数学II 第6章 微分法 — 関数のグラフ

導関数は端的に言えば接線の傾きを表すものである。これを応用することにより、関数のグラフの概形を描くことができる。その方法について学んでいこう。

関数の増減と極大・極小

区間とは何か

を実数とするとき などの不等式を満たす実数 の集合を、区間 (interval) という。

関数の増減

§

定義1関数の増減

関数 のある区間 において、 に含まれる任意の値 について が成り立つとき、 はその区間 単調増加 (monotonically increasing) するという。また が成り立つとき、 はその区間 単調減少 (monotonically decreasing) するという。

関数 について、 の値が増加するとき、 の値が増加したり、減少したりする様子は、 のグラフが右上がりなのか、右下がりなのかで視覚的に確認できる。

左にxがsからtへ増加するとyがf(s)からf(t)へ増加する右上がりの曲線y=f(x)と、右にxがsからtへ増加するとyがf(s)からf(t)へ減少する右下がりの曲線y=f(x)が並んでいる。

導関数の符号と関数の増加・減少の関係

関数 のグラフ上の点 に近い部分では、この関数のグラフはこの点における接線とほぼ一致しているとみなしてよい。接線の傾きは で与えることができるので、関数 の増減は、 の符号の正負と結びつけて考えることができる。

増加する関数 では、 のグラフは次の図のようになる。このとき、このグラフ上の各点での接線は右上がりとなっており、その傾きは正の値をとっている。逆に、グラフ上の各点における接線の傾きが正であるならば、その関数は増加していることがわかる。

座標平面上に右上がりの曲線 y=f(x) が描かれている。曲線上の4点において、それぞれの点を通る右上がりの接線が引かれている。 つまり、ある区間での関数 とその導関数 について は単調増加がいえる。

また、次の図のように、グラフ上の各点における接線の傾きが負であるならば、その関数は減少していることがわかる。

座標平面上に、右下がりに減少する曲線 y=f(x) が描かれている。その曲線上の4つの点において、それぞれの点を通る右下がりの接線が引かれている。 つまり、ある区間での関数 とその導関数 について は単調減少がいえる。

さらにまた、ある区間で常に のとき、 のグラフの接線は常に 軸と平行となる。このとき、グラフ自体も 軸と平行となり、その区間では は一定の値をとる。

増減の例

具体的な関数の例として、2次関数 としてを考えてみよう。 のグラフは であるから、頂点の座標は とわかり、次の図のようになる。

座標平面上に放物線 y=-x^2+4x が描かれ、頂点のx座標は2である。xが2より小さい点では右上がりの接線が、2より大きい点では右下がりの接線が引かれている。 この図から

  1. のときは、 は増加
  2. のときは、 は減少

ということがわかるが、このことは、 の導関数 を用いて、次のように理解することもできる。

  1. つまり、 のとき「 となるので」、 は増加している。
  2. つまり、 のとき「 となるので」、 は減少している。
§

定理2 の符号と関数の増加・減少の関係

関数 の値の増減は、 の導関数 を用いて

  1. となる の値の範囲では、 の値は増加する
  2. となる の値の範囲では、 の値は減少する

と判断できる。

極大・極小とは何か

関数 の値が を境目として、次の図のように増加から減少に変わるとき

極大 (local maximum) になる

といい、極大値 (local maximum value) という。

座標平面上に曲線 y=f(x) があり、山頂となる点に極大、谷底となる点に極小と記されている。x=a で極大、x=b で極小となる点をはじめ、曲線上には複数の極大や極小の点が存在する。 また、関数 の値が を境目として、減少から増加に変わるとき

極小 (local minimum) になる

といい、極小値 (local minimum value) という。

極大値と極小値を合わせて極値 (extreme value) という。

§

定理3 の符号と極大・極小

関数 について、 となる の値の前後における の符号が

  1. 正から負に変化するとき、 は極大
  2. 負から正に変化するとき、 は極小

となる。

増減表を用いたグラフの描き方

増減表の書き方

導関数の符号の変化がわかると、かなり正確なグラフを描くことができるようになる。ここでは、関数の増減をまとめるための増減表 (table of increasing and decreasing) の書き方について、次の例題を通じて学んでいこう。

