数学II 第1章 式と証明 — 多項式の除法
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多項式の除法の基本定理
整数の割り算(多項式の除法)
まず,小学校以来慣れ親しんできた,整数の除法(integer division)について復習する.
たとえば,右図のような計算により,17を3で割ると,商は5で余りは2とわかる.この関係を式で表すと
17=3×5+2
となる.
このとき,17を割られる数,3を割る数と呼ぶので,一般的には次のような関係が成り立つ.
(割られる数)=(割る数)×(商)+(余り)
また,(割る数)>(余り)≧ 0の関係がある.
整数の除法とは何か,つまり整数aを整数bで割ったときの商と余りを求めるとはどういうことなのかを きちんと定義すると
a=b・ Q+r (0≦r< Q)
を満たす整数Qとrを求めることとなる. そして,この求まった値Qとrをそれぞれ,商と余りと呼ぶのである.
多項式の次数の表し方
まず,多項式の次数を表す記号を定義しておこう.
§
定義1多項式の次数
多項式f(x)の次数をdeg f(x)と表す.
たとえば, f(x) = x3 − 4x2 + 5x − 1,
g(x) = 3x2 − 4x + 5とするとき, deg f(x) = 3,deg g(x) = 2である.
多項式の除法について
整数の除法に続き,今度は多項式の除法(polynomial division)について考えてみる.
たとえば,「 x³ – x² + 2x – 3を x² + 2x – 1で割る」とは
x³-x²+2x-3 =(x²+2x-1)Q(x)+r(x)
と変形することであると定義する. ただし,このときQ(x),r(x)は共にxの多項式であり, deg(x² + 2x − 1) > deg r(x)であるとする. この結果のQ(x)とr(x)をそれぞれ, 多項式の除法における商(quotient)と余り(remainder)と呼ぶ.
§
定義2多項式の除法
多項式f(x),g(x)において
f(x)=g(x)Q(x)+r(x) (deg r(x) < deg g(x))
と変形できたとき,Q(x)を商,r(x)を余りという.
特に,余りr(x)が0のとき,f(x)はg(x)で割り切れるという.
さきほどの例では,商Q(x)はx – 3,余りr(x)は9x – 6となる.つまり
x³-x²+2x-3 =(x²+2x-1)×(x-3)+(9x-6)
となる.各自,以下の2点について確認しておこう.
- 上の式の右辺を展開すると左辺と等しいこと
- x² + 2x – 1の次数が余り9x – 6の次数より大きいこと
以下では,多項式の除法の計算方法についてみていく.
多項式の除法の計算方法
多項式の除法の計算方法
ここでは, x⁴ + 3x³ – 4x + 3を x² − 3x + 1で割ったときの商と余りを求める方法を 例として,具体的な計算方法を見ていく. 計算方法には次の2つの方法がある.
問題1除法の計算方法~筆算形式~
x⁴ + 3x³ − 4x + 3を x² − 3x + 1で割ったときの商と余りを求めよ.
解答を見る
STEP1
まず,整数の割り算と同じように,下図のように書いておく.この例題では,割られる多項式にはx²の項はないが,その場合でも 適度にスペースを空け,計算できるようにしておく.
STEP2
x² − 3x + 1に何をかけて引くと, x⁴ + 3x³ − 4x + 2の最高次の項x⁴が消えるかを考える. この例題ではx²なので,x²を下図のように書く.
STEP3
下図のようにして, x² − 3x + 1にx²をかけた式を x⁴ + 3x³ − 4x + 2から引く.
STEP4
STEP2と同じように,6x³が消えるように x² − 3x + 1に6xをかけて引く.
STEP5
同じように,17x²が消えるように x² − 3x + 1に17をかけて引く.
STEP6
最下段の41x – 15の次数が,割る多項式 x² − 3x + 1の次数より低いので,ここでやめる.
この結果から
x⁴+3x³-4x+2 =(x²+6x+17)(x²-3x+1)+41x-15
となることがわかり,商は x² + 6x + 17,余りは41x – 15とわかる.
問題2除法の計算方法~暗算形式~
x⁴ + 3x³ − 4x + 3を x² − 3x + 1で割ったときの商と余りを求めよ.
