数学B 第7章 空間ベクトルと空間図形 — ベクトルの外積
ベクトルの外積
ベクトルの外積の定義
任意の2 つのベクトル,a,b に対して外積という演算 a × b を次のように定義する.
a ≠ 0 かつ b ≠ 0 のとき
a とb を含む平面内で,a の向きからb の向きへの回転を考える. a × b は,このような回転により右ねじが進む向きをもつベクトルであり,大きさはa とb によって張られる平行四辺形の面積とする.
a = 0 または b = 0 のとき
a × b = 0
とする.
外積の計算法則
ベクトルの外積に関して,次の計算法則が成り立つ.
§
定理1外積に関する計算法則
a × b = −b × a
結合法則
a × (kb) = k(a × b)
分配法則
a × (b +c) = a × b + a ×c
証明
ゼロベクトルを含む場合の成立は明らかなので,以下ベクトルはすべてゼロベクトルでないとする.
まず, a × b と b × a の大きさは,共にa とb で張られる平行四辺形の面積であり等しい.
また,a からb へ右ねじを回して進む向きと,b からa へ右ねじを回して進む向きはちょうど逆になるから, a × b と b × a は互いに逆ベクトルとなり
a × b = −b × a
が成り立つ.
k = 0 のときの成立は明らかなので,それ以外の場合について証明する.
k > 0 のとき
まず, a × (kb) と k(a × b) の大きさは,共にa とb で張られる平行四辺形の面積をk 倍したものであり等しい.
また,kb とb は同じ向きを向いているから,a からkb へ右ねじを回して進む向きと,a からb へ右ねじを回して進む向きは等しくなる.
k < 0 のとき
まず, a × (kb) と k(a × b) の大きさは,共にa とb で張られる平行四辺形の面積を−k倍したものであり等しい.
また,kb とb は逆を向いているから,a からkb へ右ねじを回して進む向きと,a からb へ右ねじを回して進む向きは逆になり, a × b をk 倍することにより,結局同じ向きを向く
以上から,任意の実数k に対して
a × (kb) = k(a × b)
が成り立つ.
まず準備として, a×b について少し考察しておく.
上の図のように,a,b,およびaに垂直な平面にb を正射影したb’ を考える.
このとき,a からb へ右ねじを回して進む向きと,a からb’ へ右ねじを回して進む向きは等しい.また,a とb で張られる平行四辺形の面積と,aとb’ で張られる平行四辺形の面積も等しい.つまり
a × b = a × b’
が成り立つ.
次に, a × (b +c) について考える.
上の図のように,a,b,c,および b +c をとる.さらに,a に垂直な平面にそれらを正射影した,b’,c’,および (b +c)’ をとる.ここで, (b +c)’ は,b’とc’ の和になっているので, (b +c)’= b’ + c’ である.
このとき,さきほどの話から a×(b+c) = a×(b+c)’,つまり
a × (b +c) = a × (b’ + c’)
が成り立つ.
この図を上からのぞき込んでみると,次の図のようになる.
このとき,たとえば a × b’ は,a からb’ に右ねじを回して進む向きをもち,a とb’ で張られる平行四辺形(長方形)の面積を大きさにもつベクトルである.
いいかえると, a × b’ は,b’ をa に垂直な平面内で反時計回りに90° 回転させた向きをもち, |b’|の|a| 倍の大きさをもつベクトルである.これは, a × c’,a × (b’ + c’) についても同様である.つまり,a に垂直な平面上のベクトルx に a × x を対応させる操作は,この平面全体を反時計回りに90° 回転させて|a| 倍に拡大する操作にほかならない.回転と拡大は平行四辺形を平行四辺形に,その対角線を対角線に移すから, a × (b’ + c’) は, a × b’ と a × c’ で張られる平行四辺形の対角線を表すベクトルとなる.
このことから
a × (b’ + c’) = a × b’ + a × c’
が成り立ち, a × b’,a × c’ がそれぞれ a × b,a ×c と等しくなることに注意すると
a × (b +c) = a × b + a ×c
がいえる.
∎
外積の成分表示
成分表示された2 つのベクトル, a = ( ax ay az ) ,b = ( bx by bz )
の外積について考えてみよう.
まず,,a,b は , , ex = ( 1 0 0 ) ,ey = ( 0 1 0 ) ,ez = ( 0 0 1 )
を用いて
a =ax ex + ay ey + az ez
b =bx ex + by ey + bz ez
と分解できる.
ここで,座標軸は右手系にとってあるとする.つまり,x 軸の正の向きからy 軸の正の向きへ右ねじを回すと,z 軸の正の向きに進むということである.
ex とey は大きさが1 で互いに垂直であるから, ex × ey の大きさは1 辺の長さが1 の正方形の面積に等しく1 となり,向きはez と同じになる.同じように考えると
,,ex × ey = ez,ey × ez = ex,ez × ex = ey
が成り立ち,計算法則1. より
,,ey × ex = −ez,ez × ey = −ex,ex × ez = −ey
となる.
また,同じベクトルどうしでは張られる平行四辺形がつぶれて面積が0 になるから, ex × ex = 0, ey × ey = 0, ez × ez = 0 である.
さらに,計算法則2.,3. は× の右側についてのものであるが,計算法則1. とあわせると,左側についても
,(ka) × b = k(a × b),(a +b) × c = a × c + b × c
が成り立つ.たとえば2 つ目は, (a +b) × c = −c × (a +b) = −(c × a + c × b) = a × c + b × c とすればよい.
以上に注意して, a × b を計算していくと
a × b =(ax ex + ay ey + az ez) × (bx ex + by ey + bz ez) =axby( ex × ey) + axbz( ex × ez) + aybx(ey × ex) + aybz(ey × ez) + azbx(ez × ex) + azby(ez × ey) =axby(ez) + axbz(−ey) + aybx(−ez) + aybz( ex) + azbx(ey) + azby(−ex) =(aybz − azby) ex + (azbx − axbz)ey + (axby − aybx)ez
となるので
( ax ay az ) × ( bx by bz ) = ( aybz − azby azbx − axbz axby − aybx )
が成立する.
問題1外積の成分計算
, a = ( −2 1 5 ) ,b = ( −1 −4 3 )
とする.
- a × b を成分で表せ.
- a × b が,a,b それぞれと垂直になっていることを,内積を計算することによって確かめよ.
解答を見る
成分成分成分x 成分: 1 ・ 3 − (−4) ・ 5 = 23 y 成分: 5 ・ (−1) − 3 ・ (−2) = 1 z 成分: (−2) ・ (−4) − (−1) ・ 1 = 9
(注) ( ax ay az ) × ( bx by bz ) = ( aybz − azby azbx − axbz axby − aybx )
より, a × b = ( 23 1 9 )
まず
(a × b) ・ a= ( arrayc 23 1 9 array ) ・ ( arrayc −2 1 5 array ) = 23 ・ (−2) + 1 ・ 1 + 9 ・ 5 = 0 (注) ( arrayc ax ay az array ) ・ ( arrayc bx by bz array ) = axbx + ayby + azbz
となり,確かに a ×b とa は垂直となっている.また
(a × b) ・ b= ( arrayc 23 1 9 array ) ・ ( arrayc −1 −4 3 array ) = 23 ・ (−1) + 1 ・ (−4) + 9 ・ 3 = 0 (注) ( arrayc ax ay az array ) ・ ( arrayc bx by bz array ) = axbx + ayby + azbz
となり,確かに a×b とb も垂直となっている.
最終更新: 2026-08-12
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