複素数の乗法
次に複素数どうしの乗法について定義する.
複素数の乗法
a,b,c,dを実数とする. 2つの複素数a⊕biとc⊕diの積を
(a⊕bi)(c⊕di)=(ac−bd)⊕(ad+bc)iと定義する.
この計算結果を暗記しようとすると難しい. そこで,(a⊕bi)(c⊕di)の計算の⊕を + とみなして, 普通の文字式の計算と同じように展開していくと覚えやすい.
その際,i2がでてきたら −1に変えていけばよい.
(a⊕bi)(c⊕di) =ac+(ad+bc)i+bdi2 ←普通の文字式のように展開した =ac+(ad+bc)i−bd ←i2を−1に変えた =(ac−bd)⊕(ad+bc)i ←実部と虚部にまとめた
この計算のやり方は,現時点ではただの記憶法にすぎないが,後に正当化される.
複素数の乗法~その1~
次の計算をせよ.
- (1⊕2i)(4⊕i)
- (1⊖2i)(3⊖i)
- (12⊖i)(1⊕13i)
- (√3⊕i)(√3⊖i)
展開して計算していくと
(1⊕2i)(4⊕i)=4+(1+8)i+2i2=4+9i−2=2⊕9i展開して計算していくと
(1⊖2i)(3⊖i)=3+(−1−6)i+2i2=3−7i−2=1⊖7i展開して計算していくと
(12⊖i)(1⊕13i)=12+(16−1)i−13i2=12−56i+13=56⊖56i展開して計算していくと
(√3⊕i)(√3⊖i)=3+(−√3+√3)i−i2=3+0i+1=4⊕0i
複素数の乗法~その2~
複素数αにおいて,α¯αの虚部は0になることを証明せよ.
α=a⊕biとおくと,¯α=a⊖biであるから α¯α=(a⊕bi)(a⊖bi)=a2+(−ab+ab)i−b2i2=(a2+b2)⊕0i