解答を見る
STEP1
まず,右辺を展開したときにx⁴が現れるように,下のように書く.
x⁴+3x³-4x+2 =(x²-3x+1)(x² )
STEP2
このままでは,右辺のx³の係数は− 3となり,左辺の3と合わなくなるので,つじつまをあわせるために + 6xを下のように書く.こうすれば,右辺を展開したときにx³の係数が3となり,左辺とあう.
x⁴+3x³-4x+2 =(x²-3x+1)(x²+6x )
STEP3
しかし,このままでは,右辺のx²の係数は− 17となり,左辺の0と合わなくなるので,つじつまをあわせるために + 17を下のように書く.こうすれば,右辺を展開したときにx²の係数が0となり,左辺とあう.
x⁴+3x³-4x+2 =(x²-3x+1)(x²+6x+17)
STEP4
しかし,このままでは,右辺のxの係数は − 45となり,左辺の− 4と合わなくなるので,つじつまをあわせるために+ 41xを右のように書く.こうすれば,右辺を展開したときにxの係数が− 4となり,左辺とあう.
x⁴+3x³-4x+2 =(x²-3x+1)(x²+6x+17)+41x
STEP5
最後に,右辺の定数項17と左辺の定数項2を合わせるため,右のように− 15を書く. こうすれば,右辺を展開したときの定数項が17となり,左辺とあう.
x⁴+3x³-4x+2 =(x²-3x+1)(x²+6x+17) +41x-15
この結果から,商は x² + 6x + 17,余りは41x – 15とわかる.
問題3多項式の除法~その1~
次の式の組について,左側の式を右側の式で割ったときの,商と余りを求めよ.
- x² + 2x + 1,x – 1
- x³ + 3,x + 1
- x³ + x² + 4x + 3,x² − x + 1
- x⁴ + 2x³ − 3x² + 5x + 6,x² + x − 1
解答を見る
計算すると(筆算形式は下図を参照)
x²+2x+1=(x-1)(x+3)+4
となるので,商は x+3,余りは4である.
計算すると(筆算形式は下図を参照)
x³+3=(x+1)(x²-x+1)+2
となるので,商は x²-x+1,余りは2である.
計算すると(筆算形式は下図を参照)
x³+x²+4x+3 =(x²-x+1)(x+2)+5x+1
となるので,商は x+2,余りは 5x+1である.
計算すると(筆算形式は下図を参照)
x⁴+2x³-3x²+5x+6 =(x²+x-3)(x²+x-1)+9x+3
となるので,商は x²+x-3,余りは 9x+3である.
問題4多項式の除法~その2~
- x² + 2x – 3で割ると,商が x + 1,余りが x + 2になる多項式を求めよ.
- 2x³ − 3x² + 2x + 4を割ると,商が 2x + 1,余りが 2x + 3になる多項式を求めよ.
解答を見る
求める多項式をf(x)とすると,商が x + 1,余りが x + 2であるから
f(x) =(x+1)(x²+2x-3)+x+2 =x³+3x²-x-3+x+2 =x³+3x²-1
求める多項式をf(x)とおくと
2x³-3x²+2x+4 =f(x)(2x+1)+2x+3 ⇔ f(x)(2x+1)=2x³-3x²+1 ⇔ f(x)(2x+1) =(2x+1)(x²-2x+1) ∴f(x)=x²-2x+1
であるから,求める多項式は x²-2x+1である.
多項式の除法の一意性
ここまで計算してきた経験から,多項式の除法では,商や余りが必ず存在し,さらにそれらが一通りに定まることは明らかであろう.
一般に,ある定義で定められたものがただ一通りに定まることを一意性(uniqueness)という .次に,多項式の除法の一意性について,まとめておこう.
§
定理3多項式の除法の一意性
多項式f(x),g(x)において
f(x)=g(x)Q(x)+r(x) (deg r(x) < deg g(x))
を満たす多項式Q(x),r(x)が
ただ一通りに
存在する.
【証明:背理法】
【証明:背理法】
多項式f(x)とg(x)について
f(x)=g(x)Q1(x)+r1(x)
deg r1(x) < deg g(x) ①
f(x)=g(x)Q2(x)+r2(x)
deg r2(x) < deg g(x) ②
と2通りに表されたとする.
①-②より
0=g(x)Q1(x)+r1(x) -g(x)Q2(x)-r2(x) ⇔ g(x){Q1(x)-Q2(x)} =r2(x)-r1(x)
③
となる.
③において,Q1(x) – Q2(x)が0ではないとすると,左辺の次数が右辺の次数より大きくなってしまう. よって,Q1(x) – Q2(x)は0,つまり Q1(x) = Q2(x)である.
また,このとき③の左辺は0となるので
0=r2(x)-r1(x) ⇔ r1(x)=r2(x)
以上より,商と余りが一致することが示されたので,多項式の除法の商と余りは一通りに定まることが証明された.
