数学A 第1章 場合の数 — 資源配分(配分先に区別が無い場合)

資源配分では,ボールと箱のモデルで「区別しない 個のボールを,区別する 個の箱に最低1個は配る場合の数」を扱った.しかし,同じ種類の袋に配分するなどの理由で,配分先を区別する必要がない場合も考えられる.ここでは,配分先を区別しない場合の資源配分,すなわち箱を区別しない場合のボールの配り方について考えてみよう.

資源配分(配分先に区別が無い場合)の数

ボールと箱のモデル8

ボールと箱のモデルを使って

「区別しない5個のボールを,区別しない3個の箱に最低1個は配る場合の数」

を求めてみよう.

箱に区別はないが,数を数えやすくするため,とりあえず区別して考えていく.つまり,箱に区別のある 普通の資源配分に一度戻して考えていく.

ボールは区別しないので,それを とし,箱はとりあえず区別するので番号をつけ,それを

横一列に並んだ3つの空の箱があり、それぞれの箱の下には左から順に1、2、3と番号が付いている。

としておく.

上部に横一列に並んだ5個のボールから、1、2、3の番号がついた3つの箱へ矢印が伸び、下部には箱1に1個、箱2に2個、箱3に2個のボールが入った様子が描かれている。

図は,

中が空の四角い箱が1つだけ描かれ、その下に箱の番号を表す数字の1が書かれている。ボールを配る先の1番の箱を取り出して示したもの。

に1個,

中が空の四角い箱が1つだけ描かれ、その下に箱の番号を表す数字の2が書かれている。ボールを配る先の2番の箱を取り出して示したもの。

に2個,

中が空の四角い箱が1つだけ描かれ、その下に箱の番号を表す数字の3が書かれている。ボールを配る先の3番の箱を取り出して示したもの。

に2個のボールを配った場合を表したものである. このような,ボールの配り方をすべて書き出すと

1、2、3の番号がついた3つの箱に合計5個のボールを分ける6通りの配置が並んでいる。ボールの個数が3個、1個、1個の組み合わせが3通りと、2個、2個、1個の組み合わせが3通り示されている。

の6通りの場合があるのがわかる.

これを,計算で求めるには次のように考えるとよい.

まず,区別しない5個のボールを並べて,図のようにボールの間にある4つの“すきま”について考える.

横一列に並んだ5個のボールの間の4箇所のすきまに矢印がある。その下には、仕切りで1個、2個、2個に分けられたボールと、同じ個数のボールが入った1から3までの番号つきの箱が示されている。

この4つの“すきま”から2つ選んで,その2ヶ所に“しきり” を入れ,5個のボールを3つの 部分に分ける.図は左から1番目と3番目の“すきま”を選んで“しきり”を入れた例である.

こうしておいてから,この3つの部分の左,真中,右にあるボールの個数をそれぞれ3つの箱,

横一列に並んだ3つの四角い枠があり、枠の間にカンマ、それぞれの枠の下に左から1、2、3の数字が書かれている。

に入れるボールの個数に対応させる(図参照). このように考えると

「区別しない5個のボールを,区別する3個の箱に最低1個は配る場合の数」

は,結局4つの“すきま”から2つの“すきま”の選び方の総数となり,組合せで計算することができる. つまり, 通りと計算できる.

この6通りは,箱に区別がある場合の資源配分の数であるから,箱に区別が無いときには(3通りを一束にして数えるので), 図の2通りの場合だけしかない.

3つの箱にボールがそれぞれ3個、1個、1個入っているグループと、2個、2個、1個入っているグループの、2通りの分け方が左右に並んで描かれている。
§

定義1資源配分(配分先に区別が無い場合)の数 の定義

「区別しない 個のボールを,区別しない 個の箱に最低1個は配る場合の数」を, では と表す.

この例では, である.

資源配分(配分先に区別が無い場合)の数の計算

区別しない 個のボールを,区別しない 個の箱に最低1個は配る場合の数 の一般的な議論は難しいので,簡単な例題についてだけ以下に触れる.

問題1資源配分(配分先に区別が無い場合)の計算練習

次の値を求めよ.

解答を見る
  1. 求めるのは「区別しない5個のボールを,区別しない1個の箱に最低1個は配る場合の数」であり,これは次の図のような 通りである.

    横長の箱が1つあり、その中に丸いボールが横一列に5個入っている。5個のボールをすべて1つの箱に入れる、ただ1通りの配り方を表している。
  2. 求めるのは「区別しない5個のボールを,区別しない2個の箱に最低1個は配る場合の数」 であり,これは次の図のような 通りである.

    5個のボールを2つの箱に分ける2通りが上下に並んでいる。上段は左の箱に4個・右の箱に1個、下段は左の箱に3個・右の箱に2個のボールが入っている。
  3. 求めるのは「区別しない5個のボールを,区別しない3個の箱に最低1個は配る場合の数」 であり,これは次の図のような 通りである.

    5個のボールを3つの箱に分ける2通りが上下に並んでいる。上段は左から3個・1個・1個、下段は左から2個・2個・1個のボールが箱に入っている。
  4. 求めるのは「区別しない5個のボールを,区別しない4個の箱に最低1個は配る場合の数」 であり,これは次の図のような 通りである.