問題1導関数を利用したグラフの書き方

関数 において、次の問いに答えよ。

  1. を求めよ。

  2. となる の値を求めよ。

  3. となる の値の範囲、および となる の値の範囲を求めよ。

  4. となるときの、 の値を求めよ。

  5. 1~4を利用して、下の増減表の空欄を埋めよ。

    ただし

    1. の欄には、2で求めた値
    2. の欄には、 のいずれか
    3. の欄には (増加を表す記号)、 (減少を表す記号)、値が入る。
  6. 5を利用して、 のグラフを描け。

解答を見る
  1. を微分すると となる。
  2. 1より と因数分解できるので、 となる は、

x軸と1および3で交わる下に凸の放物線y=f'(x)がある。x<1とx>3のx軸より上の部分に「正」、1<x<3のx軸より下の部分に「負」と添えられている。

まず、2より となる であり、これを数直線上に表すと

x軸上に白丸で点1と点3が示されている。その上方の水平な線は1と3の位置で白丸に向かってV字型に下がっており、1より左に(1)、1と3の間に(2)、3より右に(3)と書かれている。

となる。これより

  1. (1)つまり のとき となり、 となるのがわかる。
  2. (2)つまり のとき となり、 となるのがわかる。
  3. (3)つまり のとき となり、 となるのがわかる。

以上 i~iii より、 となるのは のときであり、 となるのは のときである。 4. 2より、 となるのは、 のときだから と求まる。 5. - の欄を埋める

 ここには、  となる  を入れる。2の結果より

 |  |  |  |  |  |  |  |
 |---|---|---|---|---|---|---|
 |  |  |  |  |  |  |  |
 |  |  |  |  |  |  |  |

 となる。
  • の欄を埋める

    で埋めた欄のすぐ下の欄には が入る。なぜなら、 で埋めた の値は、 になるときの の値だからである。また、それ以外の部分には3の結果を利用して正ならば 、負ならば を埋める。

  • の欄を埋める

    より の値の前後では、 の符号が変わっているので、 で極大、 で極小となる。まず、4で得た極大値 や、極小値 を増減表に埋める。

    最後に の欄の下には、 が増加するという意味で の欄の下には、 が減少するという意味で を書き加えて増減表が完成する。

5で得られた増減表を利用して のグラフを描くと、以下のようになる。

座標平面上に関数 y=f(x) の曲線がある。原点 O を通り、点 (1, 4) で極大となり、x 軸上の点 (3, 0) で極小となって右上へ伸びている。

問題2導関数を利用したグラフの描画

次の各々の関数において、 のグラフを描け。

解答を見る
  1. を微分すると これより、増減表は

    となる。ここで、 の値は である。

    座標平面上に関数 y=f(x) の曲線が描かれている。第2象限で極大となり、y軸上の 2 を通って減少したあと、点(1, 1)で極小となり、右上がりに増加している。

    以上より、 のグラフは、上の図のようになる。

  2. を微分すると これより、増減表は

    となる。ここで、 の値は である。

    x軸とy軸の座標平面上に、原点Oを通る関数 y=f(x) の曲線が描かれている。曲線は点(-1, -2)で極小値をとり、点(1, 2)で極大値をとる。

    以上より、 のグラフは、上の図のようになる。

  3. を微分すると ここで、 の係数が正であり、その判別式 なので、 はつねに正である。

    x軸、y軸、原点Oがある座標平面上に、つねに増加する関数 y=f(x) の曲線が描かれている。曲線はy軸上の点 (0, -1) を通り、x軸の正の部分を横切っている。

    よって、 のグラフは、上の図のようになる。

  4. を微分すると

    これより、増減表は

    となる。 の前後では の符号が変わらないので、 で極値をとらない。ここで、 の値は である。

    座標平面上に曲線 y=f(x) が描かれています。点(-1, 11/4)で接線が水平になりながら減少し、極小値をとる点(2, -4)を経て右上がりに増加しています。

