数学B 第5章 平面ベクトルと平面図形 — 平面ベクトルの1次独立

この節の前提ベクトルの演算/内分点・外分点の位置ベクトル

ベクトルの1次結合の定義

§

定義11 次結合の定義

2 つのベクトル、 に対して、適当な実数を用いて

と表されるベクトルのことを、 と の1 次結合(linear combination) という。

たとえば、次の図において、を の1 次結合で表すと

となる。

このように、あるベクトルを2 つの で表すことを、 と へのベクトルの分解(resolution) という。

平行四辺形の網目格子の中に、点Oを始点とする2つのベクトルaとベクトルbが描かれている。さらに、これらを伸ばして足し合わせた点Pと点Qへ向かうベクトルOPとベクトルOQが示されている。

ベクトルの1次独立の定義

§

定義21 次独立の定義

「 と が1 次独立(linearly independent)である」とは

を満たす実数 が のときに限る、ことである。

方眼の上に、同じ点を始点とする2つのベクトルaとベクトルbがある。ベクトルaは右へ4マス・上へ1マス、ベクトルbは右へ1マス・上へ3マス進む向きを指している。

たとえば、上の図のように平行でない では

となる は のときに限られるので、 とは1 次独立である。

方眼上に、同じ始点から同じ方向に伸びる平行なベクトルaとベクトルbが描かれている。ベクトルaは右に4マス上に2マス、ベクトルbは右に6マス上に3マス進む矢印である。

また、上の図のように平行な では、 のとき以外にも、たとえば のときにも

を満たすので、 と は1 次独立であるとはいえない。

つまり、次のようなことがいえる。

§

定理31 次独立なベクトルと平行でないベクトル

とする。

が1 次独立であるならば、 と は平行でない。逆に、 と が平行でなければ、 は1 次独立である。

つまり

「 と が1 次独立」

である。

なお、 のどちらかが のときは、たとえば ならば となるので、1 次独立にはならない。

証明は背理法による。

証明を見る
証明

まず、 が1 次独立であるとき、 と が平行であるとすると、 となる実数 があるので

となり、 という でない組が見つかってしまう。これは が1 次独立であることに反する。

逆に、 と が平行でないとき、 で であるとすると

となり、 より であるから、 と が平行になってしまう。これは平行でないことに反するので である。このとき となり、 であるから である。よって のときに限られるので、 は1 次独立である。

∎

1次独立な平面ベクトルに関する定理

1次独立な平面ベクトルに関する定理

1 次独立なベクトルの1 次結合に関して、次の定理が成り立つ。

§

定理41 次独立な平面ベクトルに関する定理

ある が、1 次独立な2 つのベクトル の1 次結合で

と2 通りに表されたとする。このとき

\begin{eqnarray} \left{ \right. \end{eqnarray}

が成り立つ。つまり、 は1 通りでしか表せない。

証明を見る
証明

は

と表されるので

ここで、 と は1 次独立であるから、その定義より

\begin{eqnarray} \left{ \right. \Longleftrightarrow \left{ \right. \end{eqnarray}

∎

問題1重心の定理

の重心を とし、辺 の中点を、辺 の中点を とするとき

であることを、ベクトルの1 次独立を用いて証明せよ。

解答を見る

とおく。

まず、 は線分 上にあるから、 とおくと

と表すことができる。

また、は線分上にあるから、 とおくと

と表すことができる。

いま、 と は1 次独立であるから、 より

\begin{eqnarray} \left{ \right. \Longleftrightarrow \left{ \right. \end{eqnarray}

よって

問題2角の二等分線の定理

である において、の2 等分線と辺 の交点を するとき

であることを、ベクトルの1 次独立を用いて証明せよ。

解答を見る

とおく。このとき であり、長さを表す とは入れかわっていることに注意する。

まず、直線 は の二等分線なので、適当な実数 を用いて

これを角の二等分ベクトル(anglebisection vector) という。

と表すことができる。

また、点 は辺 上の内分点なので、 とおくと

と表すことができる。

いま、 と は1 次独立であるから、 より

\begin{eqnarray} \left{ \right. \Longleftrightarrow \left{ \right. \end{eqnarray}

よって

問題3直線の交点の位置ベクトル

において、辺 を に内分する点を、辺 を に内分する点をとし、線分 と線分 の交点を とする。 を と を用いて表せ。

解答を見る

を基準にした位置ベクトルを考えてみる。

まず、点 は線分 上にあるから、 とおくと

と表すことができる。

また、点 は辺上にあるから、 とおくと

と表すことができる。

いま、 と は1 次独立であるから、より

\begin{eqnarray} \left{ \right. \Longleftrightarrow \left{ \right. \end{eqnarray}

よって

最終更新: 2026-09-03

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