1次の多項式の除法の計算方法
1次の多項式の除法の計算方法
多項式の除法において,特に1次式で割る場合には,前節で紹介した2つの方法以外にも, 覚えておきたい計算方法が2つある.
組立除法
ここでは, x³ + 2x² + 3x + 1をx – 2で割ったときの商と余りを求めることを例として, 具体的な計算方法を見ていく.
ここではまず,組立除法(synthetic division)という計算方法について学ぶ.
a0x³ + a1x² + a2x + a3をx – αで割ったときの,商を b0x² + b1x + b2,余りをRとすると
a0x³+a1x²+a2x+a3 =(x-α)(b0x²+b1x+b2)+R
と表せるが,右辺を展開して整理すると
a0x³+a1x²+a2x+a3 =b0x³+(b1-α b0)x² +(b2-α b1)x+R-α b2
となるので,両辺の係数を比較することにより
a0=b0 , a1=b1-α b0 , a2=b2-α b1 , a3=R-α b2
が成り立つ.
これから,b0,b1,b2,b3,Rを解くことにより,商の係数や余りは
b0=a0 , b1=a1+α b0 , b2=a2+α b1 , R=a3+α b2
と計算できる.
この計算の手順は,右上の図のように考えればよい.
たとえば, x³ − 4x² + 2x + 5をx – 2で割ったときには,右図のような計算結果になるので
商は x² − 2x − 2余り1
と求まる.
問題5例題(組立除法)
x³ + 2x² + 3x + 1をx – 2で割ったときの商と余りを組立除法で計算せよ.
解答を見る
組立除法を実行すると
となるので,商は x²+4x+11,余りは23となる.
x-aで展開するということ
x−a で展開するということ
たとえば,多項式 x³ − 4x² + 2x + 5は
x³-4x²+2x+5 =(x-1)³-(x-1)²-3(x-1)+8
のように表すことができる(右辺を展開して左辺と等しくなることを確かめてみよ). このような変形を行ったとき,右辺のような形の式のことをx – 1で展開された式という.
このように変形するには,次の手順を踏めばよい.
STEP1
まず, x³ − 4x² + 2x + 5の各項から,無理やり (x − 1)をくくる. このとき, x = (x − 1) + 1とみるのがポイントである.
x³-4x²+2x+5 ={(x-1)+1}³-4{(x-1)+1}² +2{(x-1)+1}+5
STEP2
次に, (x − 1)のかたまりを崩さないように,展開していく.
{(x-1)+1}³-4{(x-1)+1}² +2{(x-1)+1}+5 ={(x-1)³+3(x-1)². . +3(x-1)+1} -4{(x-1)²+2(x-1)+1} +2{(x-1)+1}+5
STEP3
最後に,同類項どうしで整理する.
{(x-1)³+3(x-1)²+3(x-1)+1} -4{(x-1)²+2(x-1)+1} +2{(x-1)+1}+5 =(x-1)³+3(x-1)²+3(x-1)+1 -4(x-1)²-8(x-1) -4+2(x-1)+2+5 =(x-1)³-(x-1)²-3(x-1)+8
このような変形を利用して,1次式の割り算を考えることもできる.
問題6例題( x-aで展開するということ)
x³ + 2x² + 3x + 1をx – 2で割ったときの商と余りを, x³ + 2x² + 3x + 1をx – 2で展開することにより求めよ.
解答を見る
まず, x³ + 2x² + 3x + 1をx – 2で展開する.
x³+2x²+3x+1 ={(x-2)+2}³+2{(x-2)+2}² +3{(x-2)+2}+1 ={(x-2)³+6(x-2)²+12(x-2)+8} +2{(x-2)²+4(x-2)+4} +3{(x-2)+2}+1 =(x-2)³+6(x-2)² +12(x-2)+8+2(x-2)² +8(x-2)+8+3(x-2)+6+1 =(x-2)³+8(x-2)²+23(x-2)+23
次に,この式を (x − 2)でくくると
(x-2)³+8(x-2)²+23(x-2)+23 =(x-2){(x-2)²+8(x-2)+23} +23
最後に,中括弧の中を展開すると
(x-2){(x-2)²+8(x-2)+23}+23 =(x-2)(x²-4x+4+8x-16+23) +23 =(x-2)(x²+8x+11)+23
となるので,結局
x³+2x²+3x+1 =(x-2)^A(x²+8x+11)^B+23^C
と変形できる.
