不等式の証明の練習問題(全12問・解答つき)
数学II「不等式の証明」(式と証明)の練習問題を12問まとめました。解答は各問のすぐ下に折りたたんであります。そのまま印刷すれば、解答の見えない問題プリントになります。
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問題1不等式の証明-その1-
次の不等式を証明せよ.
- a > 1,b > 1 ならば,
ab + 1 > a + b
- a > c,b > d ならば,
ab + cd > ad + bc
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(左辺) - (右辺)を計算すると
ab+1-(a+b) =a(b-1)-(b-1) =(a-1)(b-1)
a > 1,b > 1 より, a − 1 > 0,b − 1 > 0 だから, (a − 1)(b − 1) > 0 が成り立つ.
以上より, ab + 1 > a + b が証明された.
(左辺) - (右辺)を計算すると
(ab+cd)-(ad+bc) =a(b-d)-c(b-d) =(a-c)(b-d)
a > c,b > d より, a − c > 0,b − d > 0 だから, (a − c)(b − d) > 0 が成り立つ.
以上より, ab + cd > ad + bc が証明された.
問題2平方による比較
次の不等式を証明せよ.等号のあるものについては,等号が成り立つ場合を調べよ.
- a > 0 かつ b > 0 のとき
√a+√b>√(a+b)を証明せよ.
- a≧0 かつ b≧0 のとき,
3√a+2√b≧√(9a+4b) を証明せよ.
解答を見る
√a+√b (>0)≧0,√(a+b) (>0)≧0 なので,
(左辺) ² > (右辺)² を示せばよい. 平方による比較
(左辺) ² − (右辺)²
\begin{eqnarray}
&=&a+2\sqrt{ab}+b-(a+b)\
&=&2\sqrt{ab}>0
\end{eqnarray}
よって,(左辺) > (右辺)が証明された.
3√a+2√b≧0,√(9a+4b)≧0 なので,
(左辺) ²≧ (右辺) ² を示せばよい. 平方による比較
(左辺) ² − (右辺) ²
=(3√a+2√b )²-(√(9a+4b) )² =9a+12√ab+4b-(9a+4b) =12√ab≧0
(左辺) ≧ (右辺)が証明された.
特に,等号が成立するのは, 12√ab=0 ,すなわち a = 0 または b = 0 のときである.
さきほども述べたように,不等式 A≧ B を証明する基本は,それと同値の内容の A-B≧0 を証明することである. ある値が 0 以上になることをいうには,一般にはいろいろな方法があるが, 次の節から扱う有名な不等式を利用することが多い.
問題3実数の平方を利用した不定式の証明
次の不等式を証明せよ.等号のあるものについては,等号が成り立つ場合を調べよ.
- (x+y)²-2xy ≧ x²-y²
- x³ > y³ のとき, x > y
- x ≧ y ≧ 0 のとき,
√x+√y≦ √2(x+y)
解答を見る
(左辺) − (右辺)を計算すると
(左辺) − (右辺)
\begin{eqnarray}
&=&(x+y)^2-2xy-(x^2-y^2)\
&=&(x^2+y^2+2xy)-2xy-x^2+y^2\
&=&2y^2\geqq 0 \end{eqnarray}
実数の平方
より,(左辺) ≧ (右辺)である.
また,等号が成立するのは, 2y² = 0 ,すなわち y = 0 のときである.
条件式の(左辺) − (右辺)を計算すると
x³-y³>0 ⇔ (x-y)(x²+xy+y²)>0 ⇔ (x-y){(x+y/2)²-y²/4+y²} >0 平方完成をした
⇔ (x-y){(x+y/2)²+3y²/4} >0
1
(x+y/2)²+3y²/4≧0 であるが, (x+y/2)²+3y²/4=0 のときは,が成り立たないので, (x+y/2)²+3y²/4>0 である. 実数の平方
よって,より x − y > 0 ,すなわち x > y .
