数学II 第2章 図形と方程式 — 軌跡と領域
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この節では、ある条件を満たす点の集まりを、方程式や不等式で表す方法について学ぶ。
多変数関数と図形の方程式
多変数関数とは何か
変数を2つ以上持つような関数のことを 多変数関数 (multivariable function)という。 もし、ある関数がx, yを変数にもつならば、その関数はf(x, y)のように表される。
たとえば、勝ちに3点、引き分けに1点、負けに0点を与えるゲームを考える。
勝った回数をx回、引き分けた回数をy回とすれば、合計点はx, yの値によって決まるのでx, yの関数である。 これをf(x, y)とおけば
勝った回数(x)と引き分けの回数(y)から合計点を決める規則
f(x, y)=3x+y
と求められる。x, yはどちらも変数である。
変数への値の代入は、変数が1つのときと同じように以下のように書く。
f(6, 4)=18+4=22
この式は、6勝4引き分けならば合計点は22点であることを表している。
問題1多変数関数の表し方
- g(x, y)=x² +y² -10のとき、 g(1, 1), g(3,-1), g(-4, t)の値を求めよ。
- 1個200円のりんごをx個、1個100円のみかんをy個買うときの合計金額をs(x, y)円とするとき、s(x, y)をxとyの式で表せ。
解答を見る
- g(1, 1)=1²+1²-10=-8 g(3,-1)=3²+(-1)²-10=0 g(-4, t)=(-4)²+t²-10=t²+6
- s(x, y)=200x+100y
2変数関数と図形の方程式
FTEXT 数学Iで学んだ放物線や、直線の方程式で学んだ直線、円の方程式で学んだ円 のなどの図形の方程式は、適当な多変数関数f(x, y)をもちいて、方程式
f(x, y)=0
で表すことができる。
たとえば、2変数関数を f(x, y)=y-2x-1とおけば、方程式 f(x, y)=0は
y-2x-1=0 ⇔ y=2x+1
つまり、傾きが2で切片が1の直線を表す。
もう1例考えてみよう。2変数関数を g(x, y)=x²+y²-1とおけば、方程式 g(x, y)=0は
x²+y²-1=0 ⇔ x²+y²=1
つまり、原点(0, 0)が中心で半径が1の円を表す。
§
定理12変数関数と図形の方程式の関係
図形の方程式は、適当な多変数関数f(x, y)をもちいて、方程式
f(x, y)=0
で表せる。
問題22変数関数と図形の方程式
2変数関数f(x, y)がつぎの1.~3.で定義されるとき、方程式 f(x, y)=0の表す図形をxy平面上に図示せよ。
- f(x, y)=3x+y-2
- f(x, y)=-x² +2x +y
- f(x, y)=x² +2x+y² -4y
解答を見る
f(x, y)=0より、 y = − 3x + 2となるので、
グラフは図のようになる。
f(x, y)=0より、 y = x² − 2xとなるので、 グラフは図のようになる。
f(x, y)=0より
x² +2x+y² -4y=0 ⇔ (x+1)² + (y-2)²=5
となるので、グラフは図のようになる。

軌跡
軌跡とは何か
平面上で、与えられた条件を満たしながら点Pが動くとき、点Pの描く図形を、 その条件を満たす点の軌跡 (locus)という。
問題32点から等距離にある点の軌跡
座標平面上の2点 A(-1, 4),B(3, 2)から等距離にある点Pの軌跡を求めよ。
解答を見る
点Pの座標を(x, y)とすると、
AP = BPより、 AP² = BP²だから
(x+1)²+(y-4)² =(x-3)²+(y-2)² ⇔ 2x-y+1=0
より、求める軌跡は、直線 2x-y+1=0である。
問題4アポロニウスの円〜その1〜
座標平面上2点 A(1, 3),B(4,-3)からの距離の比が 1:2である点Pの軌跡を求めよ。
解答を見る
AP:BP = 1:2つまり、 2AP = BPだから、
4AP² = BP²
P(x, y)とすると
AP²=(x-1)² +(y-3)² ①
←座標平面上の2点間の距離
BP²=(x-4)² +(y+3)² ②
であるから
4{(x-1)² +(y-3)²} =(x-4)² +(y+3)² ⇔ 4(x²-2x+1) + 4(y² -6y+9) =x² -8x+16+y² +6y+9 ⇔ 3x² +3y² -30y+40-25=0 ⇔ x² +y² -10y +5=0 ⇔ x² +(y-5)²=20
よって、求める軌跡は、
中心(0, 5)半径2√5の円
である。
2点からの距離の比が与えられたときの点の軌跡について、一般に次のことが成り立つ。
§
