因数定理を利用した高次不等式の解法
高次方程式の場合と同様に, 因数定理を利用して因数分解できれば,高次不等式を解くことができる.
高次不等式
次の不等式を解け.
- $x^3+3x^2-4>0$
- $2x^3-7x^2+9\leqq0 $
- $x^4-6x^3+7x^2+6x-8<0$
- $x^4-8x^3-2x^2+72x-63\geqq0$
$f(x)=x^3+3x^2-4$ とおく。 \[f(1)=1+3-4=0\]
$\blacktriangleleft$ 先に $f(-2)=0$ を見つけてもよいであるから、因数定理より $f(x)$ は $x-1$ を因数にもつのがわかる。組立除法をつかうならよって、$f(x)\gt0$ は \begin{align} &(x-1)(x^2+4x+4)\gt0\\ \Leftrightarrow~&(x-1)(x+2)^2\gt0 \end{align} いま、$(x-1)(x+2)^2$ の符号は $x$ の値に応じて、以下のようにまとめることができる。$x$ $\cdots$ $-2$ $\cdots$ $1$ $\cdots$ $x-1$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$ $(x+2)^2$ $+$ $0$ $+$ $+$ $+$ $(x-1)(x+2)^2$ $-$ $0$ $-$ $0$ $+$ これより、$(x-1)x^2\gt0$ を満たすのは、$\boldsymbol{1\lt{x}}$ である。
$\blacktriangleleft$ この解法について詳しくは3次関数のグラフを使った3次不等式の解法で学ぶ【別解:3次関数のグラフを使う方法】
$f(x)=x^3+3x^2-4$ とおくと \[f(x)=(x-1)(x+2)^2\] より $y=f(x)$ のグラフは図となるので、$f(x)\gt0$ を満たすのは、$\boldsymbol{1\lt{x}}$ である。
$f(x)=2x^3-7x^2+9$ とおく。 \[f(-1)=-2-7+9=0\]
$\blacktriangleleft$ 先に $f(3)=0$ や $f\left(\dfrac{3}{2}\right)=0$ を見つけてもよいであるから、因数定理より $f(x)$ は $x+1$ を因数にもつのがわかる。組立除法をつかうならよって、$f(x)\leqq0$ は \begin{align} &(x+1)(2x^2-9x+9)\leqq0\\ \Leftrightarrow~&(x+1)(2x-3)(x-3)\leqq0 \end{align} いま、$(x+1)(2x-3)(x-3)$ の符号は$x$ の値に応じて、以下のようにまとめることができる。$x$ $\cdots$ $-1$ $\cdots$ $\dfrac{3}{2}$ $\cdots$ $3$ $\cdots$ $x+1$ $-$ $0$ $+$ $+$ $+$ $+$ $+$ $2x-3$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$ $+$ $+$ $x-3$ $-$ $-$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$ $f(x)$ $-$ $0$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$ これより、$(x+1)(2x-3)(x-3)\leqq0$ を満たすのは、$\boldsymbol{x\leqq-1,~\dfrac{3}{2}\leqq{x}\leqq3}$ である。
$\blacktriangleleft$ この解法について詳しくは3次関数のグラフを使った3次不等式の解法で学ぶ【別解:3次関数のグラフを使う方法】
$f(x)=2x^3-7x^2+9$ とおくと \[f(x)=(x+1)(2x-3)(x-3)\] より $y=f(x)$ のグラフは図となるので、$f(x)\leqq0$ を満たすのは、$\boldsymbol{x\leqq-1,~\dfrac{3}{2}\leqq{x}\leqq3}$ である。
$f(x)=x^4-6x^3+7x^2+6x-8$ とおく。 \[f(1)=1-6+7+6-8=0\]
$\blacktriangleleft$ 先に $f(-1)=0$ や $f(2)=0$ などを見つけてもよいであるから、因数定理より $f(x)$ は $x-1$ を因数にもつのがわかる。組立除法をつかうならよって \begin{align} &f(x)=(x-1)(x^3-5x^2+2x+8) \end{align} さらに、$g(x)=x^3-5x^2+2x+8$ とおくと \[g(-1)=-1-5-2+8=0\]