多項式の除法の一意性 より,(Aの次数)>(Cの次数)を満たす関係は一通りに定まるので, 商は x²+8x+11で,余りは23となる.
問題7多項式の除法(再)
次の式の組について,左側の式を右側の式で割ったときの,商と余りを 組立除法とx – αで展開する方法の2通りで求めよ.
- , x² + 2x + 1,x − 1
- , x³ + 3,x + 1
- , x³ − 4x² − 2x + 5,x − 2
- , x³ − 2x² − x + 6,x − 3
解答を見る
【解1:組立除法】
組立除法を行うと
となるので,商は x+3,余りは4である.
【解2: x − αで展開する方法】
x²+2x+1 ={(x-1)+1}²+2{(x-1)+1}+1 =(x-1)²+4(x-1)+4 =(x-1)(x-1+4)+4 =(x-1)(x+3)+4
となるので,商は x+3,余りは4である.
【解1:組立除法】
組立除法を行うと
となるので,商は x²-x+1,余りは2である.
【解2: x − αで展開する方法】
x³+3 ={(x+1)-1}³+3 =(x+1)³+3(x+1)²(-1) +3(x+1)-1+3 =(x+1)(x²+2x+1-3x-3+3) +2 =(x+1)(x²-x+1)+2
となるので,商は x²-x+1,余りは2である.
【解1:組立除法】
組立除法を行うと
となるので,商は x²-2x-6,余りは-7である.
【解2: x − αで展開する方法】
x³-4x²-2x+5 = {(x-2)+2}³ - 4 {(x-2)+2}² -2 {(x-2)+2} +5 =(x-2){(x-2)²+2(x-2)-6} -7 =(x-2)(x²-2x-6)-7
となるので,商は x²-2x-6,余りは-7である.
【解1:組立除法】
組立除法を行うと
となるので,商は x²+x+2,余りは12である
【解2: x − αで展開する方法】
x³-2x²-x+6 = {(x-3)+3}³ -2 {(x-3)+3}² -{(x-3)+3}+6 = (x-3)³+9(x-3)²+27(x-3) +27 -2(x-3)³-6(x-3) -18-(x-3)-3+6 =(x-3)(x²+x+2)+12
となるので,商は x²+x+2,余りは12である.
剰余の定理と因数定理
剰余の定理
多項式f(x)のxに数aを代入したときのf(x)の値をf(a)と書く .
たとえば, f(x) = x³ + 2x² + 3x + 1とすると
f(1)=1³+2・2²+3・1+1=7 f(0)=0³+2・0²+3・0+1=1 f(2)=2³+2・2²+3・2+1=23
である.
問題8剰余の定理のための補題
f(x) = x⁴ − 3x² + 5x – 8とする.
- f(x)をx – 2で割ったときの余りを求めよ.
- f(2)の値を計算せよ.
解答を見る
割り算を実行すると
f(x)=(x-2)(x³+2x²+x+7)+6
となるので,余りは6である.
f(2)=2⁴-3・2²+5・2-8=6
上の例題では,f(x)をx – 2で割ったときの余りと,f(2)の値が等しくなっているが, これは,偶然に一致したわけではなく,次の理由による.
多項式f(x)を1次式x – aで割ったときの商をQ(x),余りをrとすると,rは定数であり
f(x)=(x-a)Q(x)+r
が成り立つ.この式に x = aを代入すると
f(a)=(a-a)Q(a)+r=r
となり,f(a)がf(x)をx – aで割ったときの余りrと等しいことがわかる.
§
定理4剰余の定理
多項式f(x)をx – aで割ったときの余りはf(a)である.
問題9剰余の定理の確認問題
次の式の組について,左側の式を右側の式で割ったときの余りだけ求めよ(商は求めなくてよい).
- , x²+2x+1,x-1
- , x³+3,x+1
- , x³-4x²-2x+5,x-2
- , x³-2x²-x+6,x-3
解答を見る
- 剰余の定理より, f(1)=4
- 剰余の定理より, f(-1)=2
- 剰余の定理より, f(2)=-7
- 剰余の定理より, f(3)=12
暗記1剰余の定理の拡張
多項式f(x)を1次式 ax + bで割ったときの余りはf(-b/a)であることを証明せよ.
解答を見る
f(x)を1次式 ax + bで割ったときの商をQ(x),余りをrとすると,rは定数であり,次の関係式が成り立つ.
f(x)=(ax+b)Q(x)+r
この式のxに-b/aを代入すると
f(-b/a) ={a・(-b/a)+b}Q(-b/a)+r =(-b+b)Q(-b/a)+r =r
となり,f(-b/a)と余りrが等しいことが分かる.
