数学II 第3章 三角関数 — 三角関数のグラフ

のグラフとその周辺のグラフ

三角関数の表しかた

三角関数の表しかた

などの三角関数を定義したとき,は角度を意味していた.

しかし,三角関数を,ある数に対応する数を与える式,とより抽象的にみるならば, の意味を角度に限定する必要はない. このため,変数をで表さず, のようにで表すことも多く, 以下でもそのように扱っていく.

のグラフ

のグラフ

関数 について, の範囲で の関係を表にすると,以下のようになる. の値は刻みでとってある.

この関係をグラフで表すと次の図のようになる.

単位円を12等分した各点のy座標に対応する点が、xy平面上に打たれている。特に、単位円上の点A'から伸びる水平な破線が、xが(2/3)πのときの点Aに接続している。

たとえば,前の図の点座標は動径のなす角がであるときの動点座標である.

前の図の各点をなめらかにつなぐと次の図のようになる.

xy平面上に、xが0から2πまでの範囲で、x=π/2でy=1、x=πでy=0、x=3/2 πでy=-1、x=2πでy=0などの点を破線でなめらかにつないだ曲線が描かれている。

さらに,の値が増えるごとには同じ値を取ることに注意して, 任意の実数を定義域としたグラフを書くと,次の図のようになる.

x軸とy軸の座標平面上に、y=sin xの曲線が描かれている。曲線は原点Oを通り、xが-2π、-π、0、π、2πのときx軸と交わり、yの値が1と-1の範囲で上下に波打って繰り返している。

この のグラフに表れる曲線のことを,正弦曲線(sine curve)という.

正弦曲線の値域の長さの半分を振幅(amplitude)という. の振幅はである.

周期関数の定義

周期関数の定義

のように,の変化に応じて同じ値をとる関数は,次のようにまとめることができる.

§

定義1周期関数の定義

関数が,ある正の実数に対して次の条件

どんな実数に対しても が成立

を満たすとき,この関数のことを周期関数(periodic function)という.また,上の条件を満たす実数のうち,正の値で最小のものを, この周期関数周期(period)という.

とおくと, 任意の実数について が成り立つので, 関数 は周期関数であり,周期はである. グラフ においては「増加するたびに同じ形が表れる」ことになる.

§

定理2のグラフの特徴

振幅,周期の正弦曲線であり,切片は

の値の増加に対し,の値は増加と減少を交互に繰り返す.

xy平面上にy=sinxの曲線が描かれ、yの値は1と-1の間で変化している。x軸の-3πから3πの範囲において、曲線の上下の変化に合わせて「増加」と「減少」が矢印とともに交互に記されている。

のグラフとその性質

のグラフとその性質

のグラフとその性質

たとえば, のグラフを軸方向に倍すると のグラフになり, のグラフを軸方向に倍すると のグラフになる.

座標平面上に、y=sin xのグラフが破線、y=3sin xのグラフが実線、y=-3sin xのグラフが点線で重ねて描かれており、振幅が1と3で変化する様子を表している。
§

定理3のグラフの特徴

のグラフを,軸方向に倍したグラフである,

振幅は ,周期は関数 と同じである.

のグラフ

のグラフ

のグラフ

例として,2つの関数

の関係を考えてみよう.

の値と の値を一致させるには, に, より大きい値を代入しなければならない.

つまり, の正弦曲線は, のグラフを軸方向にだけ平行移動した正弦曲線であると分かる.

このことは,上の表においても確認することができる.

xy平面上に、破線のy=sin xと実線のy=sin(x-1/3 π)の2つの正弦曲線が描かれている。実線はx=1/3 πでx軸と交わり、x=5/6 πで最大値1をとる。
§

定理4 のグラフ

のグラフは, のグラフを

軸方向に平行移動」

したグラフ,周期と振幅も と同じであり,それぞれである.

のグラフ

のグラフ

のグラフ

例として,関数 のグラフについて考えてみよう.この関数は

となり,結局,からまで増加する間に,は3度同じ値を繰り返すことが分かる.

座標平面上に、破線のy=sinxのグラフと実線のy=sin3xのグラフが描かれている。x軸にはπ/3刻みの目盛りがあり、y=sin3xは周期2/3πの曲線となっている。

こうして, のグラフを,軸に対して軸方向に倍したグラフが, 関数 のグラフであると分かる.

§

定理5のグラフ

のグラフは, のグラフを軸方向に倍したものであり

周期は,振幅はである.

問題1三角関数のグラフ〜その1〜

以下の関数のグラフを書け.また,周期と振幅を求めよ.

解答を見る
  1. なので, のグラフを軸方向に平行移動したグラフになる.

    周期は,振幅はである.

    と同じ

    y=sinx のグラフが破線、y=sin(x+1/3 π) のグラフが実線で並べて描かれている。実線はx軸と -1/3 π および 5/3 π で交わり、破線を左へ平行移動した曲線になっている。
  2. のグラフを軸方向に平行移動したグラフになる.

    周期は,振幅はである.

    と同じ

    座標平面上に破線で y=2sin x、実線で y=2sin(x-1/2 π) の曲線が描かれている。実線は x軸上の点 -1/2 π と 3/2 π を通り、最大値 2、最小値 -2 を持つ。
  3. は, の周期をにしたグラフになる.

    周期は ,振幅はである.

    y=sin xの破線のグラフとy=sin 2xの実線のグラフが同じ座標平面上に描かれている。y=sin 2xはy=sin xと同じ1から-1の幅で、半分の周期πの波を繰り返している。
  4. は, の周期を倍したグラフになる.

    周期は ,振幅はである.

    座標平面上に破線のy=sin xと実線のy=sin 1/3 xのグラフが描かれています。実線は原点Oとx軸上の6πに黒丸があり、yの値は1と-1の間の範囲に収まっています。

のグラフ

のグラフ

のグラフ

たとえば,関数 について考えてみよう.

