数学I 第2章 関数と方程式・不等式 — 2次方程式と2次関数

2次関数 が与えられたとき、このグラフと2次方程式 の間には密接な関係がある。ここではまず2次方程式の解法について復習し、その解が2次関数とどのような関係にあるか考えていく。

2次方程式とは

2次方程式とは

を定数として という形で表すことのできる方程式を2次方程式 (quadratic equation) という。

与えられた2次方程式を満たす の値を求めることを、その2次方程式を解くといい、 その の値を、その2次方程式の解とよぶ。

2次方程式の解法

因数分解を利用した解法

2次方程式 の左辺が因数分解できる場合には、実数 についての積の性質 をもちいて、次の例のように解くことができる。

なお、「または」はカンマ「」で代用されることがある。

暗記12次方程式の解法(因数分解の利用)

2次方程式 を、因数分解を使って解くことを考えよう。

左辺を因数分解すると、2次方程式は と変形できる。

一般に、実数 について が成り立つから、 と考えれば が成り立つ。

この2つの式は、1次方程式であり、それぞれ解くと となり、これが2次方程式の解である。

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問題12次方程式を解く(因数分解の利用)

次の2次方程式を解け。

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  1. 左辺を因数分解して
  2. 左辺を因数分解して
  3. 左辺を因数分解して
  4. まず、式を整理すると となるので、左辺を因数分解して
  5. 両辺を 倍すると となるので、左辺を因数分解して

2次方程式の解の公式による解法

2次方程式 は以下のように解くことができる。 一般に、 の形 の2次方程式は、上のようにして解くことができる。つまり、一般の2次方程式 も、 の形に変形できれば解ける。

では、どのように変形すれば という形になるのだろうか。それには、すでに学習した方法である『平方完成』(『 のグラフ』を参照)を使う。

暗記2平方完成を利用した2次方程式の解法

『2次方程式の解法』の例題では、因数分解を利用して解いた2次方程式 を、今度は平方完成を使って解いてみよう。

まず、 の係数 によって の項をくくると を利用して、中かっこ の中を平方完成すると 2乗して になるので、 の平方根であるから が解となる。

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以上のように、平方完成を利用すれば、一般の2次方程式を解くことができることがわかった。しかし、2次方程式を解くたびに平方完成を実行していたのでは大変なので、結果を公式化してみよう。

具体的な2次方程式 3x^2+2x-8=0 と一般の2次方程式 ax^2+bx+c=0 について、平方完成を経て x=(-b±√(b^2-4ac))/2a を導く式変形の過程が左右並列で示されている。

を満たす実数 は、 であるが、 を満たすような実数 は存在しない。同様に、上の式変形での において、右辺にある「 」の値が 以上ならば、この2次方程式は解をもつが、「 」の値が負ならば、この2次方程式は解をもたない。

この 2次方程式の判別式 (discriminant) といい、2次関数の場合と同じように で表す。

§

定理12次方程式の解の公式

のとき、 の解は である。

問題22次方程式を解く(解の公式の利用)

次の2次方程式を解け。

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  1. 解の公式より
  2. 解の公式より
  3. 解の公式より
  4. 解の公式より が意味をもたないため、答えは解なし。
  5. 解の公式より
  6. 方程式の両辺に を掛けて整理すると 解の公式より

の係数が偶数の場合の解の公式

2次方程式 において が偶数の場合を考えてみよう。 とおいて、 に解の公式を使うと次のようになる。

  • 具体的な2次方程式
  • 一般の2次方程式

このように、 の係数が偶数の場合には、計算の最後で2で約分する必要があるので、解の公式を別に用意して、この手間をはじめから回避してしまおう。

§

定理2 の係数が偶数の場合の解の公式

のとき、2次方程式 の解は である( のときは解は存在しない)。

問題32次方程式を解く(解の公式の利用・ の係数が偶数の場合)

