数学A 第1章 場合の数 — 資源配分

5本の鉛筆(区別しない)を3人の人に配る場合(鉛筆をもらわない人はいないとする)、配り方には何通りの方法があるだろうか。このような問題は、鉛筆を区別しないボール、人を区別する箱として、ボールと箱のモデルで考えることができる。

ボール・箱 単射 写像全て 全射
あり・あり 順列 重複順列 部屋割り
なし・あり 組合せ 重複組合せ 資源配分
あり・なし (右枠の和) 部屋割り(区別なし)
なし・なし (右枠の和) 資源配分(区別なし)

資源配分の数

ボールと箱のモデル6

では,このボールと箱のモデルを使って

「区別しない5個のボールを,区別する3個の箱に最低1個は配る場合の総数」

を求めてみよう.

準備として,ボールは区別しないので,それを とし, 箱は区別するので番号をつけ,それを

1、2、3の番号がそれぞれ下に付けられた、3つの空の四角い箱がカンマで区切られて横一列に並んでいる。

としておく.

次の図は,

下に数字の1が書かれた、空の四角い枠。

に1個,

黒い四角い枠で表現された箱の下に、数字の2が配置されている。箱の中には何も描かれておらず、空の状態である。

に2個 ,

下に数字の3が書かれた、空の四角い枠。

に2個のボールを配った場合を表したものである. このような,ボールの配り方をすべて書き出すと

1, 2, 3の番号がついた3つの箱へ5個のボールを配る全6通りの配置が並んでいる。ボールの個数がそれぞれ(3, 1, 1)となる場合が3通りと、(2, 2, 1)となる場合が3通り示されている。

の6通りの場合があるのがわかる.

これを,計算で求めるには次のように考えるとよい.

横に並んだ5個のボールから1、2、3の番号がついた3つの箱へ矢印が伸びており、その下には、箱1に1個、箱2に2個、箱3に2個のボールが入った状態が示されている。 まず,区別しない5個のボールを並べて,ボールの間にある4つの“すきま”について考える.

この4つの“すきま”から2つ選んで,その2ヶ所に“しきり” を入れ,5個のボールを3つの 部分に分ける.

こうしておいてから,この3つの部分の左,真中,右にあるボールの個数をそれぞれ3つの箱,

下にそれぞれ1、2、3の番号が付いた3つの四角い箱が、カンマで区切られて横一列に並んでいる。

に入れるボールの個数に対応させる.

このように考えると,結局

「区別しない5個のボールを,区別する3個の箱に最低1個は配る場合の総数」

は,4つの“すきま”から2つの“すきま”の選び方の総数となり,組合せで計算することができる. つまり, 通りと計算できる.

横一列に並んだ5個のボールの間の4箇所のすきまを矢印で示し、そのうち2箇所に仕切りを入れて1個、2個、2個に分け、1、2、3の番号がついた3つの箱にそれぞれ入れている。
§

定義1資源配分の数 の定義

「区別しないn個のボールを,区別するr個の箱に最低1個は配る場合の数」を, では と表す.

この例では

である.

資源配分の数の計算

区別しない 個のボールを,区別する 個の箱に最低1個は配る場合の総数 も,先程の例と同じように考えることができる.

まず,区別しない 個のボールを並べて,ボールの間にある 個の“すきま”について考える.

この 個の“すきま”から 個選んで,その ヶ所に“しきり” を入れ, 個のボールを 個の部分に分ける.

こうしておいてから,この 個の部分を左から順に, 個の箱,

下に1、2、…、r とそれぞれ番号が付けられた空の四角い枠が、カンマや省略記号を挟んで左から順に横一列に並んでいる。

に入れるボールの個数に対応させる.

このとき,“しきり”を入れられるのはボールとボールの間だけで,両端には入れず,また同じ“すきま”に2つの“しきり”が入ることもない. そのため,分けられた 個の部分はどれも必ず1個以上のボールを含み,どの箱にも最低1個は配られることになる.

空の箱があってもよい重複組合せ のボールと箱のモデルとの違いは,ここにある

横一列に並んだ n 個のボールと、ボールの間を指す上向きの矢印が描かれている。矢印はボールの間にある n-1 個の「すきま」を示している。 このように考えると,結局

「区別しない 個のボールを,区別する 個の箱に最低1個は配る場合の数」

は, 個の“すきま”から 個の“すきま”の選び方の総数となり,組合せで計算することができ

となる.

まとめておこう.

1、2、…、r の番号が下についた r 個の長方形の枠が横一列に並んでいる。それぞれの枠の中には丸と三点リーダーが入っており、枠と枠の間にも三点リーダーが置かれている。
§

定理2資源配分の数 の計算

資源配分の数

と計算できる.

問題1資源配分の計算練習

次の値を求めよ.

解答を見る

問題2資源配分〜その1〜

8個の区別しないアメを3人の子供に分けるとき,次の問に答えよ.

  1. 子供は皆最低1個はアメをもらう場合,何通り分け方があるか.
  2. 1個もアメをもらえない子供がいてもよい場合,何通りの分け方があるか.
解答を見る
  1. 8個のアメを8個の白丸

    であらわし,これによってできる7ヶ所の“すきま”から2ヶ所選んで“しきり”を入れ,3つの部分に分け, 左にある の数を1番目の子供に与えるアメの数, 中央にある の数を2番目の子供に与えるアメの数, 右にある の数を3番目の子供に与えるアメの数 とすればよい.

    例えば では,アメを子供にそれぞれ1個,4個,3個与えることに対応する

    よって

    通り

  2. 1個ももらえない子供がいてもよいので,こちらは重複組合せになる.

    重複組合せ のボールと箱のモデル参照

    3人の子供を区別する3個の箱,8個のアメを区別しない8個のボールとみて

    通り

問題3資源配分〜その2〜

  1. を満たす自然数の組 の数を求めよ.
  2. を満たす0以上の整数の組 の数を求めよ.
解答を見る
  1. 15という数を15個の白丸

    であらわし,これによってできる14ヶ所の“すきま”から3ヶ所選んで“しきり”を入れ,4つの部分に分け, 一番左にある の数を の値, 左から2番目にある の数を の値, 右から2番目にある の数を の値, 一番右にある の数を の値 とすればよい.

    例えば では, に対応する

    よって

  2. は0でもよいので,こちらは重複組合せになる.

    重複組合せ のボールと箱のモデル参照

    の4つを区別する4個の箱,15を区別しない15個のボールとみて

    通り

問題4資源配分と重複組合せ

は等しいことを説明せよ.

解答を見る

の定義は,「区別しない 個のボールを,区別する 個の箱に最低1個は配る場合の数」である.

資源配分の数 の定義参照

また, はボールと箱のモデルでは,「区別しない 個のボールを,区別する 個の箱に配る(何個でもよい)場合の数」である.

重複組合せ のボールと箱のモデル参照

について考える. この「最低1個は配る」について,はじめに 個の箱に1個ずつボールを配っておき, その後残った 個のボールを 個の箱に配る(何個でもよい)と考えてもよく, これは, と一致する.

最終更新: 2026-08-12

この節についてAIに質問する

この節に書かれている内容だけを根拠に答えます。個人情報は書かないでください。