この関数の式は, と書けるので,次のことが分かる.

  1. 振幅はである.
  2. 周期は と同じである.
  3. 軸方向に平行移動したグラフになる.つまり, のとき であり, のとき, である.

以上より,グラフは次のようになる.

座標平面上に、関数 y=2sin 3x の破線のグラフと、関数 y=2sin(3x-π/4) の実線のグラフが描かれている。実線は破線を x 軸方向に 12分のπ 平行移動した波形である。
§

定理6 のグラフ

のグラフは, のグラフを 「軸方向に平行移動」 したグラフである.

周期も振幅も と同じであり,それぞれである.

三角関数のグラフを書く手順

三角関数のグラフを書く手順

三角関数のグラフを書く時は,おおよそ次のiii., ii., i.の順で考えるとよい.つまり

  • iii.座標がになるときのの値を求める.正弦曲線はそこから始まる.
  • ii.周期を求め,座標がになるときのの値を求める.これにより,iii.で求めた値から始まる正弦曲線の1周期分の終端が決まる.
  • i.振幅を決める.最後に,切片を計算できる場合は計算する.

問題2三角関数のグラフ〜その2〜

以下の関数のグラフを書け.

解答を見る
  1. なので

    関数 y=sin(2x-1/3 π) の波線が描かれており、最大値は1、最小値は-1である。y軸との交点は -√3/2、x軸との交点として π/6 と 7/6 π が示されている。
  2. なので

    関数 y=2sin(2x+1/2 π) の曲線で、yの範囲は-2から2であり、y軸上の点(0, 2)で最大値をとり、x軸上の点 -π/4 と 3/4 π を通る正弦波である。
  3. なので

    関数 y=sin(x/3+π/3) の曲線が、x軸と -π および 5π で交わり、y軸と √3/2 で交わっている。最大値は 1、最小値は -1 である。

のグラフとその周辺のグラフ

のグラフ

のグラフ

のグラフ

,つまり のグラフを軸方向に平行移動させたものが, のグラフである. それゆえ, のグラフも正弦曲線になる.

グラフ 周期分を次の図の太線で示した.

y軸上で1を通る実線のy=cos xと、原点を通る破線のy=sin xのグラフが描かれており、y=cos xのxが0から2πまでの1周期分が太線で強調されている。
§

定理7のグラフの特徴

周期が振幅がの正弦曲線であり,切片がである.

のグラフ

のグラフ

のグラフ

関数 について, の範囲で の関係を表にすると,以下のようになる.の値は刻みでとってある.

単位円の接線上の点のy座標と、xy平面上のy=tan xのグラフ上の点が対応している。特に接線上の点A'の高さが、点A(1/3 π, √3)のy座標と一致することが点線で示されている。
座標平面上に、x=-π/2、π/2、3/2 πの垂直な点線の間で増加するy=tan xの曲線が描かれている。曲線は原点Oや(π, 0)、(2π, 0)を通り、同じ形が繰り返されている。

これをグラフで表し,曲線でつなぐと前の図のようになる。

たとえば,単位円の半径はなので,座標はとなり, これは,座標と一致する.

さらに,の値が増えるごとに,の値は同じ値を取ったので,を任意の実数を定義域としてグラフを書くと,上の図のようになる.

ここで, の近くでは のグラフがどうなっているか考えてみよう. 次の図は, の付近のグラフを拡大したものである.

  • からに向かって大きくなるにつれ,座標は無限大へ近づき,グラフは直線 に限りなく近づく.
  • からに向かって小さくなるにつれ,座標は負の無限大へ近づき,グラフは直線 に限りなく近づく.

このように,曲線がある直線に限りなく近づくとき, 直線を曲線漸近線(asymptotic line)という.

x軸上の値 π/2 を通る縦の点線の左側と右側で、曲線がそれぞれ上方と下方へ伸びてその点線へ近づく様子が、矢印と「近づく」という文字で表されている。
§

定理8のグラフの特徴

周期がの曲線である.

は整数)が漸近線になる.

のグラフ

のグラフ

基本的には, の時と同じように考えればよい.

たとえば,関数 の場合は, とも表せるので,次のことが分かる.

  • 座標が になるのは のとき.
  • 周期は , 座標が になるのは のとき.
  • 振幅は , 切片は である.
破線で表された y=4cos 2x の曲線と、それを x 軸方向に 1/6 π 平行移動した実線の y=4cos(2x-1/3 π) の曲線が、座標平面上に重ねて描かれている。

問題3三角関数のグラフ〜その3〜

以下の関数のグラフを書きなさい.漸近線があればその式を求めなさい.

解答を見る
  1. なので

    関数 y=cos(2x-π/3) の周期的な波線。y の値は -1 から 1 まで変化し、x が π/6 と 7/6 π のときに最大値 1 をとる 2 つの点が黒丸で示されている。
  2. なので

    関数 y=cos(x/3+π/3) のグラフが描かれている。最大値 1 をとる点 (-π, 1) と (5π, 1) に黒丸が付されており、y 軸の目盛りは -1 から 1 まで示されている。
  3. 軸方向に平行移動すればよいので

    関数 y=tan(x-π/2) のグラフがあり、x軸との交点である -π/2、π/2、3/2 π に黒丸が付いている。x=π には漸近線を表す破線が引かれている。

    漸近線は直線 (は整数)になる.

  4. なので

    x軸との交点 -π/6、π/3、5π/6 を通る関数 y=tan(2x+π/3) の曲線が描かれている。それぞれの曲線の間には、縦の破線で漸近線が示されている。

    漸近線は直線 (は整数)になる.

最終更新: 2026-08-10

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