§
定理5剰余の定理の拡張
多項式f(x)を1次式 ax + bで割ったときの余りはf(-b/a)となる.
問題10剰余の定理の利用
次の各問に答えよ.
- 多項式f(x)をx – 1で割ると2余り,x – 2で割ると3余る.f(x)を (x − 1)(x − 2)で割ったときの余りを求めよ.
- 多項式f(x)をx – 1で割ると3余り, (x − 2)(x − 3)で割ると3x – 2余る. f(x)を (x − 1)(x − 2)(x − 3)で割ったときの余りを求めよ.
- 多項式f(x)をx – 1で割ると2余り, (x − 2)²で割ると3x – 2余る.f(x)を (x − 1)(x − 2)²で割ったときの余りを求めよ.
解答を見る
【解1:除法の式を変形して解く】
f(x)をx – 1で割ったときの商をQ1(x)とすると,余りが2だから
f(x)=(x-1)Q1(x)+2
とおける.さらに,Q1(x)をx – 2で割ったときの商をQ2(x),余りをaとすると
f(x) =(x-1){Q2(x)(x-2)+a}+2 =(x-1)(x-2)Q2(x) +ax+2-a
ここで,剰余の定理より
f(2)=2a+2-a=3 ∴a=1
となる.よって,求める余りは x+1である.
【解2:余りの多項式をおく】f(x)を (x − 1)(x − 2)で割ったときの,商をQ3(x),余りを ax + bとすると
f(x)=(x-1)(x-2)Q3(x)+ax+b
である.ここで,剰余の定理より
(f(1)=)a+b=2 (注) f(1) = 2を使った
(f(2)=)2a+b=3 (注) f(2) = 3を使った
これを解くと , a = 1,b = 1であるから,求める余りは x+1である.
【解1:除法の式を変形して解く】
f(x)を (x − 2)(x − 3)で割ったときの商をQ1(x)とすると,余りが3x – 2だから
f(x)=(x-2)(x-3)Q1(x)+3x-2
とおける.さらに,Q1(x)をx – 1で割ったときの商をQ2(x),余りをaとすると
f(x) =(x-2)(x-3){Q2(x)(x-1). . +a} +3x-2 =(x-1)(x-2)(x-3)Q2(x) +a(x-2)(x-3)+3x-2
である.ここで,剰余の定理より
f(1)=a(-1)(-2)+3-2=3 ∴a=1
となる.よって,求める余りは (x-2)(x-3)+3x-2=x²-2x+4である.
【解2:余りの多項式をおく】f(x)を (x − 1)(x − 2)(x − 3)で割ったときの,商をQ3(x),余りを ax² + bx + cとすると
f(x)=(x-1)(x-2)(x-3)Q4(x) +ax²+bx+c
ここで,剰余の定理より , , f(1) = 3,f(2) = 4,f(3) = 7なので
(f(1)=)a+b+c=3 (注) f(1) = 3を使った
(f(2)=)4a+2b+c=4 (注) f(2) = 4を使った
(f(3)=)9a+3b+c=7 (注) f(3) = 7を使った
これを解くと , , a = 1,b = − 2,c = 4であるから,求める余りは x²-2x+4である.
【解1:除法の式を変形して解く】
f(x)を (x − 2)²で割ったときの商をQ1(x)とすると,余りが3x – 2だから
f(x)=(x-2)²Q1(x)+3x-2
とおける.さらに,Q1(x)をx – 1で割ったときの商をQ2(x),余りをaとおくと,
f(x) =(x-2)²{Q2(x)(x-1)+a} +3x-2 =(x-1)(x-2)²Q2(x) +a(x-2)²+3x-2
ここで,剰余の定理より
f(1)=a(-1)²+3-2=2 ∴a=1
であるから,求める余りは (x-2)²+3x-2=x²-x+2である.
【解2:余りの多項式をおく(微分法を使う)】
f(x)を (x − 2)²で割ったときの商をQ1(x)とすると,余りが3x – 2だから
f(x)=(x-2)²Q1(x)+3x-2
とおける.この式をxで微分すると
f'(x) =(x-2)Q1(x)+(x-2)²Q1'(x)+3 =(x-2){Q1(x)+(x-2)Q1'(x)}+3
Q1(x) + (x − 2)Q1'(x)は多項式なので,これをQ2(x)とおくと
f'(x)=(x-2)Q2(x)+3
∴f'(2)=3
①
いま,f(x)を (x − 1)(x − 2)²でわったときの商をQ3(x),余りを ax² + bx + cとおくと,
f(x)=(x-1)(x-2)²Q3(x)
+ax²+bx+c
f'(x)=((x-2)を因数に持つ多項式 )+2ax+b
であるから
f'(2)=4a+b=3
さらに,剰余の定理より
f(1)=a+b+c=2 (注) f(1) = 2を使った
f(2)=4a+2b+c=4 (注) f(2) = 4を使った
これを解くと , , a = 1,b = − 1,c = 2であるから,求める余りは x²-x+2である.
