数学A 第4章 整数の性質 — 整数の応用
合同式
和・差・積の余り
5+6を4で割った余りは, 5+6=11 であるから, 11=4・2+3 より3である.
これは,5を4で割った余りの1と,6を4で割った余りの2を加えた3と等しい.
すなわち,「足してから割った余り」は,「それぞれの余りを足したもの」をもう一度4で割った余りに等しい.
余りを足しただけでは,そのまま余りになるとは限らない.例えば, 7+6=13 を4で割った余りは1であるが,7を4で割った余りの3と,6を4で割った余りの2を足すと5となる.この5をもう一度4で割った余りが1となり,一致する. 一般的に次のことが言える.
§
定理1和・差・積の余り
2つの整数 a,b を m で割った時の余りを,それぞれ r,r' とすると,次のことが成り立つ.
- a+b を m で割った余りは, r+r' を m で割った余りと等しい.
- a−b を m で割った余りは, r−r' を m で割った余りと等しい.
- ab を m で割った余りは, rr' を m で割った余りと等しい.
- a^n を m で割った余りは, r^n を m で割った余りと等しい( n は正の整数).
証明
a を m で割った商を q , b を m で割った商を q' とすると
a=mq+r b=mq'+r'
と表せる.このとき
a+b=m(q+q')+(r+r') a-b=m(q-q')+(r-r') ab=m(mqq'+qr'+q'r)+rr'
となる.
いずれも右辺の第1項は m の倍数であるから, m で割った余りには影響しない. よって, a+b を m で割った余りは r+r' を m で割った余りに等しく,差と積についても同様である.
また,4は3を繰り返し使えばよい.
∎
問題1和・差・積の余り
- 5¹⁰⁰ を4で割った余りを求めよ.
- 2¹⁰⁰ を7で割った余りを求めよ.
解答を見る
5=4・1+1 であるから,5を4で割った余りは1である.
したがって,和・差・積の余りの4より, 5¹⁰⁰ を4で割った余りは, 1¹⁰⁰=1 を4で割った余り,すなわち 1 である.
2³=8=7・1+1 であるから, 2³ を7で割った余りは1である.
ここで, 100=3・33+1 であるから
2¹⁰⁰=(2³)³³・2
と表せる. 和・差・積の余りの4より, (2³)³³ を7で割った余りは 1³³=1 であり,同じく3より, 2¹⁰⁰ を7で割った余りは 1・2=2 を7で割った余り,すなわち 2 である.
合同式とは何か
§
定義2合同式
2つの整数 a,b を m で割った時の余りが等しいとき, a と b は m を法として合同である,といい
a≡ b±od m
と表す.
例えば,17も2も,5で割った余りは2であるから, 17≡2±od5 である.
この記号を使うと,前の小節の和・差・積の余りは, a≡ r , b≡ r' のとき
a+b≡ r+r', a-b≡ r-r', ab≡ rr'
と短く書ける.
また, a≡ b±od m であることは, a-b が m の倍数であることと同じである.
実際, a=mq+r , b=mq'+r と余りが等しいとすると
a-b=m(q-q')
となり, a-b は m の倍数である. 逆に a-b が m の倍数ならば,整数 k を用いて a=b+mk と書けるので, b=mq'+r より
a=m(q'+k)+r
となり,余りはやはり等しい.
合同式の性質
合同式については,次のことが成り立つ.
§
定理3合同式
a,b,c を整数, m を正の整数とするとき,次のことが成り立つ.
- a≡ a±odm
- a≡ b±odm ならば, b≡ a±odm
- a≡ b±odm かつ b≡ c±odm ならば, a≡ c±odm
証明
いずれも「差が m の倍数であること」に言いかえて示す.
a-a=0=m・0 であるから,1が成り立つ.
a≡ b±odm ならば,整数 k を用いて a-b=mk と書けるので, b-a=m(-k) となり,2が成り立つ.
さらに, b≡ c±odm でもあるとき,整数 l を用いて b-c=ml と書けるので
a-c=(a-b)+(b-c)=m(k+l)
となり,3が成り立つ.
∎
§
定理4合同式の性質
a,b,c,d を整数, m,n を正の整数とし,以下 m を法とする. a≡ c かつ b≡ d のとき,次のことが成り立つ.
- a+b≡ c+d
- a-b≡ c-d
- ab≡ cd
- a^n≡ c^n
証明
仮定より, a-c と b-d は m の倍数であるから,整数 k,l を用いて a-c=mk , b-d=ml とおける.このとき
(a+b)-(c+d)=m(k+l) (a-b)-(c-d)=m(k-l) ab-cd=a(b-d)+d(a-c)=m(al+dk)
となり,いずれも m の倍数であるから,1〜3が成り立つ.
4は,3を繰り返し使えばよい.
∎
問題2倍数の判定
- 3けたの自然数 N の各位の数の和が3の倍数ならば, N も3の倍数であることを,合同式を使って示せ.
- 1234を11で割った余りを, 10≡-1±od11 であることを使って求めよ.
解答を見る
N の百の位を a ,十の位を b ,一の位を c とすると, N=100a+10b+c である.
10≡1±od3 であるから, 10²≡1±od3 となり
N≡ a+b+c±od3
よって, a+b+c が3の倍数ならば, N を3で割った余りも0,すなわち N は3の倍数である.
10≡-1±od11 より, 10²≡1 , 10³≡-1 であるから
1234=10³+2・10²+3・10+4 ≡-1+2-3+4 =2±od11
よって,求める余りは 2 である.
整数の応用的な論点
ピタゴラス数
§
定義5ピタゴラス数
a²+b²=c² を満たす自然数の組 (a,b,c) を,ピタゴラス数という.
例えば, (3,4,5) や (5,12,13) はピタゴラス数である.
§
定理6ピタゴラス数の表し方
a,b,c の最大公約数が1であるピタゴラス数は, a を奇数, b を偶数とすると,互いに素で一方が偶数,他方が奇数であるような自然数 m>n を用いて
a=m²-n², b=2mn, c=m²+n²
の形にすべて表せる. 実際, m=2 , n=1 とすると (3,4,5) が, m=3 , n=2 とすると (5,12,13) が得られる.
中国式剰余定理
§
定理7中国式剰余定理
a,b を整数, m,n を互いに素な正の整数とするとき, x≡ a±od m かつ x≡ b±od n を満たす整数 x は, mn を法としてただ1つ定まる.
例えば,3で割ると2余り,5で割ると3余る整数 x は, x≡8±od15 ,すなわち 8,23,38,… である.
フェルマーの小定理
§
定理8フェルマーの小定理
p を素数とし,整数 a が p の倍数でないとき
a^p-1≡1±od p
が成り立つ.
例えば, p=7 , a=2 のとき, 2⁶=64=7・9+1 であるから 2⁶≡1±od7 となる.
最終更新: 2026-08-12
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