$\blacktriangleleft$ 先に $g(2)=0$ や $g(4)=0$ などを見つけてもよいであるから、因数定理より $g(x)$ は $x+1$ を因数にもつのがわかる。組立除法をつかうならよって \begin{align} g(x)&=(x+1)(x^2-6x+8)\\ &=(x+1)(x-2)(x-4) \end{align} である。以上から、$f(x)\lt0$ は \begin{align} &(x-1)(x^3-5x^2+2x+8)<0\\ \Leftrightarrow~&(x+1)(x-1)(x-2)(x-4)<0 \end{align} いま、$(x+1)(x-1)(x-2)(x-4)$ の符号は $x$ の値に応じて、以下のようにまとめることができる。
$x$ $\cdots$ $-1$ $\cdots$ $1$ $\cdots$ $2$ $\cdots$ $4$ $\cdots$ $x+1$ $-$ $0$ $+$ $+$ $+$ $+$ $+$ $+$ $+$ $x-1$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$ $+$ $+$ $+$ $+$ $x-2$ $-$ $-$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$ $+$ $+$ $x-4$ $-$ $-$ $-$ $-$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$ $f(x)$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$ これより、$(x+1)(x-1)(x-2)(x-4)\lt0$ を満たすのは、$\boldsymbol{-1\lt{x}\lt1,~2\lt{x}\lt4}$ である。
【別解:4次関数のグラフを使う方法】
$f(x)=x^4-6x^3+7x^2+6x-8$ とおくと \[f(x)=(x+1)(x-1)(x-2)(x-4)\] より $y=f(x)$ のグラフは図となるので、$f(x)\lt0$ を満たすのは、$\boldsymbol{-1\lt{x}\lt1,~2\lt{x}\lt4}$ である。
$f(x)=x^4-8x^3-2x^2+72x-63$ とおく。 \[f(1)=1-8-2+72-63=0\]
$\blacktriangleleft$ 先に $f(3)=0$ や $f(-3)=0$ などを見つけてもよいであるから、因数定理より $f(x)$ は $x-1$ を因数にもつのがわかる。組立除法をつかうならよって \[f(x)=(x-1)(x^3-7x^2-9x+63)\] さらに、$g(x)=x^3-7x^2-9x+63$ とおくと \[g(3)=27-63-27+63=0\]
$\blacktriangleleft$ 先に $g(-3)=0$ や $g(7)=0$ などを見つけてもよい。であるから、因数定理より $g(x)$ は $x-3$ を因数にもつのがわかる。組立除法をつかうならよって、 \begin{align} g(x)&=(x-3)(x^2-4x-21)\\ &=(x-3)(x+3)(x-7) \end{align} である。以上から $f(x)\geqq0$ は \begin{align} &(x-1)(x^3-7x^2-9x+63)\geqq 0\\ \Leftrightarrow~&(x+3)(x-1)(x-3)(x-7)\geqq0 \end{align} いま、$(x+3)(x-1)(x-3)(x-7)$ の符号は $x$ の値に応じて、以下のようにまとめることができる。
$x$ $\cdots$ $-3$ $\cdots$ $1$ $\cdots$ $3$ $\cdots$ $7$ $\cdots$ $x+3$ $-$ $0$ $+$ $+$ $+$ $+$ $+$ $+$ $+$ $x-1$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$ $+$ $+$ $+$ $+$ $x-3$ $-$ $-$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$ $+$ $+$ $x-7$ $-$ $-$ $-$ $-$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$ $f(x)$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$ これより、$(x+3)(x-1)(x-3)(x-7)\geqq0$ を満たすのは、$\boldsymbol{x\leqq-3,~1\leqq{x}\leqq3,~7\leqq{x}}$ である。
【別解:4次関数のグラフを使う方法】
$f(x)=x^4-8x^3-2x^2+72x-63$ とおくと \[f(x)=(x+3)(x-1)(x-3)(x-7)\] より $y=f(x)$ のグラフは図となるので、$f(x)\geqq0$ を満たすのは、$\boldsymbol{x\leqq-3,~1\leqq{x}\leqq3,~7\leqq{x}}$ である。