数学II 第7章 積分法 — 速度と変位

速度が一定の場合

グラフの囲む面積は移動距離を表す

ある時刻( とする)から 秒後( とする)まで、一定の速度 とする)で走っている人がいるとする。右図は、横軸に時間()、縦軸に速度()を とり、この関係をグラフ( グラフという)にしたものである。

横軸を時間 t (s)、縦軸を速度 v (m/s) とする座標平面に、t=0 から 10 まで伸ばされた水平な直線 v=10 の線分がある。t=10 の位置からこの線分の右端へ、垂直な破線が引かれている。 この人が、ある時刻から 秒の間に移動する距離は であったから と計算できる。

この移動する距離 は、右図の網掛け部分で示してあるように、

グラフと横軸ではさまれた部分の面積」

で表されることに注意しよう。

横軸をt、縦軸をvとする座標平面で、直線v=10とt軸、t=10で囲まれた長方形の領域が灰色に塗られている。その領域に「v-tグラフと横軸ではさまれた部分の面積は移動距離を表す」と添えられている。

速度が変化する場合

速度が変化する場合の グラフと移動距離

では次に、速度が時間とともに変化していく場合について考えてみよう。

たとえば、ある時刻( )の速度 から一定の割合で速度を上げ、 秒後( )には速度 となる場合には、時刻 と速度 の関係は と表され、この グラフは右図のようになる。しかし、この場合は『速度が一定の場合』ではないので、単純に(速度)(時間)で移動距離を求めることはできない。

横軸をt(s)、縦軸をv(m/s)とする平面上に、v軸上の2から点(10, 10)へ伸びる右上がりの直線v=0.8t+2が描かれている。点(10, 10)から各軸へ破線が引かれている。 では、どのように移動距離を求めればよいのかというと、結論を先にいってしまえば、さきほどと同じように

グラフと横軸ではさまれた部分の面積」

が移動距離を表す。つまり、右図の台形の面積 が移動距離となる。

横軸を時間t(s)、縦軸を速度v(m/s)とする平面に、直線v=0.8t+2が描かれている。t=0から10の範囲で、直線と横軸、縦軸、t=10の点線に囲まれた台形の部分が着色されている。 さて、それではなぜ

グラフと横軸ではさまれた部分の面積」

が移動距離を表すのかについて、以下で考えていこう。

5分割する場合

そのためにまず、一定の割合で速度を上げる運動ではなく、段階的に速度を上げる運動を考えよう。右図は、速度 から速度 まで、 ごとに ずつ、段階的に速度を上げた場合の グラフである。

横軸t、縦軸vの座標平面に、①から⑤の番号が付いた5つの長方形が階段状に並んでいる。各長方形の右上角を結ぶように、破線で直線 v=0.8t+2 が描かれている。 このような運動ならば、部分的に速度が一定となるので、移動距離は各部分の長方形の面積を足し合わせることにより と計算できる。

しかし、この移動距離は本来求めたい、速度が で表される運動の移動距離ではない。なぜなら、速度を切り上げて一定としているので、本来の運動より移動距離が大きくなってしまうからである。

10分割する場合

そこで、精度を上げるために、より段階を細かくした運動を考えよう。右図は、速度 から速度 まで、 ごとに ずつ、段階的に速度を上げた場合の グラフである。

横軸をt、縦軸をvとする座標平面上に、点線の直線v=0.8t+2と、それを階段状に覆う灰色の長方形が10個並んでおり、各長方形の下部には①から⑩の番号が付いている。 さきほどと同じように、移動距離は各部分の長方形の面積を足し合わせることにより とわかる。

この値も本来求めたい移動距離とは異なるのだが、段階を細かくすることにより、より本来の運動に近づいたと考えられる(下図も参照)。

直線 v=0.8t+2 の下側の面積について、5分割した68m、10分割した64mと、分割を細かくして直線下の面積「? m」へと近づく様子が3つの v-t グラフで順に描かれている。 このように、段階を細かくすることによってより正しい値に近づくのであれば、もっと上手工夫して計算したい。それを次に考えてみよう。

分割する場合の極限

から、速度は ごとに ずつ増加するのがわかる。まず、下図のように、時刻 から までを位置を 等分する。そして、一区間である ごとに、 ずつ段階的に速度を上げる グラフを考える。

横軸にt、縦軸にvをとり、破線の直線v=0.8t+2とともに、tが0から10の範囲をn等分した区間上に階段状に並ぶn個の長方形が描かれている。 このとき,移動距離は各長方形の面積を足し合わせることにより これを 記号で表すと、 となる。以下、これを計算すると となる。この式の を代入すれば、さきほど求めた になる。

さて、段階をどんどん細かくしていくということは、「 等分」である の値をどんどん大きくしていくということに他ならない。つまり、 という極限値が求めるべき値である。これを計算すると となる。この値は、『速度が変化する場合の グラフと移動距離』で台形の面積として求めた移動距離と一致していることを確認しよう。

最終更新: 2026-08-10

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