数学I 第6章 平面図形・空間図形の計量 — 三角比の応用

ここでは、三角形の分析を行うための基本ツールである、正弦定理や余弦定理などを学んでいこう。

三角形の面積と三角比

三角形の面積

の面積を、2辺の長さ と、その間の角度 を用いて表すことを考えてみよう。次の1つめの図は が鋭角の場合、次の2つめの図は が鈍角の場合を表している。

鋭角三角形ABCがあり、辺BCの長さがa、辺ACの長さがb、角Cがθで示されている。頂点Aから底辺BCに下ろした垂線AHの長さはhと表されている。
鈍角三角形ABCがあり、辺BCの長さがa、辺ACの長さがb、角ACBがθである。辺BCの延長上に頂点Aから垂線AH'を下ろしたとき、垂線の長さはhで、角ACH'は180°-θと示されている。

前の図の三角形において、底辺を とすれば高さは であるから、三角形の面積 はどちらも である。

ここで高さ は、上の1つめの図では、 であり、上の2つめの図でも である。すなわち、 が鋭角、鈍角のどちらの場合でも、高さは となり と表すことができる(これは、 の直角三角形の場合も含んでいる)。

§

定理1三角形の面積

図の三角形の面積 で表せる。

隣り合う2辺の長さがaとbで、その挟む角がθである2つの三角形が並んでいる。左側は角θが鋭角の三角形、右側は角θが鈍角の三角形であり、ともに底辺の長さがaである。

正弦定理

正弦定理について

三角形の3つの頂点を通る円を、その三角形の外接円 (circumscribed circle) という。1つの三角形に対し、外接円は1つに定まる。

いま、図のような三角形とその外接円を考える。

このとき、外接円の半径を とすると が成り立つ。これを、正弦定理 (sine theorem) という。この式が成り立つことを、 が鋭角、直角、鈍角の場合に分けて以下にみていこう。

円に内接する三角形があり、左下の角には角Aを表す記号が付けられている。また、その角に向かい合う右側の辺にはaと添えられている。
  1. が鋭角のとき

    図のように、 に外接する円に、直径 を引くと、下図のようになる。

    円Oに内接する△ABCが描かれており、中心Oは三角形の内部にある。角Aの位置に記号Aが、辺BCの外側にその長さを示す記号aが添えられている。
    円Oに内接する△ABCと、中心Oを通る直径BDを斜辺とする直角三角形DBCが描かれている。辺BCの長さはa、直径BDの長さは2Rで、∠Aと∠Dに角の記号が付いている。

    いま、 は直径であるから、半円の弧に対する円周角より となる。よって、図の は直角三角形となるから であり、円周角の定理より であるから となり成立。

  2. が直角のとき

    であるから、弧 に対する中心角は円周角 の2倍の となり、 は外接円の直径である。よって、 であるから

    円Oに内接する三角形ABCがあり、∠Aの位置には直角記号が付けられている。斜辺BCは円の中心Oを通る直径であり、その長さを示すa=2Rという式が添えられている。

    となり成立。

暗記1正弦定理の導出

上の続きとして、 が鈍角のとき正弦定理が成り立つことを証明せよ。

解答を見る

に外接する円に、直径 を引くと、図のようになる。

いま、 は直径であるから、半円の弧に対する円周角より となる。よって、図の は直角三角形となるから であり、円に内接する四角形の性質から であるから となり成立。

円Oに内接する鈍角三角形ABCと、直径BDを斜辺とする直角三角形DBCが描かれている。辺BCの長さはa、直径BDの長さは2Rで、∠BCDは直角である。
§

定理2正弦定理

において が成り立つ。

ただし、 の外接円の半径とする。

破線の外接円に内接する△ABCがある。頂点A、B、Cの内角が角A、角B、角C、それぞれの対辺である辺BC、CA、ABの長さがa、b、cと示されている。

問題1正弦定理の利用~その1~

において、 のとき、 の値を求めよ。また、 の外接円の半径を求めよ。

解答を見る

正弦定理より、 であるから 同じく正弦定理より、 であるから

△ABCにおいて、∠Aの大きさが45°、∠Bの大きさが60°であり、底辺にあたる辺BCの長さが12であることが示されている。

問題2正弦定理の利用~その2~

において、各辺の長さが であるとき、 の値を求めよ。

解答を見る

の外接円の半径を とすると、正弦定理より であるから

頂点Aが上に位置する△ABCにおいて、辺BCの長さが2、辺ACの長さが4、辺ABの長さが5であることが、それぞれの辺の外側に数値で付記されている。

余弦定理

第1余弦定理

図のような三角形の2つの角と2辺の長さの間に次の関係式が成り立つ。

三角形の左下の角がA、右下の角がBと示されている。底辺の長さはc、左側の辺はb、右側の辺はaで、上の頂点の上には目をかたどったイラストが添えられている。 これを、第1余弦定理 (first cosine theorem) という。