    以上より、 のグラフは、上の図のようになる。

関数の最大・最小

定義域内での関数の値の増減を調べ、極値と定義域の両端での値を比べることにより、最大値と最小値を求めることができる。

問題3関数の最大・最小

次の関数の最大値、最小値とそれらを与える の値を求めよ。

解答を見る
  1. より、区間 における の増減表は次のようになる。

    これより、 のグラフは次の図のようになる。

    座標平面上に3次関数 f(x)=2x^3-3x^2-12x+1 のグラフがあり、定義域 -2≦x≦3 の部分だけが実線で、その外側は破線で描かれている。点(-1, 8)で極大、点(2, -19)で極小となり、この2点には黒丸が付いてそれぞれから x 軸と y 軸へ破線が引かれている。

    よって、 のとき最大値 のとき最小値

  2. より、区間 における の増減表は次のようになる。

    これより、 のグラフは次の図のようになる。

    座標平面上に4次関数 f(x)=x^4-2x^2+3 のグラフがあり、定義域 -1≦x≦2 の部分だけが実線で、その外側は破線で描かれている。x=-1 と x=1 で値 2 の極小、x=0 で値 3 の極大となり、右端の x=2 では値が 11 になる。点(-1, 2)、点(1, 2)、点(2, 11)には黒丸が付いている。

    よって、 のとき最大値 のとき最小値

問題4関数の最大・最小の応用

底面の半径と高さの和が の円錐で体積が最大となるときの底面の半径と高さと体積を求めよ。

解答を見る

底面の半径を とすると、高さは となるので、円錐の体積を とすると となる。これを微分すると となるので、 の増減表は次のようになる。

よって、 のとき最大となるので、底面の半径が 、高さが のときに体積は最大となる。また、このときの体積は である。

3次関数のグラフ

3次関数のグラフの種類

とおき、3次関数のグラフ を考える。 を微分すると より、方程式 は2次方程式となるのがわかる。この2次方程式の解は、判別式 の符号を考えることによって3つに分類できる。以下では、 のグラフの形を、この2次方程式の解のあり様に対応させて考えてみる。

  1. のとき

    方程式 は異なる2つの実数解をもち、それらを とおくと となるので、 の増減表は以下のようになる。

    1. のとき

      これをグラフにすると次の図のようになる。

      座標平面上の曲線 y=f(x) が、左から右上がりに増加して x=α で極大となり、そこから減少して x=β で極小となり、再び右上がりに増加している。α と β の位置は x 軸まで破線で示されている。
    2. のとき

      これをグラフにすると次の図のようになる。

      座標平面上の曲線 y=f(x) が、左から右下がりに減少して x=α で極小となり、そこから増加して x=β で極大となり、再び右下がりに減少している。α と β の位置は x 軸まで破線で示されている。
  2. のとき

    方程式 は重解をもち、それを とおくと となるので、 の増減表は以下のようになる。

    1. のとき

      の前後で符号を変えないので、 で極値をとらず、つねに増加する。これをグラフにすると次の図のようになる。

      座標平面上の曲線 y=f(x) が全体として右上がりに増加しており、x=α の付近だけ傾きが 0 になって平らになっている。α の位置は x 軸まで破線で示されている。
    2. のとき

      この場合も の前後で符号を変えないので、 で極値をとらず、つねに減少する。これをグラフにすると次の図のようになる。

      座標平面上の曲線 y=f(x) が全体として右下がりに減少しており、x=α の付近だけ傾きが 0 になって平らになっている。α の位置は x 軸まで破線で示されている。
  3. のとき

    方程式 は実数解をもたない。このとき、 を平方完成すると であり、 だから の符号は の符号と一致する。

    1. のとき

      は常に正であり、 のとき、最小値 となる。つまり は極値をもたず、つねに増加するので、 のグラフは次の図のようになる。

      座標平面上の曲線 y=f(x) が、途中で平らになることなく左下から右上へ増加し続けている。傾きがもっともゆるやかになる x の位置(図では α と記されている)から x 軸まで破線が引かれている。
    2. のとき

      は常に負であり、 のとき、最大値 となる。つまり は極値をもたず、つねに減少するので、 のグラフは次の図のようになる。

      座標平面上の曲線 y=f(x) が、途中で平らになることなく左上から右下へ減少し続けている。傾きがもっともゆるやかになる x の位置(図では α と記されている)から x 軸まで破線が引かれている。