定理2アポロニウスの円
2点A, Bからの距離の比が m:nである点Pの軌跡は、 m≠ nのとき、 線分ABを m:nに内分する点と外分する点を直径の両端とする円である。 この円をアポロニウスの円 (circle of Apollonius)という。
なお、 m=nのときは、2つ上の例題でみたように、線分ABの垂直二等分線となる。
問題5アポロニウスの円〜その2〜
上のアポロニウスの円〜その1〜の例題を、アポロニウスの円の知識を使って解け。
解答を見る
線分ABを 1:2に内分する点Mの座標は
((1×2+4×1)/(1+2), (3×2-3×1)/(1+2)) =(2, 1)
外分する点Nの座標は
((1×2+4×(-1))/(-1+2), (3×2-3×(-1))/(-1+2)) =(-2, 9)
軌跡である円の直径となるMNの距離は
√((2+2)²+(1-9)²)=√80=4√5
軌跡である円の中心となるMNの中点の座標は
((2-2)/2, (1+9)/2)=(0, 5)
よって、求める軌跡は、
中心(0, 5)半径2√5の円
である。
条件に動点を含む場合の軌跡
次の例題の点Qのように、条件に動点を含む場合はその座標を(X, Y)などとおき計算していく。
問題6条件に動点を含む場合の軌跡
円 x²+y²=4と点A(4, 0)がある。 点Qがこの円上を動くとき、線分AQを 3:1に内分する点Pの軌跡を求めよ。
解答を見る
点P, Qの座標をそれぞれ(x, y),(X, Y)とする。
点Qは円 x²+y²=4上にあるから
X²+Y²=4 ①
点Pは線分AQを 3:1に内分する点だから
x=(1×4+3X)/(3+1) , y=(1×0+3Y)/(3+1) ②
よって、 X=(4/3)x-4/3,Y=(4/3)y。これらを①に代入すると
←なぜこのような操作を行うのかについては下の本文を参照
((4/3)x-4/3)²+((4/3)y)²=4 ⇔ (x-1)²+y²=9/4
よって、求める軌跡は、
中心が(1, 0)半径が3/2の円
である。
上の例題の軌跡、つまり点Pの決まり方は、問題文をそのままに読めば、まず点Qが決まり次に点Pが決まるという順序になっている。 しかし、このような理解では、無数の点Qに対して点Pをプロットすることしかできず、軌跡の一端は垣間見えるものの、 図形の方程式としては求まらない。
そこで、考え方の順序を変え、ある点P(x, y)を考えてみてそれが軌跡上にあるかどうか調べるという方法をとる 。 たとえば、点P(1, 2)が軌跡上にあるかどうかを調べてみよう。 AP:PQ = 3:1であるから、例題中の②に(1, 2)を代入して
1=(1×4+3X)/(3+1) , 2=(1×0+3Y)/(3+1)
を満たさなくてはならない。 この式からXとYは、 (X, Y)=(0, 8/3)であることが必要となるが、 これらはそもそも円 x² + y² = 4上にあるので、例題中の①を満たさなければならないが、 代入しても
0+(8/3)²≠ 4
となり満たさないので、点(1, 2)は軌跡に含まれない(満たせば軌跡に含まれる)。
このような作業を具体的な点(1, 2)ではなく、ある点(x, y)で行うことにより、xとyが満たす方程式が 得られ軌跡を求めることができる。
このような考え方を使う例題として、もう1問練習してみよう。
問題72直線の交点の軌跡
2直線 l1:kx+y+1=0,l2:x-ky-1=0の交点Pが描く軌跡を求めよ。
解答を見る
方程式を
kx+y+1=0 x-ky-1=0
上の式を①、下の式を②としておく。
1) y≠ 0のとき、②より
k=(x-1)/y (y≠ 0)
これを①に代入して
(x-1)/y・ x +y+1 =0 ⇔ x² -x +y² +y=0 ⇔ (x-1/2 )² +( y+1/2)² =1/2
2) y = 0のとき、②より x = 1が必要だが、 これは、①で k = − 1のとき成立する。 つまり、点(1, 0)はl1とl2の交点である。
なお、1)で求めた円のうち y = 0となる点は(0, 0)と(1, 0)であり、 このうち(1, 0)は2)より交点となるが、(0, 0)は①に代入すると k・ 0+0+1=1≠ 0となり、どのようなkに対してもl1上にないので軌跡から除かれる。
以上1)、2)より、求める軌跡は、
中心(1/2, -1/2)半径1/√2の円
(ただし、点(0, 0)を除く)
となる。
領域
領域とは何か
次の2つの条件A, Bを考えよう。
条件A原点Oからの距離が1である点P(x, y)
条件B原点Oからの距離が1以下である点P(x, y)
まず、条件Aを満たす点Pの集合は、上図の円周となり、 これは条件Aを満たす点Pの軌跡といっていた。
