数学I 第2章 関数と方程式・不等式 — 2次関数とそのグラフ
2次関数のグラフ
2次関数の定義
関数
関数
のグラフ
まずは、2次関数
このグラフについては、中学校で学んだように次のような特徴があった。
原点を通り、
軸に関して対称である。 グラフの
座標の増減に着目すると 
下に凸なグラフ のとき の範囲にある。の増加に対し ではは減少する ではは増加する
このグラフのようにいったん下がってから上がるグラフのことを、下に凸(とつ) (convex) なグラフという。

上に凸なグラフ のとき の範囲にある。の増加に対し ではは増加する ではは減少する
このグラフのようにいったん上がってから下がるグラフのことを、上に凸 なグラフという。
一般に、2次関数のグラフにあらわれる曲線のことを放物線(ほうぶつせん) (parabola) という。この名前は、空中に物を放り投げたときにできる軌跡きせきに由来する。
放物線は必ず対称軸をもち、この対称軸のことを単に軸 (axis) といい、この軸と放物線の交点のことを頂点 (vertex) という。
のグラフ
次に、

上の表から、
この平行移動によって、放物線の軸が
「
した放物線である。このとき、軸は
のグラフ
次に
この2つの関数について、
上の表から、
注 このことは、式の形からも理解できる。
の の値と の の値を一致させるには、 の に、 の より 大きい値を代入しなければならないからである。
この平行移動によって、軸は
「
した放物線である。このとき、軸は直線
次の放物線は、
解答を見る

1の解答 は のグラフを軸方向に 平行移動したグラフ であるから
軸は
軸(または直線 )、頂点の座標はである。また、これは下に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。

2の解答 は のグラフを軸方向に 平行移動したグラフ であるから
軸は
、頂点の座標はである。また、これは下に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。
は のグラフを

であるから
軸は
である。また、これは上に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。
4. 
は のグラフを
であるから
軸は
である。また、これは上に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。
のグラフ
次に
たとえば
この平行移動によって、軸は原点より
また、頂点も移動し、原点より
「
した放物線である。このとき、軸は直線
のグラフ
最後に、一般の2次関数
平方完成は慣れないうちは難しく感じるかもしれない。もう一度、ポイントとなるところに焦点をあててみる。
あとは、 の係数に注意しながら、定数項を計算すればよい。
2次関数
グラフを描くときは、

これは暗記するようなものではなく、毎回計算して導き出すものである。
ここまで見たように、2次関数
そこで、「2次関数
このときの
次の放物線を、頂点の座標を求めてから描け。
解答を見る

平方完成すると
となるから、頂点が で、下に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。 
平方完成すると
となるから、頂点が で、上に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。 
平方完成すると
となるから、頂点が で、下に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。
平方完成すると
となるから、頂点が で、上に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。
グラフの移動
2次関数の平行移動
ここでは、2次関数のグラフの平行移動について考える。
を 軸方向に 平行移動したグラフ の式を求めよ。 を 軸方向に 平行移動したグラフ の式を求めよ。
解答を見る
平方完成をすると、
- 頂点が
となればよいので - 頂点が
となればよいので
上の例題を別の見方でとらえてみよう。
たとえば、
このようなやり方は、
放物線
放物線
解答を見る
解答を見る
を におきかえて を におきかえて を に、 を におきかえて
一般のグラフの平行移動と対称移動については、『グラフの移動について』を参照のこと。
2次関数の対称移動
次に、2次関数のグラフの対称移動について考える。
を 軸に関して対称移動したグラフ の式を求めよ。 を 軸に関して対称移動したグラフ の式を求めよ。 を原点に関して対称移動したグラフ の式を求めよ。
解答を見る
平方完成をすると、
- 頂点が
となり、上に凸なグラフになればよいので - 頂点が
となればよいので - 頂点が
となり、上に凸なグラフになればよいので
上の例題を別の見方でとらえてみよう。
たとえば、
このようなやり方は、
放物線
原点に関する対称移動は、上の例題の図からもわかるように、
軸に関する対象移動と 軸に関する対称移動をあわせたものとして理解できる。
放物線
軸 軸 - 原点
2次関数の決定
軸や頂点に関する条件が与えられた場合
この場合には、『
グラフが次の条件を満たす2次関数を求めよ。
- 頂点が
で、点 を通る。 - 軸が直線
で、2点 、 を通る。
解答を見る
グラフの頂点が
であるから、求める2次関数はと表せる。さらに、このグラフは点 を通るから、 のとき となる。したがってよって、求める2次関数は 、つまり軸が直線
であるから、求める2次関数はと表せる。さらに、このグラフは2点 、 を通るからこの連立方程式を解いて、 、 を得る。よって、求める2次関数は
、つまり
グラフ上の3点が与えられた場合
この場合は、求める2次関数を
グラフが3点
解答を見る
求める2次関数を
2次関数の決定にあたっては、未知の2次関数を
のうち、どの形で表現するかが重要である。2次関数の
の形については、『2次関数から2次方程式を考える』において学ぶ。
2次関数の最大・最小
2次関数の最大・最小
ここでは、グラフを利用して2次関数の最大値や最小値を求める方法を考えよう。
また、
「
する。そのため、
の場合
2.