次の2次方程式を解け。

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  1. の係数が偶数の場合の解の公式より

  2. 方程式の両辺に を掛けて整理すると

    の係数が偶数の場合の解の公式より

  3. 方程式の両辺に を掛けて整理すると

    の係数が偶数の場合の解の公式より

2次方程式の解の個数

解自体ではなく解の個数だけならば、判別式 を調べればよい。

§

定理32次方程式の判別式と解の個数

2次方程式 の解について

  1. のとき、解は2つ存在する。

  2. のとき、解は1つ存在する。

    このただ1つの解は重解 (multiple solution) とよばれる。

  3. のとき、解は存在しない。

問題42次方程式の解の個数の判別

2次方程式 の解の個数は、定数 の値によってどのように変わるか調べよ。

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2次方程式 の判別式を とすると

  1. 、つまり のとき

    となり、方程式の解は2つ存在する。

  2. 、つまり のとき

    となり、方程式の解は1つ存在する。

  3. 、つまり のとき

    となり、方程式の解は存在しない。

以上i~iiiより、解の個数は次のようになる。

問題52次方程式の解の個数の判別(の係数が偶数の場合)

2次方程式 の解の個数は、定数 の値によってどのように変わるか調べよ。

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2次方程式 の判別式を とすると

  1. 、つまり のとき

    となり、方程式の解は2つ存在する。

  2. 、つまり のとき

    となり、方程式の解は1つ存在する。

  3. 、つまり のとき

    となり、方程式の解は存在しない。

以上i~iiiより、解の個数は次のようになる。

2次方程式の解と因数分解

ここまで、2次方程式の解法が2つあることをみてきたが、その2つを見比べてみよう。

  1. 因数分解を利用した解法
  2. 解の公式を用いた解法

上の の部分を、iの因数分解に対応させて、 の因数分解 が予想できる。そこで、 の右辺を展開してみると となり、 の式の左辺と一致している。つまり、 の因数分解は正しい。

一般に、2解α(アルファ)、β(ベータ)をもつ2次方程式 の左辺は、 と因数分解できる。すなわち、 が成立する。ここで の係数を比較すると、次のようになる。

§

定理4解と係数の関係

2次方程式 に2解 が存在するとき が成立する。

なお、2次方程式 の2解が の場合には、この方程式全体を で割ることによって、 としてから考えればよい。つまり、 となる。

問題6解と係数の関係

2次方程式 の2解が であったとき、 を求めよ。

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の両辺を で割って、 となる。この2次方程式の2解が になるので

これより、 である。

2次方程式と2次関数の関係

2次関数から2次方程式を考える

2次関数 において、2次関数の判別式 以上であれば、放物線 軸と共有点をもつ。

このとき、「共有点の 座標」を求めることを考えてみよう。

たとえば、2次関数 について、放物線 軸の共有点の座標を求めてみよう。

における判別式 の値は と計算できるので、 のグラフは 軸と2つの共有点をもつのがわかる。

x軸と、右上に y=x^2-x-2 と添えられた下に凸の放物線がある。y軸や具体的な目盛りはなく、放物線がx軸と2つの共有点をもつ位置関係が描かれている。 このグラフによる 軸との共有点の 座標は である。よって、共有点の 座標は という2次方程式の解である。この方程式の解は、左辺を因数分解することにより と求めることができる。

座標平面上に、下に凸の放物線 y=x^2-x-2 が描かれている。この放物線は x軸と x=-1、x=2 の2点で交わっており、その交点に黒丸が打たれている。 つまり、 のグラフと 軸との共有点の 座標は である。

暗記32次関数から2次方程式を考える

2次関数 について、放物線 軸の共有点の座標を求めたい。次の空欄に適当な数字を入れよ。

における判別式 の値は と計算できるので、 のグラフは 軸と2つの共有点をもつのがわかる。

このグラフによる 軸との共有点の 座標は である。よって、共有点の 座標は という2次方程式の解である。

この式は簡単には因数分解できないので、解の公式を用いて解を求める。

すなわち、 のグラフと 軸との共有点の 座標は である。

下に凸の放物線 y=x^2-3x-3 と、右向きに矢印のあるx軸が描かれている。放物線はx軸と2箇所で交わっており、原点やy軸、数値の目盛りは示されていない。 x軸と交わる下に凸の放物線 y=x^2-3x-3 があり、2つの共有点の x座標に D分の(C-√A) と D分の(C+√A) がそれぞれ示されている。

