数学B 第5章 平面ベクトルと平面図形 — ベクトル方程式
直線のベクトル方程式
直線の通る1点と方向ベクトルが与えられたとき
直線の通る1 点と方向ベクトルが与えられたとき
点 を通り でない に平行な直線を とする.このとき,この直線上を動く点 の位置ベクトル の
表し方を考えよう.
まず,点 が直線 上にある限り,必ず であるから,ベクトルの平行条件より
となる実数 が存在する.
また, はベクトルの分解を考えて
つまり
が成り立つ.
こののことを,「点を通り に平行な直線のベクトル方程式(vector equation)」といい, をその媒介変数(parameter) という.また, を,この直線の方向ベクトル(direction vector) という.
で がすべての実数をとって変化すれば,点 は直線 上のすべての点を動く.また, がある範囲で変化すれば,点 は直線 上の一部の点を動く.
注 感覚的には「 から への向かう には,まず から への向かい,それから 方向に進めばよい」と理解できる.
【例1】

【例3】
次に,座標平面上で成分表示されたベクトルのベクトル方程式を考えてみよう.
点 を通り,方向ベクトルが である直線上の点 の座標を とおくと, , であるから, より
と表せる.これを, を媒介変数とする直線 の方程式という.
かつ のとき,この式から媒介変数 を消去すると
となり,これは点 を通る傾きの直線の方程式として,FTEXT数学II の『図形と方程式』ですでに学んだものと一致している.
問題1直線のベクトル方程式~その1~
以下のそれぞれについて,点 を通り方向ベクトルを とする直線の方程式を,媒介変数 を用いて表せ.また,媒介変数を用いない形で直線の方程式を表せ.
- ,
- ,
- ,
- ,
解答を見る
直線のベクトル方程式~その1~の図1
\begin{eqnarray}
\left{\right.
\end{eqnarray}
上式と下式を について解くと, , となるから
.
直線のベクトル方程式~その1~の図2
\begin{eqnarray}
\left{\right.
\end{eqnarray}
上式と下式を について解くと, , となるから
.
\begin{eqnarray}
\left{\right.
\end{eqnarray}
直線のベクトル方程式~その1~の図3
が変化すると はすべての実数をとるが, は常に であるから
( はすべての実数).
直線のベクトル方程式~その1~の図4
\begin{eqnarray}
\left{\right.
\end{eqnarray}
が変化すると はすべての実数をとるが, は常に であるから
( はすべての実数).
直線の通る2点が与えられたとき
異なる2 点,を通る直線を とする.このとき, は点 を通り,方向ベクトルが の直線であるから, 上の点 に関するベクトル方程式は,前のセクション、「直線の通る1 点と方向ベクトルが与えられたとき」の より
となる.
問題2直線のベクトル方程式~その2~
点 に関する位置ベクトルを, とする.以下のそれぞれについて,直線上の点 に関するベクトル方程式を適当な実数 を用いて表せ.
直線のベクトル方程式~その2~の図その1
直線のベクトル方程式~その2~の図その2
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線分 を に内分する点を とおくと, であるから
を使った
つまり
と表せる.
線分 を に外分する点を,線分 を に内分する点を とおくと, , であるから
を使った
つまり
と表せる.
ここで,
は, とおくことにより
と表すこともできる.この に適当な条件をつけることにより,半直線や領域などを表すベクトル方程式をつくることができる.
問題31 次結合で表された位置ベクトルの軌跡
点 に関する位置ベクトルを, とし,点が
を満たし動くものとする.以下の場合について,点の動く範囲を図示せよ.
- かつ
- かつ
-
-
- かつ かつ
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まず, をある定数 で固定し
を考えると,点は右図の半直線上にある.
よって, を動かすと答えは下図網掛け部分となる.
1 次結合で表された位置ベクトルの軌跡の図その2
まず, をある定数 で固定し
を考えると,点は右図の半直線上にある.
よって, を動かすと答えは下図網掛け部分となる.
1 次結合で表された位置ベクトルの軌跡の図その4
は
と変形でき,条件より であるから,答えは下図の直線部分となる.
4. は
と変形でき,条件より であるから,答えは下図の直線部分となる.
5. まず,条件より であるから,点 は1.で求めた領域内にあることが必要.
