$n$と$N$を混合してもちいる

さきほどSTEP1で使った文字 $N$ は「ある $N$ 番目」という意味で用いた.ただし慣例では $“N”$ ではなく $“n”$ を使うので,今後このテキストでもこの慣例に従い,特別 $N$ を使用せずに $n$ を使うものとする.

しかし,こうするとSTEP1で「 $n$ に $1,2,3,\cdots,n-2,n-1$ を代入」と表現されることになり「 $n$ に $n-1$ を代入する?」と誤解を招きやすい.

最初の $n$ は $1,2,3,\cdots$ を代入するための変数であり,後の $n-2,n-1$ に含まれる $n$ は定数として用いられており,同じ $n$ でも別物として取り扱うことに注意しよう.

等差数列の漸化式と一般項

初項 $a$ ,公差 $d$ の等差数列の漸化式は

\begin{cases} a_1=a\\ a_{n+1}=a_n+d\quad(n=1,2,3,\cdots) \end{cases}

初項 $a$ ,公差 $d$ の等差数列の一般項 $a_n$ は

\[a_n=a+(n-1)d\quad(n=1,2,3,\cdots)\]

等差数列の一般項~その1~

次の等差数列 $\{a_n\}$ の一般項 $a_n$ を求めよ.また,第10項を求めよ.

  1. $2,5,8,11,14,\cdots$
  2. $100,98,96,94,92,\cdots$

  1. 初項が2,公差が3の等差数列であり,第 $n$ 項(一般項)は初項 $a_1$ に公差 $d$ を $n-1$ 回加えることによって求められるので
  2. \[a_n=2+(n-1)3=\boldsymbol{3n-1}\]

    また,第10項は $a_{10}=3\cdot10-1=\boldsymbol{29}$ である.

  3. 初項が100,公差が-2の等差数列だから
  4. \[a_n=100+(n-1)\cdot(-2)=\boldsymbol{-2n+102}\]

    また,第10項は $a_{10}=-2\cdot10+102=\boldsymbol{82}$ である.

等差数列の一般項~その2~

次の条件を満たす等差数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ.

  1. 初項が $13$ ,第4項が $22$
  2. 第3項が $1$ ,第10項が $-13$

  1. 等差数列は公差が一定であるので,条件からまず公差を求めよう.初項から第4項までは,公差が3回足されるので,公差を $d$ とすると
  2. \begin{align} 3d&=a_4−a_1=22-13=9\\ \therefore\ d&=3\\ \blacktriangleleft\ d&=\frac{a_4-a_1}{4-1} \end{align}

    よって, $a_n=13+(n-1)\cdot3=\boldsymbol{3n-10}$ となる.

    【別解】

    等差数列の一般項は $a_n=a_1+(n-1)d$ として与えられるので,問題の条件から $a_1$ と $d$ の連立方程式を立てることができる.初項を $a$ ,公差を $d$ とすると

    \begin{align} a_1&=a=13\\ a_4&=a+3d=22 \end{align}

    となる.これらを連立させて解くと

    \[a=13,d=3\]

    よって, $a_n=13+(n-1)\cdot3=\boldsymbol{3n-10}$ となる.

  3. 第3項から第10項までは,公差が7回足されるので,公差を $d$ とすると
  4. \begin{align} 7d&=a_{10}−a_3=-13-1=-14\\ \therefore\ d&=-2\\ \blacktriangleleft\ d&=\frac{a_{10}-a_3}{10-3} \end{align}

    第10項から第 $n$ 項までは,公差が $n-10$ 回足されるので

    \begin{align} a_n&=a_{10}+(n-10)d\\ &=-13+(n-10)\cdot(-2)\\ &=\boldsymbol{-2n+7} \end{align}

    【別解】

    初項を $a$ ,公差を $d$ とすると

    初項が3であるから $\qquad a+2d=1$

    第10項が−13であるから $\ a+9d=-13$

    となる.これらを連立させて解くと

    \[a=5,d=-2\]

    よって, $a_n=5+(n-1)\cdot(-2)=\boldsymbol{-2n+7}$ となる.

等差数列の一般項~その3~

第12項が $43$ ,第27項が $223$ である等差数列がある.このとき, $295$ はこの数列の第何項か.

この数列の初項を $a$ ,公差を $d$ とすると

\[a_n=a+(n-1)d\]

ここで $a_{12}=43,a_{27}=223$ であるから

\begin{align} 43&=a+11d\\ 223&=a+26d \end{align}

これを解いて, $a=-89,d=12$ .

よって一般項 $a_n$ は

\[a_n=-89+(n-1)\cdot12=12n-101\]

ここで $295$ が第 $n$ 項であるとすると

\[295=12n-101\]

これを解いて, $n=33$ .

したがって, $295$ はこの数列の $\boldsymbol{第33項}$ である.