因数定理
多項式f(x)を1次式x – aで割ったときの商をQ(x),余りをrとすると,rは定数であり
f(x)=(x-a)Q(x)+r
が成り立つ.この式に x = aを代入すると
f(a)=(a-a)Q(a)+r=r
となり, f(a) = rがわかり,これが剰余の定理だった.
特に,f(x)がx – aで割り切れる,つまり (r=) f(a)=0のとき
f(x)=(x-a)Q(x)
と表すことができる. さらにいいかえるならば,x – aはf(x)の因数になっている.
§
定理6因数定理
f (x)を多項式とすると
「x – aがf (x)の因数である」⇔「 f (a) = 0」
この因数定理(factor theorem)を利用して,多項式の因数分解をすることができる. 次の例題で具体的にみていこう.
問題11因数定理による因数分解-その1-
因数定理を利用して,次の式を因数分解せよ.
- x³+3x²-4
- 2x³-7x²+9
- x⁴-6x³+7x²+6x-8
- x⁴-8x³-2x²+72x-63
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f(1)や f( − 1)などを計算してみて0になるものをみつける.
f(x) = x3 + 3x2 – 4とおく.
f(1)=1+3-4=0
であるから,因数定理よりf(x)はx – 1を因数にもつ.
よって説明文
f(x)=(x-1)(x²+4x+4) =(x-1)(x+2)²
f(x) = 2x3 − 7x2 + 9とおく.
f(-1)=-2-7+9=0
であるから,因数定理よりf(x)は x + 1を因数にもつ.
よって説明文
f(x)=(x+1)(2x²-9x+9) =(x+1)(2x-3)(x-3)
f(x) = x4 − 8x3 + 7x2 + 6x – 8とおく.
f(1)=1-6+7+6-8=0
であるから,因数定理よりf(x)はx – 1を因数にもつ.
よって説明文
f(x)=(x-1)(x³-5x²+2x+8)
さらに, g(x) = x3 − 5x2 + 2x + 8とおくと
g(-1)=-1-5-2+8=0
であるから,因数定理よりg(x)は x + 1を因数にもつ.
よって説明文
g(x)=(x+1)(x²-6x+8) =(x+1)(x-2)(x-4)
より, f(x)=(x+1)(x-1)(x-2)(x-4).
f(x) = x4 − 8x3 − 2x2 + 72x – 63とおく.
f(1)=1-8-2+72-63=0
であるから,因数定理よりf(x)はx – 1を因数にもつ.
よって説明文
f(x)=(x-1)(x³-7x²-9x+63)
さらに, g(x) = x3 − 7x2 − 9x + 63とおくと
g(3)=27-63-27+63=0
であるから,因数定理よりg(x)はx – 3を因数にもつ.
よって説明文
g(x)=(x-3)(x²-4x-21) =(x-3)(x+3)(x-7)
より, f(x)=(x-1)(x-3)(x+3)(x-7)である.
多項式f(x)を因数定理を利用して因数分解するとき, f(a) = 0となるaを見つけることが大切である. このaを見つける手段として,次の定理を知っておくとよい.
§
定理7多項式の因数を見つけるための定理
係数a0, a1, …, anがすべて整数である多項式
f(x)=anx^n+an-1x^n-1+…+a1x+a0
に対し,既約分数p/qが, f(p/q)=0を満たすとき
pはa0の約数,qはanの約数
である(ただし,約数には負の数も含めるとする).
この定理の証明は多項式の因数を見つけるための定理を参照のこと.
たとえば, f(x) = 2x³ − 5x² + 7x – 6の因数分解について考えてみると,最高次の係数の約数には 1 , 2があり,定数項の約数には1 , 2, 3, 6があるので, f(a) = 0となるaの候補は
1/1 , 2/1 , 3/1 , 6/1 , 1/2 , 2/2 , 3/2 , 6/2
と,これらにマイナスをつけた数がある.
