数学A 第2章 確率 — 乗法定理と独立事象
さいころを1回振る試行において、6の目が出る確率は普通に考えれば
乗法定理と独立事象について
条件付確率
図のように、クラブのジャックからエースまでの4枚とスペードのクイーンからエースまでの3枚、計7枚のカードの中から 1枚のカードを引くという試行を考える。
事象
事象
とおくと、それぞれの事象の起こる確率
となる。
さて、いまこの試行において「引いたカードはスペードであった」ということが知らされたとして、 その状況の下で考えた場合に、そのカードが“スペードのエース”である確率はいくつになるだろうか。 これは次のように考えればよい。
まず、引いたカードがスペードであることは確定しているのだから、手持ちのカードの種類には3通りしかない。 そして、そのうちエースであるのは1通りだから、求める確率は
これは、標本空間を新しく
事象
条件付確率(conditional probability)といい
であると考えることができた。 さらに、この右辺の分母・分子を標本空間の根元事象の個数
となるので、この
定義1条件付き確率の定義
ある試行における事象を
事象
と定義する。
乗法定理
条件付確率の定義である
が成り立つ。これを確率の乗法定理(multiplication theorem)という。
定理2乗法定理
ある試行における事象を
が成り立つ。
暗記1条件付確率と乗法定理~その1~
5本のうち2本が当りのくじがあり、そこから1本ずつくじを引く。
という事象
という事象の確率
- 標本空間を連続して2回を引いたときのくじの組合せとして
を求めよ。 - 乗法定理
を利用して求めよ.
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5本のくじから連続して2本くじを引くときの組合せは
通りあり、これは同様に確からしい。このうち、2本とも当りであるのは1通りであるから 5本のくじに番号をつけると、2本のくじ引きの組合せは①②,①③,①④,①⑤,②③,②④,②⑤,③④, ③⑤,④⑤ の 通りある。①と②を当りくじとすれば、連続して2回当るのは①②の場合である。 となる。
ここでは、引く順番を区別して考える。
つまり、1回目のくじ引きで当る確率は つまり、1回目のくじ引きで当った条件の下、2回目のくじ引きで当る確率は よって、乗法定理より
となる。
問題1条件付確率と乗法定理~その2~
4本の当りくじを含む10本のくじがある。 甲、乙がこの順にこのくじを1本ずつ引く。 ただし、引いたくじはもとに戻さない。 このとき次の問に答えよ。
- 甲が当ったという条件の下で、乙が当る確率を求めよ。
- 甲が当り、乙も当る確率を求めよ。
- 乙の当る確率を求めよ。
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事象
とおく。
甲が当った状況では、くじは9本残っていて、その中に当りくじは3本あるから
求める確率は
である。乙が当るのは、甲が当って乙も当る場合と、甲がはずれて乙が当る場合のどちらかであり、この2つは互いに排反である。
甲が当り、乙が当るのは2. より
である。また、甲がはずれて、乙が当るのは よって、
となる。《別解:標本空間を乙の引くくじにとる》
乙の引きうるくじは10通りあり、これらは同様に確からしい。 このうち当りくじは4本あるので、乙が当りくじを引く確率は
独立事象
条件付確率で見たように、ある事象について何らかの新しい情報が得られると、その事象の起こりやすさについての私達の知識は変わることがあった。しかし、以下でみるように、情報によっては何の役にも立たないことがある。
例として、硬貨を投げ、さらにさいころを投げるという試行を考えよう。この試行の標本空間

とする。このとき、この12個の根元事象はどれも同様に確からしい。
また、硬貨の表が出るという事象を

である。
今、
であるが、
であるから
が成り立つ。
また、
も成り立つ。
定義3独立の定義
2つの事象
が成り立つとき、事象
この式は「ある事象
一方の事象の起こることが他の事象の起こる確率に何の影響も与えない
ことを意味している。
また、事象が独立であるとき、つまり
が成り立つ。
定理4独立事象の乗法定理
「事象
問題2独立事象
次の事象
白球4個、赤球3個の入っている袋から2回球を取り出す試行について考える。ただし、1回取り出した球は袋に戻さないものとする。
:「1回目に白球を取り出す」 :「2回目に白球を取り出す」 白球4個、赤球3個の入っている袋から2回球を取り出す試行について考える。ただし、1回取り出すごとに球は袋に戻すものとする。
:「1回目に白球を取り出す」 :「2回目に白球を取り出す」 ジョーカーを除いた1組のトランプ52枚の中から、1枚を引く試行について考える。
:「ハートのカードを引く」 :「エースのカードを引く」 ジョーカーを含む1組のトランプ53枚の中から、1枚を引く試行について考える。
:「ハートのカードを引く」 :「エースのカードを引く」
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2回目に取り出す球だけに着目すると、その取り出し方には
通りあり、これらはどれも同様に確からしい。よって、2回目に白球を取り出す確率
は 2回目に取り出す球のみで標本空間を作っていることに注意しよう また、1回目に白球を取り出したという条件の下、2回目に白球を取り出す確率
は 以上より、
なので、事象と は独立ではない。 《別解:独立事象の乗法定理を使う》
2回目に白球を取り出すには、次の2つの場合があり、これらは排反である。
- 1回目に白球を取り出し、2回目に白球を取り出す
- 1回目に赤球を取り出し、2回目に白球を取り出す
まず、1回目に白球を取り出す場合の確率は
次に、1回目に赤球を取り出す場合の確率は
よって、
は また、1回目に白球を取り出した条件の下、2回目に白球を取り出す確率
は 以上より、
なので、事象と は独立ではない。 取り出した球は袋に戻すので、2回目に取り出すときも袋の中は白球4個、赤球3個のままである。よって、1回目に白球を取り出したという条件の下、2回目に白球を取り出す確率
は また、1. と同じように2回目に取り出す球だけに着目すると、
である。以上より、
なので、事象と は独立である。 52枚のうち、ハートは13枚、エースは4枚、ハートのエースは1枚であるから
である。ここで
となるので、事象
と は独立である。 53枚のうち、ハートは13枚、エースは4枚、ハートのエースは1枚であるから
である。ここで
となり、
なので、事象と は独立ではない。
以上より、独立であるのは2. と 3.である。
重複試行
独立試行とは何か
独立事象で見たように、 硬貨投げの事象とさいころ投げの事象は互いに影響を及ぼさなかった。
一般に、試行
重複試行とその確率
「1つのさいころを続けて5回投げる」のように、互いに影響を与えない同じ試行を繰り返すとき、 この一連の独立な試行のことを重複試行または反復試行(repeated trials)という.
暗記2重複試行の確率~その1~
さいころを5回投げるとき、1の目が2回出る確率
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さいころを5回投げて2回だけ1の目が出るのは、表のように
あり、これらの事象
今、
となる。
他の事象
となる。
上記の例題において、1の目の出る回数
となり、一般に次のことがいえるのがわかる。
定理5重複試行の定理
ある試行において、事象
となる。
問題3重複試行の確率~その2~
- 全部の解答が間違っている確率を求めよ。
- 3題だけが正解である確率を求めよ。
- 少なくとも2題が正解である確率を求めよ。
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6題それぞれについて、間違う確率は
だから、求める確率は となる。6題のうち3題を何題目で間違うかには
通りの場合があるから 「少なくとも2題が正解である」の余事象は「全部の解答が間違っているか、または1題だけが正解である」である。 全部の解答が間違っている確率は1. で求めたので、1題だけが正解である確率を以下で求める。
6題のうち1題を何題目で正解するかは
通りの場合があるから よって、求める確率は
最終更新: 2026-08-20
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