第2余弦定理(余弦定理)

第2余弦定理(余弦定理)

第2余弦定理(余弦定理)

三角形の1つの角と3辺の長さの間に次の関係式が成り立つ。 \[a^2=b^2+c^2-2bc\cos\theta\] これを、第2余弦定理 (second cosine thorem) といい、単に余弦定理 (cosine thorem) というときにはこちらを指す。

この式が成り立つことを、$A$ が鋭角、直角、鈍角の場合に分けて、以下に見ていこう。

  1. $A$ が鋭角のとき

    iの図

    図のように、線分 $\text{AB}$ 上に垂線 $\text{CH}$ をひき、$\triangle\text{BCH}$ に三平方の定理を用いると \begin{align} &a^2=\text{BC}^2=\text{CH}^2+\text{BH}^2\\ =&\left(b\sin{A}\right)^2+\left(c-b\cos{A}\right)^2\\ =&b^2\sin^2{A}+c^2-2bc\cos{A}+b^2\cos^2{A}\\ =&b^2(\sin^2{A}+\cos^2{A})+c^2-2bc\cos{A}\\ =&b^2+c^2-2bc\cos{A} \end{align} となり成立。

  2. $A$ が直角のとき

    iiの図

    $A=90^\circ$ より、$\cos{A}=0$ となるので \begin{align} &a^2=\text{BC}^2=\text{CA}^2+\text{AB}^2\\ =&b^2+c^2\\ =&b^2+c^2-2bc\underbrace{\cos{A}}_{0} \end{align} となり成立。

暗記余弦定理の導出

上の続きとして、$A$ が鈍角のときも余弦定理が成り立つことを証明せよ。

余弦定理の導出

余弦定理の導出

直線 $\text{AB}$ 上に、図のように垂線 $\text{CH}$ をひき、$\triangle\text{BCH}$ に三平方の定理を用いると \begin{align} &a^2=\text{BC}^2=\text{CH}^2+\text{BH}^2\\ =&\left\{b\sin\left(180^\circ-A\right)\right\}^2+\\ &\qquad\left\{c+b\cos\left(180^\circ-A\right)\right\}^2\\ =&\left(b\sin{A}\right)^2+\left(c-b\cos{A}\right)^2\\ &\blacktriangleleft 180^\circ-\thetaの三角比\\ =&b^2\sin^2{A}+c^2-2bc\cos{A}+b^2\cos^2{A}\\ =&b^2(\sin^2{A}+\cos^2{A})+c^2-2bc\cos{A}\\ &\blacktriangleleft 拡張された三角比の相互関係\\ =&b^2+c^2-2bc\cos{A} \end{align} となり成立。

第2余弦定理(余弦定理)

第2余弦定理(余弦定理)

第2余弦定理(余弦定理)

$\triangle\text{ABC}$ において \begin{align} &a^2=b^2+c^2-2bc\cos{A}\\ &b^2=c^2+a^2-2ca\cos{B}\\ &c^2=a^2+b^2-2ab\cos{C} \end{align} が成り立つ。

吹き出し第2余弦定理(余弦定理)

余弦定理の主な使い方は、$a^2=b^2+c^2-2bc\cos{A}$ などの関係式から、辺の長さや角度を求めることである。余弦定理は3辺と1角について成り立つ関係式であることに注意しよう。たとえば、2つの辺と1つの角がわかれば、この 関係式からもう1つの辺の長さが計算できるという具合である。

余弦定理の利用~その1~

$\triangle\text{ABC}$ において、$b=3$、$c=4\sqrt{2}$、$A=45^\circ$ のとき、$a$ の値を求めよ。

余弦定理の利用

余弦定理の利用

点 $\text{A}$ からみる余弦定理より \begin{align} a^2=&b^2+c^2-2ab\cos{A}\\ =&3^2+\left(4\sqrt{2}\right)^2-2\cdot3\cdot4\sqrt{2}\cos{45^\circ}\\ =&9+32-24\sqrt{2}\times\dfrac{\sqrt{2}}{2}=17 \end{align} よって、$\boldsymbol{a=\sqrt{17}}$ である。

$\triangle\text{ABC}$ の3辺の長さ $a,b,c$ がわかっているとき、$\angle\text{A}$ の大きさは、余弦定理を変形した \[\cos{A}=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}\] から求めることができる。

余弦定理の利用~その2~

$\triangle\text{ABC}$ において、$a=\sqrt{21}$、$b=4$、$c=5$ のとき、$A$ の値を求めよ。また、$\cos{B}$ を求めよ。

余弦定理の利用

余弦定理の利用

$\triangle\text{ABC}$ に点 $\text{A}$ からみる余弦定理を用いると、$\cos{A}=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$。これより \[\cos{A}=\dfrac{4^2+5^2-\left(\sqrt{21}\ \right)^2}{2\cdot4\cdot5}=\dfrac{1}{2}\] よって、$\boldsymbol{A=60^\circ}$ となる。

同じく余弦定理を用いると、$\cos{B}=\dfrac{c^2+a^2-b^2}{2ca}$。これより \begin{align} \cos{B}&=\frac{5^2+\left(\sqrt{21}\ \right)^2-4^2}{2\cdot5\cdot\sqrt{21}}\\ &=\dfrac{30}{10\sqrt{21}}=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{21}}{7}} \end{align}

$\blacktriangleleft$ ちなみに、$\dfrac{\sqrt{21}}{7}\fallingdotseq0.655$ であるので、三角比の表より $B\fallingdotseq49^\circ$ である。