次に、条件Bを満たす点Pの集合は、下図のように平面的な広がりをもつ。 このようなときは、もはや軌跡とはいわず、 条件Bを満たす点Pの領域 (domain)という。 領域とそうでない部分を決めるさかい目 (x² + y² = 1)を境界 (boundary)という。

問題8円周を境界とする領域
次の不等式の表す領域を図示せよ。
- x²+y²≦ 4
- x²+y²> 4
- x²+2x+y²-4y< 0
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問題9yとf(x)の大小関係がつくる領域
点P(x, y)が次の不等式を満たすとき、点Pが満たす領域を図示せよ。
- y<2x+3
- y≧ 2x+3
- y≦ x²
- y> x²
解答を見る
1.2.は直線 y=2x+3が、
3.4.は放物線 y=x²が境界になる。

yとf(x)による大小関係をまとめると、次の図のようになる。
問題10いろいろな領域
2つの不等式を同時に満たす領域を、それぞれ図示せよ。
i)
y< x+2 y< 2x-1
ii)
y< x² +1 x+y-3> 0
iii)
x²+y² ≦ 5 0 ≦ x-y+1
領域 x² ≦ y≦ -3x+4を図示せよ。
不等式 (x − y)(x + y − 2) > 0を満たす(x, y)を座標平面上に図示せよ。
解答を見る
(i)境界は2直線 y=x+2, y=2x-1であり、2直線の交点は(3, 5)と求められる。
←連立方程式
y=x+2 y=2x-1
を解いた。 y = x + 2を y = 2x – 1に代入して
x+2=2x-1 ∴x=3
となり、これを y = x + 2に代入すればよい。
求める領域は
直線 y = x + 2より下部
直線 y = 2x – 1より下部
であり境界を含まない。よって、図のようになる。
(ii)境界は放物線 y = x² + 1と直線 x + y − 3 = 0であり、 交点は (-2, 5), (1, 2)と求められる。
←連立方程式
y=x²+1 x+y-3=0
を解いた。 x + y − 3 = 0に y = x² + 1を代入して
x+(x²+1) -3=0 ⇔ x²+x-2=0 ⇔ (x+2)(x-1)=0
より x=-2, 1となるので、 それぞれ y = x² + 1に代入すればよい。
x + y − 3 > 0は y > − x + 3と変形できるので、 求める領域は
放物線 y = x² + 1より下部
直線 y = − x + 3より上部
であり境界を含まない。よって、図のようになる。
(iii)境界は円 x² + y² = 5、直線 x − y + 1 = 0であり、交点は (1, 2), (-2,-1)と求められる。
←連立方程式
x² +y²=5 x-y+1=0
を解いた。 x = y – 1を x² + y² = 5に代入して
(y-1)² + y²=5 ⇔ 2y² -2y -4=0 ⇔ (y-2)(y+1)=0
から y = 2, − 1となり、これを x = y – 1に代入すればよい。
0 ≦ x-y+1は y≦ x+1と変形できるので、求める領域は
円 x² + y² = 5の内側
直線 y = x + 1より下部
であり境界を含む。よって、図のようになる。
求める領域は x²≦ yかつ y≦ -3x+4を満たせばよい。つまり
放物線 y = x²より上部
直線 y = − 3x + 4より下部
であり境界を含む。
境界は 放物線 y = x²と直線 y = − 3x + 4であり、 交点は (1, 1), (-4, 16)となる。
連立方程式
y=x² y=-3x+4
を解けばよい。yを消去して x² = − 3x + 4、これを解いて x=-4, 1。
よって、図のようになる。
不等式 (x − y)(x + y − 2) > 0が成り立つには
←2つの式を掛けて正になるための必要十分条件は、どちらも正か、どちらも負になることである
x-y>0 x+y-2>0
または
x-y<0 x+y-2<0
が成立することである。それぞれ変形すると
y< x y> -x+2
または
y>x y<-x+2
が成立すればよいと分かり、
←それぞれ図示すれば、次の2つのどちらかを満たす領域が求めるものと分かる
どちらの領域も y = xと y = − x + 2を境界とし、 その交点は(1, 1)となる。
よって求める領域は図のように図示できる。
領域を利用した証明
FTEXT 数学Aの論理と集合で学んだように、一般に2つの条件p,qについて、 条件pの真理集合(条件pを満たすもの全体の集合)をP、条件qの真理集合をQとすると
「 p ⇒ qが真である」 ⇔ P⊂eqq Q
であった。