3次関数のグラフの特徴

3次関数のグラフに関して次のことがいえる。

§

定理43次関数のグラフの特徴

3次関数 において、 のグラフは、 上の点 に関して、点対称なグラフである。

座標平面上の3次関数のグラフ y=f(x) に、x座標が -b/(3a)、y座標が f(-b/(3a)) である点が黒丸で示され、そこから x 軸と y 軸へ破線が引かれている。グラフはこの点を中心に点対称である。

証明は次の例題を参照のこと。

暗記13次関数のグラフの特徴の証明

上にある『3次関数のグラフの特徴』を、以下の手順で証明せよ。

  1. 3次関数 において、 のグラフは原点対称であることを示せ。
  2. 3次関数 において、 のグラフを 軸方向に 軸方向に 平行移動したものは適当な実数 をもちいて、 と表せることを示せ。

以上、1、2から『3次関数のグラフの特徴』が証明される。

解答を見る

のグラフが原点対称であることを示すには、原点に関する対称移動をさせてみて、もとと同じ形のグラフになるか調べればよい。

そのために、以下では を示す。 より、 のグラフは原点対称である。 2. のグラフを 軸方向に 軸方向に 平行移動すると となるので、 とおくと、確かに と表せる。

1より のグラフは原点対称だから、これを 軸方向に 軸方向に 平行移動してもどした のグラフは、原点を移した点 に関して点対称である。

3次関数のグラフと3次不等式

以下では、 とし、簡単のため の場合について考える。

のグラフの形は、 の符号が下の表のようにまとめられることと、先に見た『3次関数のグラフの種類』の話から、次の図のようになる。

座標平面上の曲線 y=a(x-α)(x-β)(x-γ) が、x 軸と α、β、γ の3点で交わっている。α より左と β と γ の間では x 軸より下、α と β の間と γ より右では x 軸より上にある。

また、 のグラフの形も、 の符号が下の表のようにまとめられることから次の図のようになる。

座標平面上の曲線 y=a(x-α)(x-β)^2 が、x 軸を α で下から上へ横切り、β では上から x 軸に接してまた上がっている。α より左だけが x 軸より下にある。

さらに、 のグラフの形も、 の符号が下の表のようにまとめられることから次の図のようになる。

座標平面上の曲線 y=a(x-α)^2(x-β) が、α で下から x 軸に接したあと再び下がり、β で x 軸を下から上へ横切っている。β より右だけが x 軸より上にある。

問題53次不等式を解く

『因数定理による因数分解』で因数分解した多項式を、不等式にしたものである。次の不等式を解け。

解答を見る
  1. とおくと、 なので より、 のグラフは次の図のようになる。

    座標平面上の曲線 y=x^3+3x^2-4 が、x=-2 で下から x 軸に接し、x=1 で x 軸を下から上へ横切っている。x が 1 より大きいところだけグラフは x 軸より上にある。

    よって、 を満たすのは、 である。

  2. とおくと、 なので より、 のグラフは次の図のようになる。

    座標平面上の曲線 y=2x^3-7x^2+9 が、x 軸と x=-1、x=3/2、x=3 の3点で交わっている。x が -1 より小さいところと 3/2 と 3 の間ではグラフは x 軸より下にある。

    よって、 を満たすのは、 である。

  3. とおくと、 なので より、 のグラフは次の図のようになる。

    座標平面上の曲線 y=3x^3-4x^2+4x-1 が、極大も極小もなくつねに右上がりに増加し、x=1/3 でただ1度だけ x 軸を横切っている。

    よって、 を満たすのは、 である。

  4. とおくと、 なので より、 のグラフは次の図のようになる。

    座標平面上の曲線 y=24x^3-22x^2+x+2 が、x 軸と x=-1/4、x=1/2、x=2/3 の3点で交わっている。-1/4 と 1/2 の間と 2/3 より右でグラフは x 軸より上にある。

    よって、 を満たすのは、 である。

最終更新: 2026-08-12

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