    箱が横一列に4つ並び、左端の箱にボールが2個、残りの3つの箱に1個ずつ、合わせて5個入っている。4つの箱に分ける、ただ1通りの配り方を表している。
  5. 求めるのは「区別しない5個のボールを,区別しない5個の箱に最低1個は配る場合の数」 であり,これは次の図のような 通りである.

    箱が横一列に5つ並び、それぞれの箱に丸いボールが1個ずつ入っている。5個のボールを5つの箱に1個ずつ分ける、ただ1通りの配り方を表している。

問題2資源配分 (配分先に区別が無い場合)

区別しない9個のボールを,区別しない3つの箱に配る場合について,どの箱にも最低1個はボールを配るとして,その配り方には何通りの方法があるか求めよ.

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まず,ボールを区別せず,箱を区別する(a箱,b箱,c箱と名付ける) 場合について考える.

このとき,9個のボールを3つの箱に分ける方法は,並べた9個のボールの“すきま”8ヶ所に“しきり”を2ヶ所いれ,左から順にa箱,b箱,c箱に入れるボールの数と対応させればよい. つまり, 通りある.

横一列に並べられた9個の丸いボールと、それらのボールの間にある8箇所のすきまをそれぞれ下から指し示す、8本の上向きの矢印が並んでいる。

a箱,b箱,c箱にはいるボールの数がそれぞれ のとき, と表す.

  1. 28通りのうち3つの箱とも入るボールの数が等しくなるのは

    の1通り.

  2. a箱,b箱に入るボールの数が等しいのは,3箱とも入るボールの数が同じ場合を除くと

    の3通りある.3つの箱のうち,どの2つの箱に入るボールの数が等しくなるかは 通りあるので, 2つの箱に入るボールの数が等しいのは 通り.

  3. 3つの箱に入るボールの数がばらばらであるのは, 通り.

よって,箱の区別をなくすと

通り

7通りの内訳は次のようになる.

1から7の番号ごとに、3つの箱に入るボールの数が描かれている。その個数は順に、1が1・1・7、2が1・2・6、3が1・3・5、4が1・4・4、5が2・2・5、6が2・3・4、7が3・3・3である。

問題3★資源配分 (配分先に区別が無い場合)

を正の整数とし, 個のボールを3つの箱に分けて入れる問題を考える.ただし,1個のボールも入らない箱があってもよいものとする.

  1. 互いに区別のつかないボールを,A,B,Cと区別された3つの箱に入れる場合,その入れ方は全部で何通りあるか.
  2. が6の倍数 ( は自然数)であるとき, 個の互いに区別のつかないボールを,区別のつかない3つの箱に入れる場合,その入れ方は全部で何通りあるか. を用いて表せ.
解答を見る
  1. Aに 個,Bに 個,Cに 個入れるとして

    を満たす0以上の整数の組 が何組あるかと対応する.

    資源配分〜その2〜の例題を参照のこと

    よって

  2. 1. の 通りのうち

    (i) 3箱に入るボールの数がすべて違うものが 通り

    (ii) 3箱に入るボールの数が2箱については同じものが 通り

    (iii) 3箱に入るボールの数がすべて同じものが 通り

    あるとすれば,求める値は,箱の区別を無くすため,それぞれ で割って 通りとなる.

    まず, は明らかに1である.

    次に, を求める.どの2つの箱に入るボールの数が等しくなるかで 通りある. 例えば が等しい場合

    なので, 通りあるが,3箱に入るボールの数がすべて同じになる場合である の1通りを引いて, 通りある.よって

    最後に, は全体から を引くことにより求まり

    以上より

    通り

資源配分(配分先に区別が無い場合)の和

問題4資源配分(配分先に区別が無い場合)の和

資源配分 (配分先に区別が無い場合)の例題において. 空の箱があってもよいとすると,何通りの配り方があるか求めよ.

解答を見る

資源配分 (配分先に区別が無い場合)の解答より,

空の箱が1つも無い場合には7通りであった.

2つの箱が空箱になるのは,1通り. 1つの箱が空箱になるのは(数えて)4通り.よって

通り

この例題からわかるように,空の箱があってもよい場合のボール の配り方は, の和となる. ボールと箱のモデルでまとめると,次のようになる.

§

定理2資源配分(配分先に区別が無い場合)の和

「区別しない 個のボールを,区別しない 個の箱に配る(何個でもよい)場合の数」は, と表すことができる.

ボールと箱のモデルでの体系では以下の位置を占めている.

ボール・箱 単射 写像全て 全射
あり・あり 順列 重複順列 部屋割り
なし・あり 組合せ 重複組合せ 資源配分
あり・なし (右枠の和) 部屋割り(区別なし)
なし・なし (右枠の和) 資源配分(区別なし)

数の分割

自然数の5を正の整数の和(5そのものも含むとする)として表す方法には,和の順番を区別しなければ

の7通りある.

このように,正の整数 を正の整数の和として表すことを,正の整数 分割(partition)といい,その表し方の総数を では と表す.この例から, である.

資源配分(配分先に区別が無い場合)の計算練習の例題より

であったが,これらは自然数5の分割のすべてのパターンを表したものであるので

が確認できる.

最終更新: 2026-08-12

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