(右辺) ≧0 ,(左辺) ≧0 なので, (右辺) ² − (左辺)) ²≧0 を証明すればよい. 平方による比較
(右辺) ² − (左辺) ²=(√2(x+y) )²-(√x+√y )²
=2(x+y)-(x+2√xy+y) =x+y-2√xy =(√x-√y )²≧0 実数の平方
であるので,(右辺) ²≧ (左辺) ²であり, (右辺) ≧ (左辺)である.
また,等号が成立するのは, √x-√y=0 ,すなわち x = y のときである.
問題4相加平均
次の値の相加平均を求めよ.
- 24,56
- 1/2,1/3
- 3/2,1/3,5/4
- 1,√3,√2/3
解答を見る
- (24+56)/2=80/2=40
- (1/2+1/3)/2=(5/6)/2=5/12
- (3/2+1/3+5/4)/3=((18+4+15)/12)/3
=(37/12)/3=37/36
- 1+√3+√2/3=(3+3√3+√2)/3 より、
(3+3√3+√2)/9
問題5相乗平均
次の値の相乗平均を求めよ.
- 2 , 8
- 1 , 3 , 9
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- √(2・ 8)=√16=4
- √[3]1・ 3・ 9=√[3]27=3
問題6相加平均と相乗平均の関係を利用した不等式の証明
ただし, x > 0,y > 0,z > 0 とする.
- x+1/x≧ 2
- x+9/(x+2)≧ 4
- (x+1/y)(y+4/x)≧ 9
- (x+y)(y+z)(z+x)≧ 8xyz
解答を見る
x>0,1/x>0 であるから,相加平均と相乗平均の関係より
△xと1/xをかけると約分され定数になることに着目した
x+1/x≧ 2√(x・1/x)=2
また,等号が成立するのは x=1/x ,すなわち x = 1 のときである. x > 0 である
x + 2 > 0,1/(x+2)>0 であるから,相加平均と相乗平均の関係より
△ (1)のような形にもちこみたいため, x ではなく x + 2 をかたまりとして考えてみる.
(x+2)+9/(x+2) ≧ 2√((x+2)・9/(x+2))=6
よって, x+9/(x+2)≧ 4 となる.
また,等号が成立するのは x+2=9/(x+2) ,すなわち
(x+2)²=9 ⇔ (x+5)(x-1)=0 ∴x=1 x > 0 である
のときである.
x > 0,1/x>0,y > 0,1/y>0であるから, 相加平均と相乗平均の関係より
(x+1/y)(y+4/x) =xy+4/xy+1+4 ≧ 2√(xy・4/xy)+1+4=9 xy と 1/xy をかけると約分されて定数になるような形があらわれた
また,等号が成立するのは, xy=4/xy ,すなわち
x²y²=4 ∴xy=2
x > 0,y > 0 より, xy > 0 である
のときである.
x > 0,y > 0,z > 0 であるから,相加平均と相乗平均の関係より
x+y≧ 2√xy y+z≧ 2√yz z+x≧ 2√zx
であるから,辺々を掛け合わせて
(左辺)
≧ (2√xy)(2√yz)(2√zx) =8xyz
また,等号が成立するときは x = y,y = z,z = x ,すなわち x = y = z のときである.
相加平均と相乗平均の関係は,上の例題で見たような不等式の証明だけでなく,次の例題でみるように最小値を求める際にも利用できる.
問題7相加平均と相乗平均の関係を利用して最小値を求める
次の関数の最小値を求めよ.
- f(x)=x+1/x (x>0)
- f(x, y)=y/x+x/y (x>0, y>0)
解答を見る
x > 0より 1/x>0であるから,相加平均と相乗平均の関係より
x+1/x≧2√(x・1/x)=2
△ ここまででいえたことは f(x)≧2 である
等号が成り立つのは x=1/x ,すなわち
x²=1 ∴x=1 x > 0 である
以上より,最小値は f(1)=2 とわかる.
