数学II 第3章 三角関数 — 一般角と弧度法

一般角

動径

平面上で,点を中心として半直線を回転させるとき, この半直線動径(radius vector)といい, はじめの固定された半直線始線(initial line)という.

図

角度の拡張

角度の拡張

固定された図形にあらわれる角度の大きさは,からである. この視点で見れば,時計の1時の長針と2時30分の長針のなす角度はであり,1時の長針と3時30分の長針のなす角度もである. しかし,時刻の変化に伴う長針の回転量は,前者と後者では明らかに異なる. また,長針を1時から10分進めても,10分戻してもどちらも回転するが,向きは逆である.

これらの点を考慮できるように以上の角や,回転の向きを考えた角を導入することにしよう.

  1. 以上の角度
角度の拡張の図その1
角度の拡張の図その1

動点は(反時計回りに)1周より多く動いてもよいとする. たとえば,図では,が反時計回りに1周と回転しているので, と考える.

  1. 負の角度

動点は,から時計回りに動いてもよいとし,この場合はを負の値で定める. たとえば,図では,が時計回りに回転しているので, と考える.

これらのように,以上回転する場合や,回転の向きも考えた角を 一般角(general angle)という.

また,一般角に対して,始線から角だけ回転した位置にある動径を, の動径という.

角度の拡張の図その2
角度の拡張の図その2
問題1一般角の練習〜その1〜

次の図のを一般角で表せ.

解答を見る
  1. 動径は,反時計回りに1周と進んだので

  2. 動径は,反時計回りに2周と進んだので

  3. 動径は,時計回りに進んだので

問題2一般角の練習〜その2〜

次の角の動径を図示せよ.

解答を見る
  1. 一般角の練習〜その2〜の解答の図その1
  2. 一般角の練習〜その2〜の解答の図その2
  3. 一般角の練習〜その2〜の解答の図その3
  4. 一般角の練習〜その2〜の解答の図その4

動径の表す角

動径の表す角

動径は回転するともとの位置に戻るので, たとえば,の動径は,図のように

などの角の動径と同じ位置にくる. すなわち, (は整数)の動径はすべて同じ位置にくる. これらの角を動径の表す角という.

一般に,次のことがいえる.

図
定理1動径の表す角 §

動径と始線のなす角の1つをとすると,動径の表す角

(は整数)

のようにあらわされる.

問題3動径の表す角

次の角の動径をとするとき,動径の表す角を

(は整数)

の形で表せ.ただし, とする.

解答を見る
  1. なので
  2. なので
  3. なので
  4. なので

弧度法

度数法の問題点

度数法の問題点

これまで,角度の大きさは「1周は」と定義して表してきた. この方法は度数法(degree measure)と呼ばれ, 紀元前から用いられてきたものである. しかし,度数法で表わされた角の値は便宜的なもので数学的根拠がなく, 数学の発展と共に不便が生じてきた.

1周の角度を表すために用いられた「360」という値の由来は, 1年はほぼ360日であること,360は約数を多く持つことの2点 にあるのではないかといわれている.前者では天体の星の位置が1日で約1度ずれること, 後者では円周を分割した際に角度が整数になりやすいことなどの利点がある.

たとえば,すぐ後にみる扇形の面積がきれいな式で表せなかったり, FTEXT 数学IIIで学ぶ三角関数の微分・積分において煩雑な計算が起こったりする.

弧度法の定義

弧度法の定義

そこで,これらの不便を解消するための新しい角度を導入しよう.

定理2弧度法 §

弧の長さが,半径がの円弧のなす中心角

で定義する.

このような角度の表し方を弧度法(circular measure)という. 弧度法は比で角度の大きさを表すため,単位が無いが,あえて単位を付けたいときにはラジアン(radian)弧度をもちいる.

図

単位が無い値のことを無名数(abstract number)という.

上の定義において, とすると となる. これは,単位円で考えたときには,中心角は対応する弧の長さで表されることを意味している. すなわち

ラジアン

である.

主な角について,度数法と弧度法の値をまとめると次のようになる.

度数法
弧度法
度数法
弧度法

弧度法についても動径の表す角について,次のことがいえる.

図
定理3弧度法での動径の表す角 §

動径と始線のなす角の1つをとすると,動径の表す角

(は整数)

のようにあらわされる.

問題4度数法を弧度法になおす

次の角を弧度法で表せ.また, (は整数)の形で表せ.ただし, とする.

解答を見る
問題5弧度法を度数法になおす

次の角を度数法で表せ.

解答を見る

扇形の弧の長さと面積

扇形の弧の長さと面積

扇形の弧の長さと面積を,弧度法をもちいて表してみよう.

図のように半径が,中心角がの扇形の弧の長さを,面積をとすると,弧度法の定義より だから

面積と中心角の比から

以上,より, となる.

図
定理4扇形の弧の長さと面積 §

半径が,中心角がの扇形の弧の長さを,面積をとすると

である.

図

扇形の弧の長さと面積

図のように,扇形を,あたかも底辺が,高さがの三角形のように考え, (底辺)(高さ)から, と覚えておけばよい.

図
問題6扇形の弧の長さと面積

次のような扇形の弧の長さと面積を求めよ.

  1. 半径が,中心角が
  2. 半径が,中心角が
解答を見る

元記事: http://www.ftext.org/text/section/114(取得日 2026-08-07)

最終更新: 2026-08-08

この節についてAIに質問する

この節に書かれている内容だけを根拠に答えます。個人情報は書かないでください。