数学I 第6章 平面図形・空間図形の計量 — 平面図形の計量

三角形の決定

三角形の合同

2つの図形が合同 (congruence) であるとは、2つの図形が空間的な回転・平行移動によって完全に重なることを意味する。

2つの三角形の場合は、3辺と3つの内角がすべて一致すれば合同である。2つの三角形の間に、三角形の合同条件 (conditions of congruence)

  1. 1辺とその両端の角が等しい(2角夾(きょう)辺相等)
  2. 2辺とその間の角が等しい(2辺夾(きょう)角相等)
  3. 3辺が等しい(3辺相等)

のいずれかが成り立てば、その2つの三角形は合同である。

三角形の決定条件

三角形の3辺と3つの内角が決まった値をもつとき、この三角形は決定しているという。

たとえば、三角形の3つの内角が と与えられても、辺の長さはわからないので、この三角形は決定しない。しかし、さらにどこか1辺の長さが与えられれば、この三角形は決定する。

三角形を決定するための条件は、上の合同条件1~3に対応して、3つの場合がある。

  1. 1辺とその両端の角が与えられた場合
  2. 2辺とその間の角が与えられた場合
  3. 3辺が与えられた場合
  4. 2辺とその間でない角が与えられた場合

以下では、これらの情報が与えられ三角形が決定したとき、残りの辺と角を求める方法を考えてみよう。

問題1a. 1辺とその両端の角が与えられた場合
  1. である三角形において、 を求めよ。
  2. である三角形において、 を求めよ。
解答を見る
  1. 三角形の内角の和は なので

    1の図

    また、正弦定理 を用いて

    有理数どうしの比の値

    また、点 からみる第1余弦定理 を用いて

    1の図

    【別解: の三角比( とその周辺の三角比)を覚えている場合】

    正弦定理 より

  2. 三角形の内角の和は なので

    2の図

    また、正弦定理 を用いて

    2の図

    また、点 からみる第1余弦定理 を用いて に代入して に代入して、 となる。

    【別解: の三角比( とその周辺の三角比)を覚えている場合】

    正弦定理 より

問題2b. 2辺とその間の角が与えられた場合
  1. である三角形において、 を求めよ。
  2. である三角形において、 を求めよ。ただし、 である。
解答を見る
  1. からみる余弦定理 を用いて

    1の図

    より、 となる。

    また、点 からみる余弦定理 を用いて

    正弦定理を用いた場合は より、 または となり、 が1つに定まらない。

    より、 となる。

    三角形の内角の和は なので

  2. からみる余弦定理 を用いて

    2の図

    2重根号参照

    より、 となる。

    また、点 からみる余弦定理 を用いて

    正弦定理を用いた場合は より、 または となるが、 とすると、三角形の内角の和が であることに矛盾するので、 とわかる。

    より、 となる。

    三角形の内角の和は なので

問題3c. 3辺が与えられた場合
  1. である三角形において、 を求めよ。
  2. である三角形において、 を求めよ。
解答を見る
  1. からみる余弦定理 を用いて

    1の図

    もし に気がつけば計算は易しくなる

    よって、 となる。

    また、点 からみる余弦定理 を用いて より、 となる。

    三角形の内角の和は なので

  2. からみる余弦定理 を用いて

    2の図

    より、 となる。

    ここで、 より は二等辺三角形であるから、 なので

2辺とその間でない角が与えられた場合

2辺とその間でない角が与えられた場合は、三角形がただ1つ決定するとは限らない。

たとえば、 が与えられている場合を考えてみよう。

を鋭角としたとき、 の値によって次の4つの場合があるとわかる。このとき、点 を中心とする半径 の円を考えるとわかりやすい。

  1. の場合

    は1つだけ存在する。

    iの図
    iの図
  2. の場合

    2つの が存在する。

    iiの図
    iiの図
  3. の場合

    は1つだけ存在する。

    このとき、 の直角三角形となる。

    iiiの図
    iiiの図
  4. の場合

    このような三角形は存在しない。

    ivの図
    ivの図

以上の条件に注意しながら、次の例題をみてみよう。

が鈍角のときは、 であれば常に は1つに定まり、 であれば存在しない。余力のある人は考えてみよう。

問題4d. 2辺とその間でない角が与えられた場合
  1. である三角形において、 を求めよ。
  2. である三角形において、 を求めよ。
解答を見る
  1. 正弦定理 を用いて

    1の図

    より、 または となる。

    1. のとき

      このときは、次の図のようになっている。

    1のiの図

    三角形の内角の和は なので また、点 からみる第1余弦定理 より 2. のとき

     このときは、次の図のようになっている。
    

    1のiiの図

    三角形の内角の和は なので また、点 からみた第1余弦定理 より

    この問いでは図のように2つの場合がある。

    1の図
  2. 正弦定理 を用いて

    2の図

    より、 または となるが、 のときは、 となって不適。

    よって、 となる。

    三角形の内角の和は なので また、点 からみる第1余弦定理 より

問題5四角形の計量

四角形 において、 のとき、次の問に答えよ。

  1. の長さを求めよ。
  2. の長さを求めよ。
  3. 四角形 の面積を求めよ。
四角形の計量
四角形の計量
解答を見る
  1. に点 からみる余弦定理 を用いて