△ 等号が成立する x の存在がわかって初めて最小値といえる.
y/x>0 , x/y>0 であるから,相加平均と相乗平均の関係より
y/x+x/y≧2√(y/x・x/y)=2
△ ここまででいえたことは f(x, y)≧2 である
等号が成り立つのは y/x=x/y のとき.これを計算していくと
x²=y² ⇔ x²-y²=0 ⇔ (x-y)(x+y)=0
x > 0,y > 0 なので, x+y≠0 であるから, x = y となる.
以上より,最小値は f(x,x)=2 とわかる.
△ 等号が成立する x と y の存在がわかって初めて最小値といえる.
問題8コーシー・シュワルツの不等式を利用して最小値を求める
コーシー・シュワルツの不等式を利用して,次の関数の最大値と最小値を求めよ.
f(x, y)=x+2y
ただし, x² + y² = 1とする.
f(x, y, z)=x+2y+3z
ただし, x² + y² + z² = 1とする.
解答を見る
a = 1,b = 2 とすると,
コーシー・シュワルツの不等式より (ax+by)²≦(a²+b²)(x²+y²)
(x+2y)²≦(1²+2²)(x²+y²)
さらに,条件より x² + y² = 1 であるから
(x+2y)²≦5 ⇔ -√5≦ x+2y≦√5
1
が成り立つ.
の等号が成り立つのは
x:y=1:2
のときである. x = k,y = 2k とおき,比例式の知識を使った
x² + y² = 1 に代入すると
k²+(2k)²=1 ⇔ k=±√5/5
このとき,等号が成り立つ.
以上より,最大値 f(√5/5, 2√5/5)=√5 , 最小値 f(-√5/5, -2√5/5)=-√5 となる.
a = 1,b = 2,c = 3 とすると, コーシー・シュワルツの不等式より
(ax+by+cz)²
≦(a²+b²+c²)(x²+y²+z²)
(x+2y+3z)² ≦(1²+2²+3²)(x²+y²+z²)
さらに,条件より x² + y² + z² = 1 であるから
(x+2y+3z)²≦14 ⇔ -√14≦ x+2y+3z≦√14
2
が成り立つ.
の等号が成り立つのは
x:y:z=1:2:3
のときである. x = k,y = 2k,z = 3k とおき, x² + y² + z² = 1 に代入すると 比例式の知識を使った.
k²+(2k)²+(3k)²=1 ⇔ k=±√14/14
このとき,等号が成り立つ.
以上より,最大値
f(√14/14, 2√14/14, 3√14/14)
=√14 ,
最小値
f(-√14/14, -2√14/14, -3√14/14)
=-√14 となる.
覚えておきたい事項(4問)
暗記13文字の場合の相加平均と相乗平均の関係の証明
等式
\begin{eqnarray}
&&x^3+y^3+z^3-3xyz\
&=&(x+y+z)(x^2+y^2+z^2\
&&\qquad\qquad\qquad-xy-yz-zx)
\end{eqnarray}
1
が成り立つことを利用して, a1≧0,a2≧0,a3≧0 のとき
(a1+a2+a3)/3≧√[3]a1a2a3
を証明せよ.また,等号が成立する条件も求めよ.
解答を見る
x=√[3]a1,y=√[3]a2,z=√[3]a3 とおくと,
x≧0,y≧0,z≧0 で,
x³+y³+z³=a+b+c,
xyz=√[3]a1√[3]a2√[3]a3=√[3]a1a2a3 である.
において
x²+y²+z²-xy-yz-zx =1/2{(x-y)²+(y-z)². .+(z-x)²}≧0 実数の平方
であり
x+y+z≧0
であるから
x³+y³+z³≧3xyz ⇔ (x³+y³+z³)/3≧ xyz
よって
(a1+a2+a3)/3≧√[3]a1a2a3
また,等号が成立するのは x = y = z, すなわち a1 = a2 = a3 のとき.