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§

定理5放物線と 軸との共有点

判別式 以上である2次関数 のグラフと との共有点の 座標は

2次方程式 の解である。

下に凸の放物線 y=ax^2+bx+c と x軸が2点で交わっており、その2つの共有点を指す矢印とともに「ax^2+bx+c=0 の解」と書かれている。

問題7放物線と 軸との共有点を調べる

次の放物線の、 軸との共有点の数を調べよ。また、 軸との共有点があれば、その共有点の座標を求めよ。

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  1. 座標平面上に、下に凸の放物線 y=x^2-x-1 が描かれている。この放物線はx軸と2つの共地点をもち、それぞれのx座標は (1-√5)/2 と (1+√5)/2 である。

    判別式を とすると なので、軸と2つの共有点をもつ。

    また

    だから、このグラフと 軸の共有点の座標はとなる。

  2. xy平面上に、上に凸の放物線 y=-4x^2+4x-1 が描かれている。この放物線は、頂点である x軸上の x=1/2 の点で x軸と接している。

    判別式を とすると

    なので、軸と1つの共有点をもつ(接する)。

    また だから、このグラフと 軸の共有点の座標はとなる。

  3. x軸、y軸と原点Oがある座標平面上に、下に凸の放物線 y=x^2-x+1 が描かれている。放物線は全体がx軸の上方に位置しており、x軸と交わっていない。

    判別式を とすると なので、軸と共有点をもたない。

問題8 軸と接するための条件

2次関数 のグラフが 軸と接するように、定数 の値を定めよ。

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2次関数 の判別式を とすると

放物線が 軸と接するのは のときであるから

になる

2次関数の決定において、 軸との共有点がわかっている場合を考えてみよう。

放物線 軸との交点の 座標が であったとする。このとき、放物線と 軸との共有点で学んだように、 の解も である。

さらに、解と係数の関係で学んだことを用いると、 の両辺を で割った の左辺は、2解が であることから と因数分解できる。つまり であり、この両辺に を掛けて、 とわかる。

問題92次関数の決定( 軸との交点の座標が与えられた場合)

グラフと 軸との交点の座標が であり、点 を通る2次関数の式を求めよ。

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軸との交点の 座標が なので、求める2次関数は とおける。

また、この2次関数は を通るので,より を得る。これより、 となるので、求める2次関数は 、つまり となる。

2次方程式から2次関数を考える

次は、2次関数から2次方程式を考えてみよう。「放物線と 軸との共有点」を逆に考えれば、次のことがわかる。

§

定理62次方程式の解をグラフに表す

判別式 以上である2次方程式 の解は、2次関数 のグラフと 軸との「共有点の 座標」に表れる。

下に凸の放物線 y=ax^2+bx+c と x軸が2点で交わっている。下側の「ax^2+bx+c=0 の解」という文字から、それぞれの共有点へ矢印が伸びている。 この事実について、もう少し深く考察してみよう。

たとえば、2次方程式 の解について考える。 ここで、上の2次方程式の左辺を とおいた2次関数 のグラフと、 軸との交点の 座標は、方程式 の解と一致する。

なぜなら、この 座標は、2次関数の式 を代入した を解くことによって求められるからである。

いま、この2次関数 の判別式 となるので、この放物線は 軸と1つの共有点をもつ。

2次関数 y=4x^2-12x+9 のグラフである下に凸の放物線が、x軸上の 3/2 の点で接している。接点である x=3/2 の位置には黒丸がつけられている。 実際、この2次方程式を因数分解してみると より、 となり、これが 軸との交点の 座標となっている。

暗記42次方程式から2次関数を考える

次の空欄に適当な数字または文字を入れよ。

2次方程式 の解について考える。

ここで、上の2次方程式の「左辺を とおいた2次関数」 のグラフと、 軸との交点の 座標は、方程式 の解と一致する。

なぜなら、この 座標は、2次関数の式 を代入した を解くことによって求めるからである。

いま、この2次関数 の判別式 となるので、この放物線は 軸と共有点をもたない。

実際、2次方程式 の判別式も となり、を満たす実数 は存在しないことがわかる。

xy平面上に、x軸と共有点を持たない下に凸の放物線 y=x^2-4x+5 が描かれている。放物線全体がx軸より上側に位置しており、y軸と正の部分で交わっている。
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以上のことから、次のことがまとめられる。

