分数式とは何か
$f(x)$を多項式,$g(x)$を定数でない多項式とするとき, $\dfrac{f(x)}{g(x)}$の形で表した式のことを分数式(fractional expression)という.
たとえば
\begin{align} \dfrac{2x-1}{x-1}~,~~\dfrac{3a}{x-4b}~,~~\dfrac{x-5}{x^2-2x+3} \end{align}などは,どれも分数式である.
多項式と分数式を合わせて,有理式(rational expression)という.
分数式では,普通の分数と同じように,分母,分子に$0$以外の同じ式をかけてもよいし, 分母,分子に共通な因数で割ってもよい.
分数式の基本演算
分数式$\dfrac{f(x)}{g(x)}$に関して,次の式が成り立つ.
\begin{align} &\dfrac{f(x)}{g(x)}=\dfrac{f(x)\times h(x)}{f(x)\times h(x)}~,\\ &\dfrac{f(x)}{g(x)}=\dfrac{f(x)\div h(x)}{g(x)\div h(x)} \end{align}ただし,$h(x)\neq0$とする.
これらの変形を行えば,普通の分数と同じように約分(reduction of fraction to its lower terms)や通分(reduction fractions to common denominator)ができる.
分数式の約分
次の分数式を約分せよ.
- $\dfrac{2x-2}{6}$
- $\dfrac{x^2-1}{x+1}$
- $\dfrac{x^2-x-12}{x^2+2x-3}$
- $\dfrac{x^2+x-2}{x^3-1}$
実際に約分をすると
\begin{align} \dfrac{2x-2}{6}=\boldsymbol{\dfrac{x-1}{3}} \end{align}分子を因数分解すると
\begin{align} \dfrac{x^2-1}{x+1}=\dfrac{(x-1)(x+1)}{x+1}=\boldsymbol{x-1} \end{align}分母・分子を因数分解すると
\begin{align} \dfrac{x^2-x-12}{x^2+2x-3}=&\dfrac{(x+3)(x-4)}{(x-1)(x+3)}\\ =&\boldsymbol{\dfrac{x-4}{x-1}} \end{align}分母・分子を因数分解すると
\begin{align} \dfrac{x^2+x-2}{x^3-1}&=\dfrac{(x-1)(x+2)}{(x-1)(x^2+x+1)}\\ &=\boldsymbol{\dfrac{x+2}{x^2+x+1}} \end{align}
分数式の分母と分子に共通な因数がないとき,この分数式は既約(irreducible)であるという.