これらを順に
f(1)=2-5+7-6≠0 f(2)=2・2³-5・2²+7・2-6≠0 ⋮
などと調べていくと, f(3/2)=0となるので
f(x)=(2x-3)(x²-x+2)
と因数分解できる.
問題12因数定理による因数分解-その2-
次の多項式を因数分解せよ
- 3x³-4x²+4x-1
- 24x³-22x²+x+2
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- f(x) = 3x³ − 4x² + 4x – 1とおくと
f(1/3)=0
であるから
f(x)=(3x-1)(x²-x+1)
となる.
2. f(x) = 24x³ − 22x² + x + 2とおくと
△f(a) = 0となるaの候補は ±1/1 , ±1/2 , ±1/3 , ±1/4 ,
±1/6 , ±1/8 , ±1/12 , ±1/24 , ±2/3がある
f(1/2)=0
であるから
f(x)=(2x-1)(12x²-5x-2)
となる.また, 12x² − 5x − 2 = (3x − 2)(4x + 1)と因数分解できるので
f(x)=(2x-1)(3x-2)(4x+1)
となる.
多項式の約数と倍数
多項式の約数と倍数について
§
定義8多項式の約数と倍数について
多項式f(x)が多項式g(x)で割り切れるとき,すなわち
f(x)=g(x)Q(x)
となる多項式Q(x)が存在するとき
f(x)はg(x)の倍数(multiple),g(x)はf(x)の約数(divisor)
という
たとえば, x² − 4x + 3 = (x − 1)(x − 3)であるから, x² − 4x + 3はx – 1の倍数であり,x – 1は x² − 4x + 3の約数である
公約数・公倍数
いくつかの多項式に共通な約数を,それらの多項式の公約数(common divisor)といい, 公約数の中で次数の最も高いものを最大公約数(greatest common divisor)という.
また,いくつかの多項式に共通な倍数を,それらの多項式の公倍数(common multiple)といい, 公倍数の中で次数の最も低いものを最小公倍数(least common multiple)という.
問題13最大公約数と最小公倍数
次の各組の多項式の最大公約数と最小公倍数を求めよ. ただし,答えの式は展開しなくてもよい.
- x²-1 , x+1
- x²-4x+4 , x²-4
- x²+2x-3 , x²+x-6
- x³-27 , x²-2x-3
解答を見る
x² − 1 = (x + 1)(x − 1)なので,最大公約数は x+1,
最小公倍数は (x+1)(x-1)である.
x² − 4x + 4 = (x − 2)², x² − 4 = (x − 2)(x + 2)なので,最大公約数は x+2, 最小公倍数は (x+2)(x-2)²である.
x² + 2x − 3 = (x − 1)(x + 3), x² − x + 6 = (x + 3)(x − 2)なので, 最大公約数は x+3,最小公倍数は (x-1)(x+3)(x-2)である.
x³ − 27 = (x − 3)(x² + 3x + 9), x² − 2x − 3 = (x − 3)(x + 1)なので, 最大公約数は x-3, 最小公倍数は (x-1)(x+3)(x²+3x+9)である.
分数式の計算
分数式とは何か
f(x)を多項式,g(x)を定数でない多項式とするとき, f(x)/g(x)の形で表した式のことを分数式(fractional expression)という.
たとえば
(2x-1)/(x-1) , 3a/(x-4b) , (x-5)/(x²-2x+3)
などは,どれも分数式である.
多項式と分数式を合わせて,有理式(rational expression)という.
分数式では,普通の分数と同じように,分母,分子に0以外の同じ式をかけてもよいし, 分母,分子に共通な因数で割ってもよい.
§
定理9分数式の基本演算
分数式f(x)/g(x)に関して,次の式が成り立つ.
f(x)/g(x)=(f(x)× h(x))/(f(x)× h(x)) , f(x)/g(x)=(f(x)÷ h(x))/(g(x)÷ h(x))
ただし, h(x)≠0とする.
これらの変形を行えば,普通の分数と同じように約分(reduction of fraction to its lower terms)や通分(reduction fractions to common denominator)ができる.
問題14分数式の約分
次の分数式を約分せよ.
- (2x-2)/6
- (x²-1)/(x+1)
- (x²-x-12)/(x²+2x-3)
- (x²+x-2)/(x³-1)
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実際に約分をすると
(2x-2)/6=(x-1)/3
分子を因数分解すると
(x²-1)/(x+1)=(x-1)(x+1)/(x+1)=x-1
分母・分子を因数分解すると
(x²-x-12)/(x²+2x-3)=(x+3)(x-4)/(x-1)(x+3) =(x-4)/(x-1)
分母・分子を因数分解すると
(x²+x-2)/(x³-1)=(x-1)(x+2)/(x-1)(x²+x+1) =(x+2)/(x²+x+1)
分数式の分母と分子に共通な因数がないとき,この分数式は既約(irreducible)であるという.