一般の場合の証明は,付録一般の場合の相加平均と相乗平均の関係を参照のこと.
暗記2コーシー・シュワルツの不等式の証明-2変数版-
上のコーシー・シュワルツの不等式を証明せよ.また,等号が成立する条件も確認せよ.
解答を見る
(右辺) - (左辺)より
(a²+b²)(x²+y²)-(ax+by)² =(a²x²+b²x²+a²y²+b²y²) -(a²x²+2abxy+b²y²) =b²x²-2(bx)(ay)+a²y² =(bx-ay)²≧0
等号が成立するのは, (bx − ay)² = 0 ,すなわち bx − ay = 0 のときであり,これは
a:b=x:y
のことである. 比例式
暗記3コーシー・シュワルツの不等式の証明-3変数版-
a,b,c,x,y,z を実数とすると
(ax+by+cz)² ≦(a²+b²+c²)(x²+y²+z²)
が成り立つことを証明せよ.
また,等号が成り立つ条件も求めよ.
解答を見る
(右辺) - (左辺)より
a²(y²+z²)+b²(x²+z²) +c²(x²+y²) -2(abxy+bcyz+acxz) =a²y²-2(ay)(bx)+b²x² +a²z²-2(az)(cx)+c²x² +b²z²-2(bz)(cy)+c²y² =(ay-bx)²+(az-cx)² +(bz-cy)²≧ 0
等号が成立するのは, (ay-bx)²=0, (az-cx)²=0,
(bz-cy)²=0 すなわち,
ay-bx=0, az-cx=0,
bz-cy=0 のときであり,これは
a:b:c=x:y:z のことである. 比例式
一般の場合のコーシー・シュワルツの不等式に関しては,付録一般の場合のコーシー・シュワルツの不等式を参照のこと.
暗記4三角不等式の証明
a1,a2,a3 に関して,次の不等式を証明せよ.また,等号が成立する条件も求めよ.
- |a1+a2|≦ |a1|+|a2|
- |a1+a2+a3|
≦ |a1|+|a2|+|a3|
解答を見る
両辺とも負でないから,それぞれを2乗した式
(|a1+a2|)²≦(|a1|+|a2|)² 平方による比較
を示せばよい.
(右辺) - (左辺)
=(|a1|+|a2|)²-(|a1+a2|)² =|a1|²+2|a1||a2|+|a2|² -(a1+a2)² =a1²+2|a1||a2|+a2² -(a1²-2a1a2+a2²) aが実数のとき |a| 2 = a2である
=2(|a1||a2|-a1a2)≧ 0 a が実数のとき |a|≧aである
となるので,(左辺) ≦ (右辺)である.
等号が成立するのは, |a1||a2|− a1a2 = 0 ,すなわち
|a1||a2|-a1a2=0 ⇔ |a1a2|-a1a2=0 ⇔ a1a2≧0 | a | | b | = | ab | である.
△a≧0⇔ |a|=a である
すなわち, a1 と a2 が同符号のとき( 0 を含んでもよい)となる.
(左辺)を計算すると
|a1+(a2+a3)| ≦|a1|+|a2+a3| ≦|a1|+|a2|+|a3| a2 + a3 を一かたまりとして(1)を利用した.
△a2 と a3 に関して(1)を利用した.
となるので,(左辺) ≦ (右辺)である.
等号が成立するのは
a1(a2+a3)≧0 …(a) a2a3≧0 …(b)
(b)より,i) a2≧0 かつ a3≧0 ,または ii) a2≦0 かつ a3≦0 とわかるが
i) a2≧0 かつ a3≧0 のとき
(a)より, a1≧0
ii) a2≦0 かつ a3≦0 のとき
(a)より, a1≦0
すなわち, a1,a2,a3 がすべて同符号のとき( 0 を含んでもよい)となる.