この式が成り立つことを、 が鋭角、直角、鈍角の場合に分けて、以下に見ていこう。

  1. が鋭角のとき

    鋭角三角形ABCにおいて、頂点Cから辺ABに下ろした垂線CHが破線で描かれている。各辺の長さはBCがa、CAがb、ABがcである。

    線分 上に、図のように垂線 をひくと となり成立。

    なお、 が鈍角のときは、垂線の足 が点 の外側に出るため とはならないが、頂点 を入れかえて考えれば、下の が鈍角のときと同じ議論になる。

  2. が直角のとき

    角Aが直角である直角三角形ABCがあり、頂点Aが左下、Bが右下、Cが左上にある。辺BCの長さがa、辺CAの長さがb、辺ABの長さがcと示されている。

    より、 となるので となり成立。

暗記2第1余弦定理の導出

上の続きとして、 が鈍角のときも第1余弦定理が成り立つことを証明せよ。

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直線 上に、図のように垂線 をひくと

鈍角三角形ABCがあり、頂点Cから直線ABに下ろした垂線の足がHである。辺BC、CA、ABの長さはそれぞれa、b、cで表されている。
§

定理3第1余弦定理

において が成り立つ。

三角形ABCが描かれており、各頂点の内側に角A、角B、角Cが示されている。また、それぞれの角に向かい合う辺の外側には、辺の長さa、b、cが書かれている。
三角形の上の角から見下ろし、左の辺bと右の辺aを底辺に向かって押し下げる下向きの矢印が描かれ、底辺がb cos Aとa cos Bの2つの線分に分けられている。

第2余弦定理(余弦定理)

三角形の1つの角と3辺の長さの間に次の関係式が成り立つ。 これを、第2余弦定理 (second cosine theorem) といい、単に余弦定理 (cosine theorem) というときにはこちらを指す。

ここで は、長さ の2辺のはさむ角であり、 でいえば にあたる。

3辺の長さがa, b, cである三角形があり、長さbとcの辺の間の角がθと示されている。その角θのすぐ外側には、角度の視点を表す目のイラストが描かれている。 この式が成り立つことを、 が鋭角、直角、鈍角の場合に分けて、以下に見ていこう。

  1. が鋭角のとき

    角Aが鋭角である△ABCにおいて、頂点Cから辺ABに垂線CHが引かれている。また、辺BCの長さをa、CAの長さをb、ABの長さをcと表している。

    図のように、線分 上に垂線 をひき、 に三平方の定理を用いると となり成立。

    なお、 が鈍角のときは、垂線の足 が点 の外側に出るため となるが、 は変わらないので、上と同じ計算で成り立つ。

  2. が直角のとき

    ∠Aが直角である直角三角形ABCがあり、頂点Aには直角の記号が付いている。辺BCの長さがa、辺CAの長さがb、辺ABの長さがcと表されている。

    より、 となるので となり成立。

暗記3余弦定理の導出

上の続きとして、 が鈍角のときも余弦定理が成り立つことを証明せよ。

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直線 上に、図のように垂線 をひき、 に三平方の定理を用いると となり成立。

直線上に左から点H、A、Bが並び、頂点Cから直線ABに下ろした垂線の足がHとなる三角形ABC。辺BCの長さをa、辺CAをb、辺ABをcと表している。
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定理4第2余弦定理(余弦定理)

において が成り立つ。

三角形ABCがあり、頂点A、B、Cの内角がそれぞれA、B、Cと示されている。また、辺BCの長さがa、辺CAの長さがb、辺ABの長さがcと示されている。

問題3余弦定理の利用~その1~

において、 のとき、 の値を求めよ。

解答を見る

からみる余弦定理より よって、 である。

△ABCにおいて、辺ACの長さが3、辺ABの長さが4√2、辺BCの長さがaと表されている。また、∠Aの大きさが45°と示されている。 の3辺の長さ がわかっているとき、 の大きさは、余弦定理を変形した から求めることができる。

問題4余弦定理の利用~その2~

において、 のとき、 の値を求めよ。また、 を求めよ。

解答を見る

に点 からみる余弦定理を用いると、 。これより よって、 となる。

同じく余弦定理を用いると、 。これより

△ABCにおいて、辺ABの長さが5、辺BCの長さが√21、辺CAの長さが4であることが、それぞれの辺の外側に添えて示されている。

最終更新: 2026-08-19

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