次に, の値を で固定する,つまり とすると,条件より であるから なので
となり, は
と変形できるので,点 は右上図の線分上を動く.
よって, の値を動かすと答えは下図網掛け部分となる.

直線の通る1点と法線ベクトルが与えられたとき
点 を通り でない に垂直な直線を とする.このとき,この直線上を動く点の位置ベクトル の表し方を考えよう.
まず,点 が直線 上にある限り,必ず であるから,ベクトルの垂直条件 より
となる.
ここで, であるから
つまり
が成り立つ.
こののことを,「点 を通り に垂直な直線のベクトル方程式」という.また,を,この直線の法線ベクトル(normal vector) という.
次に,座標平面上で成分表示されたベクトルのベクトル方程式を考えてみよう.
点 を通り,法線ベクトルが である直線上の点 の座標を とおくと, , であるから,より
と表せる.
ここで, を, を, を とおけば,この式は
と書きなおされ,これはの直線の方程式として,FTEXT数学II『図形と方程式』ですでに学んだものと一致している.
また,このことから,直線 の法線ベクトルの1 つとしてが拾える.
問題4直線のベクトル方程式~その3~
次のそれぞれについて,点 を通り法線ベクトルを とする直線の方程式を求めよ.
- ,
- ,
- ,
- ,
解答を見る
問題5点と直線の距離の公式
直線 と点 との距離 を求めよ.
解答を見る
点と直線の距離の公式の解答の図その1
直線 上の点を とおくと, の座標に関して
が成り立つ.
いま, を に正射影したベクトル は,と等しいので,この の大きさが となる.
正射影ベクトルの内積での表し方を使った
よって
つまり, となる.
ここで,直線のベクトル方程式をまとめておこう.
, , , とし, は直線上の任意の点で,, は実数の変数, とする.
点 を通り,に平行な直線
2 点, を通る直線
または
点 を通り, に垂直な直線
円のベクトル方程式
中心と半径が与えられたとき
点 を中心とする,半径 の円を とする.このとき,この円周上を動く点 の位置ベクトル の表し方を考えよう.
点 が円 上にあるとき,線分 の長さは常に となる,すなわち となるから
が成り立つ.このを円 のベクトル方程式という.
また,座標平面上で が と成分表示された場合, とおくと
となり,これはFTEXT数学II の『図形と方程式』で学習した円の方程式と一致する.
直径の両端が与えられたとき
異なる2 点 と を直径の両端とするの円を とする.このとき,この円周上を動く点 の位置ベクトル の表し方を考えよう.
点 が円 上にあるとき,線分 と は直交する,すなわち となるから
が成り立つ.このも円 のベクトル方程式である.
また,座標平面上で が , が と成分表示された場合, とおくと
となり,これは2 点, を直径とする円の方程式を表す.
問題6円のベクトル方程式の別表記
異なる2 点 と を直径の両端とする円を とする.より,円
のベクトル方程式は
であったが,円 の中心の位置ベクトルは,半径はとなるので,前のセクション、「中心と半径が与えられたとき」の より
とも表される.
いま,この2 式が等しくなることをベクトルの計算で証明せよ.
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問題7円のベクトル方程式
平面上に定点 があり,点 が以下の式を満たしながら動くとき, はどのような軌跡を描くか考えよ.
-
-
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- ベクトルの計算での「平方完成」
よって, は を中心とする半径 の円を描く.
2. 両辺正なので,乗しても同値は保たれるベクトルの計算での「平方完成」
よって, は を中心とする半径 の円を描く.
問題8円の接線のベクトル方程式
点 を中心とする半径 の円周上の点 における接線のベクトル方程式は,この接線上を動く点を として
と表されることを示せ.
また, , としたとき,接線の方程式を求めよ.
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と のなす角を として,この2 つのベクトルの内積を考えると
をに正射影した
円の接線のベクトル方程式の図その1
接線の方程式は, とおき,いま得られた式に, , , を代入して
となる.
より もある.
以上,円のベクトル方程式をまとめておこう.
, , , とし, は円周上の任意の点とする.
中心,半径 の円
線分 を直径とする円
元記事: http://www.ftext.org/text/section/168(取得日 2026-08-07)
最終更新: 2026-08-08
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