数学II 第6章 微分法 — 極限
極限の定義
極限の定義について
§
定義1極限の定義
関数 f(x) において、x が a と異なる値をとりながら a に限りなく近づくとき、f(x) が定数α(アルファ)に限りなく近づくならば
limx→af(x)=α
または
f(x)→α (x→a)
と書き、この値 α のことを、 x→a のときの f(x) の極限値 (limit value) という。
また、f(x) は限りなく α に近づくという意味で
x→a のとき、f(x) は α に収束 (convergence)する
ということもある。
極限の考え方の基本~例1~
ここで、例として f(x)=2x+1 において limx→1f(x) がいくつになるのか考えてみよう。
たとえば、x を 0.9 からスタートして、0.99,0.999,0.9999,… と 1 に近づけていくと
f(0.9)=2×0.9+1=2.8 f(0.99)=2×0.99+1=2.98 f(0.999)=2×0.999+1=2.998 f(0.9999)=2×0.9999+1=2.9998
と計算できるので、次の表のようにまとめられる。
| x |
|
0.9 |
0.99 |
0.999 |
0.9999 |
… |
| f(x) |
|
2.8 |
2.98 |
2.998 |
2.9998 |
… |
この表を右に続けていく、つまり x を 1 に近づけていくと、f(x) の値は 3 に近づいていくことがわかる。
また、x を 1.5 からスタートして、1.25,1.125,1.0625,… と、距離を半分ずつつめながら 1 に近づけていくと
f(1.5)=2×1.5+1=4 f(1.25)=2×1.25+1=3.5 f(1.125)=2×1.125+1=3.25 f(1.0625)=2×1.0625+1=3.125
と計算できるので、次の表のようにまとめられる。
| x |
|
1.5 |
1.25 |
1.125 |
1.0625 |
… |
| f(x) |
|
4 |
3.5 |
3.25 |
3.125 |
… |
この表からも、x を 1 に近づけると、f(x) は 3 に近づくことがわかる。
以上2つの例からわかるように limx→1f(x)=3 であるといえる。
この結果は、図の y=f(x) のグラフから明らかであろう。
また、ここで f(1)=3 であるから、結果として
limx→1f(x)=f(1)
となっていることがわかる。
一般に、この f(x)=2x+1 のように、 y=f(x) のグラフが x=a で途切れていないとき、limx→af(x) の値は
limx→af(x)=f(a) ①
となる。このことを知っていれば、上で調べたようにわざわざ表を作って考察しなくても、すぐに極限値を求めることができる。
しかし、次の例のように、関数 y=f(x) のグラフの形がすぐにはわからないようなときには、グラフが途切れている可能性が あるので、極限値を求めるのに注意を要する。
極限の考え方の基本~例2~
では、その例として、 g(x)=(x²-1)/(x-1) において limx→1 g(x) がいくつになるのか考えてみよう。
たとえば x を 0.9 からスタートして、0.99,0.999,0.9999,… と 1 に近づけていくと
g(0.9)=(0.9²-1)/(0.9-1) =(0.9-1)(0.9+1)/(0.9-1)=1.9 g(0.99)=(0.99²-1)/(0.99-1) =(0.99-1)(0.99+1)/(0.99-1)=1.99 g(0.999)=(0.999²-1)/(0.999-1) =(0.999-1)(0.999+1)/(0.999-1) =1.999 g(0.9999)=(0.9999²-1)/(0.9999-1) =(0.9999-1)(0.9999+1)/(0.9999-1) =1.9999
と計算できるので、次の表のようにまとめられる。
| x |
|
0.9 |
0.99 |
0.999 |
0.9999 |
… |
| f(x) |
|
1.9 |
1.99 |
1.999 |
1.9999 |
… |
この表を右に続けていく、つまり x を 1 に近づけていくと、g(x) の値は 2 に近づいていくことがわかる。
また、x を 1.5 からスタートして、1.25,1.125,1.0625,… と、距離を半分ずつつめながら 1 に近づけていくと
g(1.5)=(1.5²-1)/(1.5-1) =(1.5-1)(1.5+1)/(1.5-1)=2.5 g(1.25)=(1.25²-1)/(1.25-1) =(1.25-1)(1.25+1)/(1.25-1)=2.25 g(1.125)=(1.125²-1)/(1.125-1) =(1.125-1)(1.125+1)/(1.125-1) =2.125 g(1.0625)=(1.0625²-1)/(1.0625-1) =(1.0625-1)(1.0625+1)/(1.0625-1) =2.0625 ⋮
と計算できるので、次の表のようにまとめられる。
| x |
|
1.5 |
1.25 |
1.125 |
1.0625 |
… |
| f(x) |
|
2.5 |
2.25 |
2.125 |
2.0625 |
… |
この表からも、x を 1 に近づけると、g(x) は 2 に近づくことがわかる。つまり
limx→1 g(x)=2
であるといえる。
上の2つの計算では、g(x) の x に値を代入してから約分して計算したが、 x≠1 であるかぎり
g(x)=(x²-1)/(x-1)=(x-1)(x+1)/(x-1)=x+1
であるから、このように先に約分してから x に値を代入する方が楽になる。
いま、g(x) の値は x=1 では(分母が 0 になるので)定義されないが、limx→1g(x) は 2 として存在する、つまり
この値は存在してない!limx→1g(x)この値は2(1)存在してない!
であることに注意しよう。
このことを、グラフで考えてみる。g(x) は x≠1 で
g(x)=x+1
と書けるので、 y=g(x) のグラフは図のようになり、 x=a で g(x) が存在しなくても、 limx→ag(x) は存在することがある。
極限の計算法則
極限の計算法則について
さきほどの2つの例より
のときf(x)=2x+1のときlimx→1f(x)=3
のときg(x)=(x²-1)/(x-1)のときlimx→1g(x)=2
であった。いま、この2つの関数を足し合わせた関数 h(x)=f(x)+g(x)=2x+1+(x²-1)/(x-1) の極限 limx→1h(x) は、 x≠1 のとき
f(x)+g(x)=2x+1+(x²-1)/(x-1) =2x+1+(x-1)(x+1)/(x-1) =2x+1+x+1 =3x+2
であるから
limx→1h(x)=limx→1{f(x)+g(x)} =limx→1(3x+2)=5
となる。これは、極限をとったあと足し合わせた
limx→1f(x)+limx→1g(x)=3+2=5
という結果と等しくなる。つまり
limx→1{f(x)+g(x)}=limx→1f(x)+limx→1g(x)
が成り立っている。簡単にいえば、和の極限値は極限値の和と等しいということである。
和に限らず、一般に極限値の計算において、次のようなことがいえる。
§
定理2極限の計算法則
limx→af(x)、limx→ag(x) が存在するとき
limx→a{f(x)± g(x)}=limx→af(x)±limx→ag(x) (複合同順)
limx→a{kf(x)}=k・limx→af(x)
ただし、k は定数とする。
limx→af(x)g(x)=limx→af(x)・limx→ag(x)
limx→af(x)/g(x)=limx→af(x)limx→ag(x)
ただし、 limx→ag(x)≠0 とする。
が成立する。
この定理を証明するためには、極限の定義をもっと厳密なものにする必要がある。厳密な極限の議論はFTEXT 数学IIIで行う。
最終更新: 2026-08-10
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