極限の考え方の基本~例1~

ここで、例として $f(x)=2x+1$ において $\displaystyle\lim_{x\to1}f(x)$ がいくつになるのか考えてみよう。

たとえば、$x$ を $0.9$ からスタートして、$0.99,0.999,0.9999,\cdots$ と $1$ に近づけていくと \begin{align} &f(0.9)=2\times0.9+1=2.8\\ &f(0.99)=2\times0.99+1=2.98\\ &f(0.999)=2\times0.999+1=2.998\\ &f(0.9999)=2\times0.9999+1=2.9998 \end{align} と計算できるので、次の表のようにまとめられる。

$x$$0.9$$0.99$$0.999$$0.9999$$\cdots$
$f(x)$$2.8$$2.98$$2.998$$2.9998$$\cdots$
この表を右に続けていく、つまり $x$ を $1$ に近づけていくと、$f(x)$ の値は $3$ に近づいていくことがわかる。

また、$x$ を $1.5$ からスタートして、$1.25,1.125,1.0625,\cdots$ と、距離を半分ずつつめながら $1$ に近づけていくと \begin{align} &f(1.5)=2\times1.5+1=4\\ &f(1.25)=2\times1.25+1=3.5\\ &f(1.125)=2\times1.125+1=3.25\\ &f(1.0625)=2\times1.0625+1=3.125 \end{align} と計算できるので、次の表のようにまとめられる。

$x$$1.5$$1.25$$1.125$$1.0625$$\cdots$
$f(x)$$4$$3.5$$3.25$$3.125$$\cdots$
この表からも、$x$ を $1$ に近づけると、$f(x)$ は $3$ に近づくことがわかる。

以上2つの例からわかるように $\displaystyle\lim_{x\to1}f(x)=3$ であるといえる。

この結果は、図の $y=f(x)$ のグラフから明らかであろう。

また、ここで $f(1)=3$ であるから、結果として \[\displaystyle\lim_{x\to1}f(x)=f(1)\] となっていることがわかる。

(注)

一般に、この $f(x)=2x+1$ のように、$y=f(x)$ のグラフが $x=a$ で途切れていないとき、$\displaystyle\lim_{x\to{a}}f(x)$ の値は \[\displaystyle\lim_{x\to{a}}f(x)=f(a)\tag{1}\label{kyokugennokangaekatanokihonrei1}\] となる。このことを知っていれば、上で調べたようにわざわざ表を作って考察しなくても、すぐに極限値を求めることができる。

極限の考え方

極限の考え方

しかし、次の例のように、関数 $y=f(x)$ のグラフの形がすぐにはわからないようなときには、グラフが途切れている可能性が あるので、極限値を求めるのに注意を要する。