たとえば、
「
する。そのため、

定義域が限定された2次関数の最大・最小
2次関数
解答を見る
平方完成によって
そこで

定義域が
の場合、 のグラフは右図の実線部分となるので- 最大値
- 最小値
となる。
放物線は下に凸、頂点は定義域内になく、 の値は定義域内で常に減少している。その結果 座標が最も大きいのは定義域の左端であり、 座標が最も小さいのは定義域の右端である。 - 最大値

定義域が
の場合、 のグラフは右図の実線部分となるので- 最大値
- 最小値
となる。
頂点は定義域内の右半分にある。その結果 座標が最も大きいのは定義域の左端であり、 座標が最も小さいのは放物線の頂点である。 - 最大値

定義域が
の場合、 のグラフは右図の実線部分となるので- 最大値
- 最小値
となる。
頂点は定義域内のまん中にある。その結果 座標が最も大きいのは定義域の両端であり、 座標が最も小さいのは放物線の頂点である。 - 最大値

定義域が
の場合、 のグラフは右図の実線部分となるので- 最大値
- 最小値
となる。
頂点は定義域内の左半分にある。その結果 座標が最も大きいのは定義域の右端であり、 座標が最も小さいのは放物線の頂点である。 - 最大値

定義域が
の場合、 のグラフは右図の実線部分となるので- 最大値
- 最小値
となる。
頂点は定義域内になく、 の値は定義域内で常に増加している。その結果 座標が最も大きいのは定義域の右端であり、 座標が最も小さいのは定義域の左端である。 - 最大値
1~4の全ての2次関数について定義域が
解答を見る

を平方完成すると 定義域が の場合、 のグラフは右図の実線部分となるので- 最大値
- 最小値
となる。
放物線は下に凸、頂点は定義域内になく、 の値は定義域内で常に増加している。その結果 座標が最も大きいのは定義域の右端であり、 座標が最も小さいのは定義域の左端である。 - 最大値

を平方完成すると 定義域が の場合、 のグラフは右図の実線部分となるので- 最大値
- 最小値
となる。
放物線は上に凸、頂点は定義域内の左半分にある。その結果 座標が最も大きいのは放物線の頂点であり、 座標が最も小さいのは定義域の右端である。 - 最大値

を平方完成すると 定義域が の場合、 のグラフは右図の実線部分となるので- 最大値
- 最小値
となる。
放物線は下に凸、頂点は定義域内の右半分にある。その結果 座標が最も大きいのは定義域の左端であり、 座標が最も小さいのは放物線の頂点である。 - 最大値

を平方完成すると 定義域が の場合、 のグラフは右図の実線部分となるので- 最大値
- 最小値
となる。
放物線は上に凸、頂点は定義域の右端にあり、 の値は定義域内で常に増加している。その結果 座標が最も大きいのは定義域の右端であり、 座標が最も小さいのは定義域の左端である。 - 最大値
定義域が限定された放物線は、最大値・最小値を与えるグラフ上の点に着目すれば、以下の5種類にまとめられる(
座標が最大になる点を 、最小になる点を で表している)。