    2辺とその間の角が与えられている

1の図


よって、 である。 2. に点 からみる余弦定理 を用いて

 2辺とその間でない角が与えられている

2の図


2次方程式の解の公式より 3. の面積を の面積を とすると つまり、 のときは のときは

四角形 の面積は に等しいので、 が求める答えになる。

この問では図のように2つの場合がある。

3の図

平面図形におけるいくつかの定理

二等辺三角形を分割する線の長さ

ここでは、平面図形に関して覚えておくべき定理を紹介する。三角形の決定条件を頭に浮かべながら、以下の例題を見てみよう。

問題6二等辺三角形を分割する線の長さ

右図のような二等辺三角形 において次の問に答えよ。ただし とする。

  1. の長さを求めよ。
  2. の値を求めよ。
二等辺三角形を分割する線の長さ
二等辺三角形を分割する線の長さ
解答を見る
  1. とおき、 とおく。 に点 からみる余弦定理を用いると

1の図


 に点  からみる余弦定理を用いると

 より

  より   なので、両辺を   で割って

  1. 1で求めた に代入して

    別解として、以下のように補助線を引いて、導くこともできる。

    2の図

角の2等分線の定理

定理1角の2等分線の定理 §

において、 の2等分線と辺 との交点を とするとき が成り立つ。

角の2等分線の定理
角の2等分線の定理
問題7角の2等分線の定理

次の図の において、点 の二等分線と辺 との交点である。このとき、線分 の長さを求めよ。

角の2等分線の定理
角の2等分線の定理
解答を見る

とおくと、角の二等分線の定理より、

定理2三角形の外角の二等分線と比 §

において、 の外角の二等分線と辺 の延長線との交点を とするとき が成り立つ。

三角形の外角の二等分線と比
三角形の外角の二等分線と比
問題8三角形の外角の二等分線と比

次の図の において、点 の外角の二等分線と半直線 との交点である。このとき、線分 の長さを求めよ。

三角形の外角の二等分線と比
三角形の外角の二等分線と比
解答を見る

とおくと、外角の二等分線の定理より、

四角形の対角線と面積

暗記1四角形の対角線と面積

2つの対角線の長さが で、そのなす角が である、図のような四角形の面積 を求めよ。

四角形の対角線と面積
四角形の対角線と面積
解答を見る

の面積を、それぞれ とおくと となるから

定理3四角形の対角線と面積 §

図のような四角形の2つの対角線の長さが 、そのなす角が のとき、この四角形の面積 となる。

四角形の対角線と面積
四角形の対角線と面積

三角形の面積と内接円の半径

暗記2三角形の面積と内接円の半径

三角形の3つの辺すべてに接する円を、その三角形の内接円 (inscribed circle) という。1つの三角形に対し、内接円は1つに定まる。

である について、内接円の半径を とする。

  1. の値を求めよ。
  2. の面積を求めよ。
  3. の内接円の半径を求めよ。
三角形の面積と内接円の半径
三角形の面積と内接円の半径
解答を見る
  1. からみる余弦定理より よって、 である。

  2. 三角形の面積参照

  3. それぞれ、 を底辺とみて、内接円の半径を高さにとった

内接円の中心を とすると、 の面積はそれぞれ となるから、 の面積 とも表せる。よって2と より

定理4三角形の面積と内接円の半径 §

三角形の面積 は、内接円の半径 を用いて と表すことができる。ここで は各辺の長さを表す。

三角形の面積と内接円の半径
三角形の面積と内接円の半径

円に内接する四角形

問題9円に内接する四角形

円に内接する四角形 において、 とする。

  1. を示せ。
  2. を示せ。
  3. 対角線 の長さを求めよ。
  4. 四角形 の面積を求めよ。
円に内接する四角形
円に内接する四角形
解答を見る
  1. 正弦定理の証明の中で、別の方法で証明した。

中心角は円周角の2倍なので

  • は図の と等しく、
  • は図の と等しい。

よって、 2. 1より、 であるので

   の三角比参照


  1. に点 からみる余弦定理を用いて に点 からみる余弦定理を用いて より これを に代入して であるので、 と分かる。

  2. より

    三角形の面積参照

    の三角比参照

また、 より

 三角形の面積参照


よって、求める面積は

円に内接する四角形
円に内接する四角形

トレミーの定理

暗記3トレミーの定理

図のように、四角形 が円に内接している。 とするとき、以下の式を示せ。

トレミーの定理
トレミーの定理
解答を見る
  1. に点 からみる余弦定理を用いると に点 からみる余弦定理を用いると であるので、 より
  2. より 1と同じように整頓すれば これと1の結果より

元記事: http://www.ftext.org/text/section/79(取得日 2026-08-07)

最終更新: 2026-08-08

この節についてAIに質問する

この節に書かれている内容だけを根拠に答えます。個人情報は書かないでください。