin{align} &n(\overline{A\cup{B}})\\ =&n(U)-n(A\cup{B})\\ =&191-170\\ =&\boldsymbol{21} \end{align}
- A、B両方の新聞をとっている世帯は $A\cap{B}$ と表される。和集合の要素の個数に関して
$\blacktriangleleft$ 包含と排除の原理(2集合版)参照\[n(A\cup{B})=n(A)+n(B)-n(A\cap{B})\] が成り立つから \begin{align} n(A\cap{B})=&\ n(A)+n(B)-n(A\cup{B})\\ =&\ 89+108-170=\boldsymbol{27} \end{align}
補集合の要素の個数と包含と排除の原理(3集合版)
$300$ 人の高校生にA、B、Cの3種のテストを行った。Aテストに $102$ 人、Bテストに $152$ 人、Cテストに $160$ 人が合格したが、これらの中で、A、B両テストに $42$ 人、B、C両テストに $62$ 人、C、A両テストに $32$ 人が合格している。3種のテストのどれにも合格しなかった人は $10$ 人であった。このとき、3種のテストにすべて合格した人は何人か。
- $U:$「テストを受けた高校生全員」
- $A:$「Aテストに合格した人」
- $B:$「Bテストに合格した人」
- $C:$「Cテストに合格した人」
$\blacktriangleleft$ 包含と排除の原理(3集合版)参照
3つの集合の和集合に関して
\begin{align}
&n(A\cup{B}\cup{C})\\
=&\ n(A)+n(B)+n(C)\\
&\quad-n(A\cap{B})-n(B\cap{C})\\
&\quad-n(C\cap{A})\\
&\quad+n(A\cap{B}\cap{C})\tag{1}\label{hosyugonoyosonokosunituite1}
\end{align}
$\blacktriangleleft$ 補集合の要素の個数参照
$\blacktriangleleft$ 全体集合と補集合の3集合の場合のド・モルガンの法則より
が成り立ち、また補集合に関して
\begin{align}
&n(A\cup{B}\cup{C})\\
=&n(U)-n\left(\overline{A\cup{B}\cup{C}}\right)\\
=&n(U)-n\left(\overline{A}\cap\overline{B}\cap\overline{C}\right)\tag{2}\label{hosyugonoyosonokosunituite2}
\end{align}
が成り立つ。$\eqref{hosyugonoyosonokosunituite1}$と$\eqref{hosyugonoyosonokosunituite2}$より
\begin{align}
&n(A\cap{B}\cap{C})\\
=&n(A\cup{B}\cup{C})\\
&\quad-n(A)-n(B)-n(C)\\
&\quad+n(A\cap{B})+n(B\cap{C})+n(C\cap{A})\\
=&\left\{n(U)-n\left(\overline{A}\cap\overline{B}\cap\overline{C}\right)\right\}\\
&\quad-n(A)-n(B)-n(C)\\
&\quad+n(A\cap{B})+n(B\cap{C})+n(C\cap{A})\\
=&300-10-102-152\\
&\quad-160+42+62+32\\
=&\boldsymbol{12}\\
&\therefore~12人
\end{align}