文字定数を含む2次関数の最大・最小
放物線
の軸が定義域より左側にあるための、 の範囲を求めよ。また、定義域内における の最大値、最小値を求めよ。 の軸が定義域より右側にあるための、 の範囲を求めよ。また、定義域内における の最大値、最小値を求めよ。 の軸が定義域の中にあるための、 の範囲を求めよ。また、この範囲のうち、定義域の左端で が最大となるような の範囲を求め、このときの の最大値、最小値を求めよ。
解答を見る

放物線の軸
が定義域の左端 よりさらに左にあればよい。よって座標が最大となるのは定義域の右端なので、最大値 ( のとき)座標が最小となるのは定義域の左端なので、最小値 ( のとき)

放物線の軸
が定義域の右端 よりさらに右にあればよい。座標が最大となるのは定義域の左端なので、最大値 ( のとき)座標が最小となるのは定義域の右端なので、最小値 ( のとき)

放物線の軸
が定義域の中にあるためにはさらに、定義域の左端で 座標が最大となるには、軸が定義域の右半分に存在すればよい。つまり 座標が最大となるのは定義域の左端なので、最大値 ( のとき)座標が最小となるのは の頂点なので、最小値 ( のとき)
上の問題において、
のときは定義域の両端で最大値をとる。
2次関数
- 最小値を求めよ。
- 最大値を求めよ。
解答を見る

1-iの図 のとき におけるこの関数のグラフは、右図の放物線の実線部分となる。この定義域内では、関数の値は減少するから、最小値は となる。
1-iiの図 のとき におけるこの関数のグラフは、右図の放物線の実線部分となる。この場合には、定義域内に軸 が含まれるから、最小値は となる。
以上i、iiをまとめると
のとき、最小値 のとき、最小値

2-iの図 のとき におけるこの関数のグラフは、右図の放物線の実線部分となる。この場合には、定義域の両端の座標を比べると、左端の方が大きい。よって、最大値は となる。
2-iiの図 のとき におけるこの関数のグラフは、右図の放物線の実線部分となる。この場合には、定義域の両端の座標を比べると、右端の方が大きい。よって、最大値は となる。
以上i、iiをまとめると
のとき、最大値 のとき、最大値
の値を から増やしていくとき、グラフの最大値・最小値をとる点がいつ変わるのかグラフを描いて考えて、場合分けをしよう。
2次関数の最大・最小の応用
2次関数の知識を利用して、現実にあるさまざまな問題を解くことができる。
- 長さ
の針金を2つに切り、それぞれの針金で正方形を作るとき、それらの面積の和の最小値を求めよ。また、そのとき針金は何 ずつに切り分けられているか求めよ。 - ある品物の売価が1個
円のときには、1日の売上個数は 個であるという。売価を1個につき1円値上げするごとに、1日の売上個数は 個ずつ減るという。1日の売上金額を最大にするには、売価をいくらに設定すればよいか求めよ。
解答を見る
の針金を、 と に切り分けたとする。ただし、 とする。
それぞれの針金から作られる正方形の面積は

と変形できるから、
これより最小値は
よって、1日の売上金額

と変形できるから、
これより、最大値は
解答を見る
のとき最大値 のとき最小値

関数
とするとき、の値のとりうる範囲を求めよ。 の値のとりうる範囲を求めよ。
解答を見る

平方完成によって
であるので、右図より 。を で表し平方完成すれば

となる。1より
放物線と 軸の位置関係-判別式D
放物線と 軸の位置関係-判別式D
放物線と
軸と2つの共有点をもつ
2.
3.

たとえば、放物線
このように、2次関数が与えられたとき、頂点の
では、一般の放物線
注 「判別式(discriminant)」の頭文字をとったものである。
2次関数
いま、この判別式
の図 p96-1_(1).png
以上の結果について、
のとき
放物線
放物線
このとき、この放物線
この接点の座標は、放物線の頂点に等しく、
放物線
2次関数
解答を見る
2次関数
、つまり のとき となり、グラフは軸と異なる2点で交わる。 、つまり のとき となり、グラフは軸と接する。 、つまり のとき となり、グラフは軸と共有点をもたない。
以上i~iiiより、共有点の個数は次のようになる。
のとき個 のとき個 のとき個

元記事: http://www.ftext.org/text/section/63(取得日 2026-08-07)
最終更新: 2026-08-08
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