分数式の乗法と除法
分数式の乗法と除法は,普通の分数の場合と同じように,次の規則にしたがって計算する.
§
定義10分数の乗法・除法
f(x)/g(x)×h(x)/i(x)=(f(x)× h(x))/(f(x)× i(x)) , f(x)/g(x)÷h(x)/i(x)=f(x)/g(x)×i(x)/h(x) =(f(x)× i(x))/(g(x)× h(x))
たとえば
by²/ax²÷b²y/a²x=by²/ax²×a²x/b²y =(by²× a²x)/(ax²× b²y)=ay/bx (x+1)/x×(x-2)/x(x+1) =(x+1)×(x-2)/(x× x(x+1))=(x-2)/x²
と計算することができる.
問題15分数式の乗法と除法
次の式を計算せよ.
- (x-1)/x(x+2)×x(x+1)/(x-2)
- (x+2)/(x+4)×(x²-8x+16)/x(x-4)
- (x-3)/(x²+x)÷ (x+2)/x
- (x³-1)/(x+2)÷ (x-1)/(x+4)
解答を見る
((x-1)× x(x+1))/x(x+2)(x-2)=(x+1)(x-1)/(x-2)(x+2)
(x+2)(x-4)²/x(x+4)(x-4)=(x+2)(x-4)/x(x+4)
(x-3)x/x(x+2)(x+2)=(x-3)/(x+2)²
(x-1)(x²+x+1)(x+4)/(x+2)(x-1)
=(x²+x+1)(x+4)/(x+2)
分数式の加法と減法
分数式の加法と減法は,普通の分数の場合と同じように,次の規則にしたがって計算する.
§
定義11分数式の加法・減法
f(x)/g(x)+h(x)/g(x)=(f(x)+h(x))/g(x) ,
f(x)/g(x)-h(x)/g(x)=(f(x)-h(x))/g(x)
分母が異なる分数式どうしは,通分してから計算する.
たとえば
2/(x-2)+1/(x+1) =2(x+1)/(x-2)(x+1)+(x-2)/(x-2)(x+1) =(2(x+1)+x-2)/(x-2)(x+1)=3x/(x-2)(x+1)
と計算することができる.
問題16分数式の加法と減法
次の式を計算せよ.
- 2/(x²+1)+x/(x²+1)
- 1/(x+1)+1/(x²-1)
- x/(x+2)-(-x+5)/(x+2)
- 3/(x²-x-2)+1/(x²-5x+6)
解答を見る
(2+x)/(x²+1)=(x+2)/(x²+1)
(x-1)/(x²-1)+1/(x²-1)=x/(x²-1)
(x-(-x+5))/(x+2)=(2x-5)/(x+2)
3/(x-2)(x+1)+1/(x-2)(x-3)
=(3(x-3)+x+1)/(x-2)(x+1)(x-3)
=(4x-8)/(x³-4x²+x+6)
問題17分数式の恒等式
次の式が恒等式となるように,定数,,a,b,cの値を定めよ.
(3x²-x)/(x³-x²-x+1)
=a/(x+1)+b/(x-1)+c/(x-1)²
1/(x³+7x²+14x+8)
=a/(x+1)+b/(x+2)+c/(x+4)
解答を見る
両辺に, (x + 1)(x − 1)²を掛けると
3x²-x =a(x-1)²+b(x-1)(x+1)+c(x+1)
となる.
両辺に x = 1を代入すると
3-1=c(1+1) ⇔ c=1
両辺に x = − 1を代入すると
3+1=a(-1-1)² ⇔ a=1
両辺に x = 0を代入すると
0=a(0-1)²+b(0+1)(0-1) +c(0+1) ⇔ b=2
両辺に, (x + 1)(x + 2)(x + 4)を掛けると
1= a(x+2)(x+4)+b(x+1)(x+4) +c(x+1)(x+2)
となる.
両辺に x = − 1を代入すると
1=a(-1+2)(-1+4) ⇔ a=1/3
両辺に x = − 2を代入すると
1=b(-2+1)(-2+4) ⇔ b=-1/2
両辺に x = − 4を代入すると
1=c(-4+1)(-4+2) ⇔ c=1/6
最終更新: 2026-08-10
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