条件p,qがx,yの不等式で表される場合に、このことをもちいて、 p ⇒ qが真であることを証明してみよう。
問題11領域を利用した証明
(x-1)²+y² ≦ 5ならば x² +(y+2)² ≦ 20であることを証明せよ。
解答を見る
連立方程式
(x-1)²+y²=5 x²+(y+2)²=20
を解く。 上の式を①、下の式を②とすると、 ②-①より 2x+4y=12、つまり x = 6 − 2yなので、これを①に代入すると
(6-2y-1)²+y²=5 ⇔ 25-20y+4y²+y²=5 ⇔ (y-2)²=0 ⇔ y=2
y = 2を x = 6 − 2yに代入すると x = 2であり、解が1つに定まるので、2円は(2,2)でお互いに接している。 また、2円の中心(1, 0)と (0,-2)の距離は √((1-0)²+(0+2)²)=√5であり、 これは半径の差 2√5-√5=√5に等しいので、小さい円は大きい円に内接している。 これをもとにそれぞれの領域を描くと、図のようになる。
(x-1)²+y²≦ 5を満たす領域は全て x²+(y+2)²≦20を満たす領域に含まれるので、 題意は証明された。
多変数関数の最大最小
条件を逆にたどる方法
ここでは、2変数関数f(x, y)の最大値や最小値を求める2通りの方法についてみていこう。
条件に動点を含む場合の軌跡で学んだ、条件を逆にたどる方法は、軌跡を求めるだけでなく、 2変数関数の最大値や最小値を求めるときにも有効である。 そのことを次の例題で確認しよう。
問題122変数関数の最大最小〜その1〜
x,yが次の4つの不等式を満たすとき、次の問いに答えよ。
x≧0 , y≧0 , x+2y≦8 , 3x+2y≦12
- 4つの不等式の表す領域Dを図示せよ。
- f(x, y)=x+yの最大値と最小値およびそのときのxとyの値を求めよ。
解答を見る
領域を図示すると次のようになる。
x + y = k ①とおくと、これは傾きが– 1、y切片がkの直線を表す。この直線①が領域Dと共有点をもつ ようなkの値の最大値と最小値を求めればよい。
←なぜこのような操作を行うかについては下の本文参照
次の図より、kの値は①が点(2, 3)を通るとき最大となり、原点Oを通るとき最小となる。
よって、f(x, y)は
x=2,y=3のとき、最大値5
x=0,y=0のとき、最小値0
上の例題での2変数関数f(x, y)の値の決まり方は、問題文をそのままに読めば、 まず不等式の領域Dが決まり、その領域内の(x, y)を代入してf(x, y)が決まるという順序になっている。 しかし、このような理解では、領域D内の無数の点に対してf(x, y)を求めなければならなくなる。
そこで、条件に動点を含む場合の軌跡で学んだ方法と同じように、考え方の順序を逆にして、 ある値kを考えてみて、f(x, y)がその値をとるかどうか調べるという方法をとる。
たとえば、f(x, y)が2をとるかどうかを調べてみよう。 f(x, y)=2が成り立つためには
x+y=2
を満たさなくてはならない。この関係を満たすx,yは、直線 y = − x + 2上にあるので、この直線が 領域Dと共有点をもてば、その点の座標(x, y)をf(x, y)に代入することによってf(x, y)は2をとる。
次の図は領域Dと直線 y = − x + 2を重ねたものである。この図の太線部分の(x, y)を代入することにより f(x, y)=2となる。
このような作業を具体的な値ではなく、ある値kで行うことにより、直線 x + y = kが 領域Dと共有点をもつ範囲を調べることで、最大値や最小値を求めることができる。
1変数に帰着させる方法
2変数関数の最大値や最小値を求めるときには、まず片方の変数をとりあえず定数として固定し、 1変数の問題として最大値と最小値を求めておき、次に固定していた変数を動かし全体の最大値と最小値を求める、 という方法もある。
それを次の例題で確認しよう。
問題132変数関数の最大最小〜その2〜
2変数関数
f(x, y)=x²-2xy+2y²-2x+4y+7
の最小値を求めよ。
解答を見る
まず、kを定数として y = kの場合について考える。
f(x, k)=x²-2xk+2k²-2x+4k+7 =x²-2(k+1)x+2k²+4k+7 ={x-(k+1)}²-(k+1)² +2k²+4k+7 ={x-(k+1)}²+k²+2k+6
となるから、 x=k+1のとき、最小値 k²+2k+6をとる。
←「予選」
次に、kを変数yとするとき、 y² + 2y + 6 = (y + 1)² + 5であるから y=-1 (x=0)で最小値5となる。
←「決勝」
最終更新: 2026-08-20
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