§

定理7「2次方程式の解」と「2次関数のグラフと 軸との共有点の 座標」の対応

2次方程式 の解は、この式の左辺を とおいた2次関数 のグラフと 軸との交点の 座標と一致する。

判別式 の符号と、2次関数 のグラフと 軸との位置関係、および2次方程式 の解の個数について、次のようにまとめられる。

下に凸の放物線 y=ax^2+bx+c と x 軸が2点で交わっており、その2つの交点を指す矢印とともに、下に「ax^2+bx+c=0 の解」と書かれている。 判別式 D の符号(D>0、D=0、D<0)ごとに、2次関数 y=ax^2+bx+c のグラフと x 軸との位置関係や、2次方程式 ax^2+bx+c=0 の解の対応がまとめられている。

連立方程式と関数

曲線の交点

放物線 と直線 の交点の座標 を同時に満たす であり、連立方程式 を解けば求められる。

座標平面上に、下に凸の放物線 y=x^2-4x+5 と直線 y=2x-3 が描かれており、2つのグラフは点(2, 1)と点(4, 5)で交わっている。 の左辺に代入してこれを解くと となる。そこで を求めれば

  • のとき より
  • のとき より

であるので、交点の座標は とわかる。

問題10放物線と直線・放物線の交点

放物線 について

  1. 直線 との交点を求め、 のグラフを描け。
  2. 放物線 との交点を求め、 のグラフを描け。
  3. 直線 との共有点が1つであるように、 の値を定めよ。また、そのときの のグラフを描け。
  4. 放物線 との共有点が1つであるように、 の値を定めよ。また、そのときの のグラフを描け。
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  1. の交点の座標は、連立方程式     の解に一致する。

    の左辺に を代入してこれを解くと

    座標平面上で、下に凸の放物線 C と右下がりの直線 L1 が 2 点で交わっており、交点の座標が (-1, 6) と (2, 3) であることが示されている。

    となる。 に代入して を求めれば

    • のとき
    • のとき

    であるので、交点の座標は である。

    グラフは。上の図のようになる。

  2. の交点の座標は、連立方程式 の解に一致する。

    の左辺に を代入してこれを解くと

    座標平面上に、下に凸の曲線Cと上に凸の曲線C1が描かれており、2つの交点の座標は(-1, 6)と(3/2, 9/4)であることが示されている。

    となる。 によって を求めれば

    • のとき
    • のとき

    であるので、交点の座標は である。

    グラフは、上の図のようになる。

  3. 2つのグラフの共有点が1つであるには、連立方程式 の解が重解であればよい。

    の左辺に を代入して となる。 の判別式を となればよいので、

    このとき、直線 を表す式は となる。

    座標平面上に、頂点(1, 2)でy軸上の点(0, 3)を通る下に凸の放物線Cと、x軸の3/2を通る直線L_2が描かれており、両者はy軸上の点(0, 3)で交わっている。

    また、 の共有点は、再び連立方程式 を解いて

    つまり、グラフは上の図のようになる。

  4. 2つのグラフの共有点が1つであるには、連立方程式 の解が重解であればよい。

    の左辺へ を代入して となる。 の判別式を となればよいので、

    1. 座標平面上に、ともに下に凸である2つの放物線C, C2が描かれている。放物線Cの頂点は(1, 2)、C2の頂点は(-1/3, 14/3)であり、2つの放物線は点(-1, 6)で交わっている。

      のとき

      放物線 を表す式は となる。 の共有点は、再び連立方程式 を解いて

      グラフは、次の図のようになる。

    2. 座標平面上に、ともに下に凸な2つの放物線CとC2がある。2つの放物線はy軸上の点(0, 3)で交わっており、Cの頂点は(1, 2)、C2の頂点は(1/3, 8/3)である。

      のとき

      放物線 を表す式は となる。 の共有点は、再び連立方程式 を解いて

      グラフは、上の図のようになる。

放物線と直線、放物線と放物線の共有点が1点のとき、その2つのグラフはその点で接するといい、その共有点を接点という。

たとえば上の例題の3では、直線 と放物線 は接していて、その接点は である。

最終更新: 2026-08-12

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