数学B 第3章 数学的帰納法 — いろいろな数学的帰納法
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答えを推定してから数学的帰納法で証明する
答えを推定してから数学的帰納法で証明する
「証明せよ」という問題でなくても、答えを予想できれば、それを証明することによって解答になる。
問題1いろいろな数学的帰納法~その1~
漸化式
cases a1=2 an+1=2an/(1+an) cases (n=1,2,…)
で定められる数列の一般項 an を n の式で表せ。
解答を見る
漸化式 an+1=2an/(1+an) に n=1 を代入すると
a2=2a1/(1+a1)=2・2/(1+2)=4/3
また、 n=2 を代入すると
a3=2a2/(1+a2)=(2・4/3)/(1+4/3)=8/7
また、 n=3 を代入すると
a4=2a3/(1+a3)=(2・8/7)/(1+8/7)=16/15
となるので
an=2^n/(2^n-1) ②
と推定できる。
以下、この推定が正しいことを数学的帰納法を用いて証明する。
n=1 のとき
a1=2¹/(2¹-1)=2
となるので、確かに ② は成り立つ。
n=m のとき( m はある自然数とする) ② が成り立つと仮定する、つまり
am=2^m/(2^m-1) ③
を仮定する。
このとき、 ② で n=m+1 とおいた場合の成立、つまり
am+1=2^m+12^m+1-1 ④
が成り立つのを以下に示す。
の左辺の漸化式は全ての自然数で成り立つの右辺(④の左辺) = am+1 = 2am/(1+am) ∵① ↑①の漸化式は全ての自然数で成り立つ = (2・2^m/(2^m-1))/(1+2^m/(2^m-1)) ∵③ = 2・2^m/(2^m-1+2^m) = 2^m+12^m+1-1 = (④の右辺)
よって、 n=m のとき ③ が成り立つと仮定すれば、 n=m+1 の場合も ④ が成り立つことがいえた。
以上の1。2。によって、数学的帰納法からすべての自然数 n について、 ② は成り立つ。
よって ① の一般項は
an=2^n/(2^n-1)
n=m,m+1 を仮定して n=m+2 を示す
n=m,m+1 を仮定して n=m+2 を示す
n=m の場合を仮定しただけでは、 n=m+1 の場合を証明できないときもある。このようなときは、さらに n=m に加えて n=m+1 の場合も仮定した上で、 n=m+2 の場合を証明してやるとよい。
問題2いろいろな数学的帰納法~その2~
x+1/x=t とするとき、すべての自然数 n において
式 x^n+1/x^n は t の n 次多項式で表される ①
ことを証明せよ。
解答を見る
n=1 のとき
x¹+1/x¹=t
となり、確かに ① は成り立つ。
n=2 のとき
x²+1/x²=(x+1/x)²-2=t²-2
となり、こちらも確かに ① は成り立つ。
n=m,m+1 のとき( m はある自然数とする) ① が成り立つと仮定する、つまり
x^m+1/x^m=Pm(t) ② x^m+1+1x^m+1=Pm+1(t) ③
が成り立つと仮定する。ただし、式 Pi(t) は t の i 次多項式を意味するものとする。
このとき、 ① で n=m+2 とおいた場合の成立、つまり
x^m+2+1x^m+2=Pm+2(t) ④
が成り立つことを以下に示す。
の左辺仮定仮定(④の左辺) = x^m+2+1x^m+2 = (x^m+1+1x^m+1)仮定③(x+1/x) -(x^m+1/x^m)仮定② = t・ Pm+1(t)-Pm(t) ∵②,③
t・ Pm+1(t) は m+2 次多項式、 Pm(t) は m 次多項式であり、その差 t・ Pm+1(t)-Pm(t) は、必ず m+2 次多項式になる。
たとえば、2次多項式 2t²-3t+4 から1次多項式 3t+2 を引くと 2t²-3t+4-(3t+2)=2t²-6t+2 となり、2次多項式が得られる。
よって、 t・ Pm+1(t)-Pm(t) は t の m+2 次多項式となるから、 Pm+2(t) とおくことができ、これは ④ の右辺である。
よって、 n=m,m+1 のとき ① が成り立つと仮定すれば、 n=m+2 の場合も ① が成り立つことがいえた。
以上の1。2。によって、数学的帰納法からすべての自然数 n について、 ① は成り立つ。
n=1,2,…,m を仮定して n=m+1 を示す
n=1,2,…,m を仮定して n=m+1 を示す
次の問題は「証明せよ」ではないので、まず実験から答えを予想するところからはじめる。予想が立てば、それを証明してやるのだが、 n=m+1 の場合の成立をいうのに、 n=1,2,…,m-1,m の場合の成立を仮定する必要がある。
問題3いろいろな数学的帰納法~その3~
次の式を満たす数列 {an} の一般項 an を n の式で表せ。
(Σak)²=Σak³ (n=1,2,3,…) ①
ただし、すべての自然数 n で an>0 とする。
解答を見る
① に n=1 を代入すると
(Σak)²=Σak³ ⇔ a1²=a1³ ⇔ a1²(a1-1)=0 ∴a1=1 ∵a1>0
また n=2 を代入すると
(Σak)²=Σak³ ⇔ (a1+a2)²=a1³+a2³ ⇔ (1+a2)²=1³+a2³ ⇔ a2³-a2²-2a2=0 ⇔ a2(a2+1)(a2-2)=0 ∴a2=2 ∵a2>0
また n=3 を代入すると
(Σak)²=Σak³ ⇔ (a1+a2+a3)²=a1³+a2³+a3³ ⇔ (1+2+a3)²=1³+2³+a3³ ⇔ a3³-a3²-6a3=0 ⇔ a3(a3+2)(a3-3)=0 ∴a3=3 ∵a3>0
となるので
an=n ②
と推定できる。
以下、この推定が正しいことを数学的帰納法を用いて証明する。
n=1 のとき
a1=1
となるので、確かに ② は成り立つ。
n≦ m ( m はある自然数とする)を満たす全ての n で、 ② が成り立つと仮定する、つまり
al=l (1≦ l≦ m) ③
が成り立つと仮定する。
このとき、 ② で n=m+1 とおいた場合の成立、つまり
am+1=m+1 ④
が成り立つことを以下に示す。
① より
仮定を組み込むための準備(Σak)²=Σak³ ⇔ (Σak+am+1)²=Σak³+am+1³ ↑仮定③を組み込むための準備
l が 1≦ l≦ m のとき、 al=l となることを ③ で仮定しているので Σak は
Σak=a1+a2+a3+…+am =1+2+3+…+m =Σk
となる。よって
がいえた(Σak+am+1)² =Σak³+am+1³ ⇔ (Σk+am+1)² =Σk³+am+1³ ∵③ ⇔ {m(m+1)/2+am+1}² =m²(m+1)²/4+am+1³ ⇔ m²(m+1)²/4+m(m+1)am+1 +am+1²=m²(m+1)²/4+am+1³ ⇔ am+1³-am+1²-m(m+1)am+1=0 ⇔ am+1(am+1+m) {am+1-(m+1)}=0 ∴am+1=m+1 ∵am+1>0 (④がいえた)
よって、 n≦ m のとき ② が成り立つと仮定すれば、 n=m+1 の場合も ② が成り立つことがいえた。
以上の1。2。によって、数学的帰納法からすべての自然数 n について、 ② は成り立つ。
よって ① を満たす一般項 an は
an=n
最終更新: 2026-08-20
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