相乗平均とは何か
2つの $0$ 以上の数 $a_1,a_2$ について, $a_1$ と $a_2$ をかけて平方根をとった値,すなわち $\sqrt{a_1a_2}$ は, $a_1$ と $a_2$ の平均になっている.以下でそのことを確かめてみよう.
$a_1,a_2$ を $0\leqq a_1\leqq a_2$ を満たす数とすると,不等式の性質より
\begin{align} a_1\cdot a_1\leqq a_1\cdot a_2 \ , \ \ a_1\cdot a_2\leqq a_2\cdot a_2 \end{align}が成り立つので
\begin{align} &a_1\cdot a_1\leqq a_1\cdot a_2\leqq a_2\cdot a_2 \\ \therefore~ &\sqrt{{a_1}^2}\leqq\sqrt{a_1a_2}\leqq\sqrt{{a_2}^2} \\ \therefore~ &a_1\leqq\sqrt{a_1a_2}\leqq a_2 \end{align} ← 平方による比較となり, $\sqrt{a_1a_2}$ は$a_1$ と $a_2$の平均になっているのがわかる.
このような平均のとり方を相乗平均という.
3つの正の数 $a_1,a_2,a_3$ の場合の相乗平均は, $\sqrt[3]{a_1a_2a_3}$ となる. ここで, $\sqrt[3]{a}$ は $a$ の3乗根といい,3乗すると $a$ となる数を表す. 一般の $n$ 乗根については累乗根を参照のこと.
相乗平均について,一般には次のようにまとめられる.
相乗平均
$n$ 個の $0$ 以上の数 $a_1,~a_2,~\cdots,~a_n$ において
\[\sqrt[n]{a_1a_2\cdots a_n}\]を, $a_1,~a_2,~\cdots,~a_n$ の相乗平均(geometric mean)という.
特に, $n = 2$ のとき $\sqrt{a_1a_2}$ であり, $n = 3$ のとき $\sqrt[3]{a_1a_2a_3}$ である.
相乗平均
次の値の相乗平均を求めよ.
- $2~,~~8$
- $1~,~~3~,~~9$
$ \sqrt{2\cdot 8}=\sqrt{16}=\boldsymbol{4} $
$ \sqrt[3]{1\cdot 3\cdot 9}=\sqrt[3]{27}=\boldsymbol{3} $